network
リポビタンD TREND NET

今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

24.12.03

AIが福岡に実在しない観光地を生成、サイトを閉鎖へ。
null

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「AIが福岡に実在しない観光地を生成、サイトを閉鎖へ。」

吉田:生成AIを使って福岡の観光情報を発信していたキャンペーンサイト「福岡つながり応援」が11月30日付で閉鎖されました。実際には存在しない場所が観光名所として紹介されるなど、複数の誤りが指摘されていました。神庭さん、このニュースを詳しく教えて下さい。


神庭さん:毎日新聞によると、「福岡つながり応援」のサイトでは福岡市の「うみなかハピネスワールド」古賀市の「鹿児島湾」など、実在しないスポットが観光名所として紹介されていました。福岡県なのに「鹿児島湾」は明らかにおかしいですが、「うみなかハピネスワールド」は微妙にリアルで余計に腹が立ちます。他にも、実在しないお祭りや定食メニューなどが紹介されていたという報道も出ています。


ユージ:ワードセンスはいいですが、嘘はよくないですね。


神庭さん:このサイトは、都内のウェブ関連会社が運営して、生成AIを使って記事を作成していました。「官民連携」をうたい、福岡市や飯塚市なども後援していました。騒動を受けて、両市とも後援を取り消しています。


ユージ:困ったAIですね。どうして、こんなことになったのでしょうか?


神庭さん:「福岡つながり応援」はXアカウントでお詫びを出してまして、「インターネット上の情報をもとに、生成AIを活用してメディア記事を作成し、人的確認のうえ発信してまいりました」と釈明していますが、少し調べれば分かることがそのまま公開されている以上、人的確認が不十分だったということです。生成AIを使ってゴミみたいな情報を発信しているサイトは他にも沢山あり、MITテクノロジーレビューによると、1日に1,200本以上の記事をAIで生成しているジャンクサイトもあるそうなんです。15世紀のヨーロッパを舞台にした漫画『チ。―地球の運動について―』というものがあるのですが、この中に「誰もが簡単に文字を使えたら、ゴミのような情報で溢れ返ってしまう。そんな世の中、目も当てられん」というセリフが出てきます。本当にその通りの状況になっています。それから、ゴミサイト自体は溢れかっていますが、今回は自治体まで後援に入っていることで注目を集めたのかなと思います。


吉田:仕事でAIを使う機会も増えていると言われていますよね。リスナーさんの中にもいらっしゃるかもしれないですし、今後、使うことになる方もいらっしゃると思います。どんな点に気をつければいいですかね?


神庭さん:AIの限界を認識することです。生成AIの情報って、あたかも本当のようなウソ、「ハルシネーション」が混ざります。今回の一件もAIが悪いというよりは、AIの限界を認識せずに緩いチェック体制で記事を流した人間の責任です。「NIKKEI Digital Governance」では、50の生成AIに約600の質問をぶつけて「ウソをつきにくい」AIを見極める調査をしています。その結果、1位はGoogleの「Gemini1.5Pro」となりました。2位はOpenAIの「GPT-4o」、3位はアンソロピックの「Claude 3.5 Sonnet」でした。ただ、もっともウソをつかない「Gemini1.5Pro」でも正答率は7割超。全モデル平均の正答率は50%にとどまりました。


ユージ:50%!ウソか本当か両極端なんだ。


神庭さん:AIを使う側がこういう限界を分かったうえで使いこなさないといけないです。


ユージ:なるほど。AIと聞くと、AI自体にすでに万能感を感じはじめていたのですが、まだ発展途上ですね。他に要注意は何かありますか?


神庭さん:目には目をAIにはAIをじゃありませんが、情報を入手する側もAIを使って上手に情報を整理して検索していくことが大事だなと思います。先ほどのGoogleの「Gemini1.5Pro」が正確性ナンバー1だという調査結果を紹介したのですが、Google検索の1番上に表示される「AIによる概要」のところに、ヘンな結果が出てきたという報告が相次いでいます。ウサイン・ボルト選手の50m走の記録について«日本全国の小学5年生女子の9秒60より速い記録です。0.2秒ウサイン・ボルト選手の方が速い»と書いてありますが、小学5年生はそこまで速く走れないので、おかしな検索結果になっています。僕が調べた時も出てきて、まだ直っていません。最近リサーチなどでよく使われていて便利なのが、「Genspark」というサービスです。複数ソースから検索結果を生成して、出典のリンクも示してくれるので事実関係を確認しやすいです。ファクトチェック機能もついています。こういうAIサービスを上手に使って、誤情報を防ぐ「盾」にして、リサーチの時間も節約できるといいのかなと思います。


吉田:仕事へのAI活用について、神庭さんはどう見ていますか?


神庭さん:AIには得手・不得手があります。少し前に、アメリカ在住の作家で「AIには芸術や執筆ではなく、洗濯や食器洗いをして欲しい」というSNS投稿が話題になりました。本当そうだと思います。まだ技術的に全然追いついていないです。今後、進みそうなところでいうと、コールセンターのオペレーター業務です。顧客からの激しいクレームなども受けながらやらないといけない大変なお仕事で「感情労働」とも言われます。NTTコミュニケーションズやソフトバンクなどが続々とコールセンター業務に生成AI活用に向けた開発を進めていますから、今後一気に広がるかもしれません。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





過去の #ユジコメ を音声でCHECK!!

  • X
  • Facebook
  • LINE
Top