24.06.04
岸田総理が、全面解禁に向け 関係閣僚に議論を指示したライドシェア

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。
「岸田総理が、全面解禁に向け 関係閣僚に議論を指示したライドシェア」
吉田:岸田総理は先週金曜日、規制改革推進会議で一般ドライバーが有料で客を運ぶ「ライドシェア」に関し、タクシー事業者以外の参入を認める全面解禁に向け、法制度を含めた事業の在り方を議論するよう関係閣僚に指示しました。神庭さん、このところずっと話題になっているライドシェアについて改めてどんな制度なのか、教えて下さい。
神庭さん:本来の定義としては、ドライバーが自家用車を運転して、お金をもらってお客さんを運ぶことをライドシェアです。海外ではウーバーやリフトなど、運転手とお客さんをマッチングして配車するサービスが有名ですが、日本ではこうした行為は「白タク」として原則禁止されてきました。ところが、インバウンド客の急増して高齢化やコロナ禍でのタクシー運転手の減少。労働時間を規制する2024年問題など様々な要因が重なって、タクシー不足が深刻化しました。そこで「日本版ライドシェア」と称して、4月に一部解禁に踏み切りました。ただ、最初に「本来の定義としては」という枕詞をつけたように、日本版ライドシェアは海外のライドシェアとは大きく異なります。
ユージ:そこが少しややこしいところですよね。改めて、どう違うのでしょうか?
神庭さん:日本版ライドシェアの最大の特徴は、タクシー会社が運行管理することです。全国どこでも使えるわけではなく、東京23区や武蔵野市、三鷹市、横浜市、川崎市、名古屋市、京都市、札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、大阪市、神戸市、広島市、福岡市などエリア限定です。さらに、「深夜早朝だけ」「夕方だけ」など場所によって使える曜日や時間も制約されます。かなりタクシー業界に配慮した内容になっています。あくまでも「タクシー不足の時間、場所だけ使ってもいいよ」「タクシーの邪魔にならない範囲でどうぞ」という補完的なサービスです。ただ、これだと使い勝手が悪いので、タクシー業界以外にも参入を認めて全面解禁するべきだという声も根強く、政府内でも意見が一致していません。
吉田:政府内ではどのように意見が割れているのでしょうか?
神庭さん:朝日新聞の《ライドシェアどうなる》という記事によると、「全面解禁」に前向きな河野太郎規制改革担当大臣が「検証と並行して、法制度の検討を進めるべきだ」と主張しているのに対して、斉藤鉄夫国土交通大臣は「タクシー会社以外の参入は公共交通の事業運営や労働環境に大きな影響が生じる」「法制度を検討すること自体が現場を混乱させてしまう」などと慎重な姿勢を示しています。
ユージ:なるほど。改めて、ライドシェアのメリットを教えてください。
神庭さん:利用者側のメリットとしては、移動の選択肢が増えて、安く、スムーズに移動できるようになることです。運転手側には、空いている時間、曜日に柔軟に稼げるという利点があります。社会全体としては、タクシー不足が解消されることでインバウンドの促進につながるとか、地方の高齢者の足になり得るのではないかといったことが期待されています。
ユージ:一方で、心配なのはプロのドライバーではなく、一般の方がドライバーになれるということですね。
神庭さん:そうですね。利用者のデメリットとしては、やはり2種免許を持っていない人にハンドルを任せることの安全性や、車の整備不良、防犯面への不安などが挙げられます。特に女性は心配な人も多いかもしれません。運転手側は、いまの日本型のライドシェアだとタクシー会社のバイト従業員に近い位置付けですが、仮に全面解禁されれば海外のライドシェアやウーバーイーツなどと同じく個人事業主扱いになります。労働法制による保護が弱まり、過酷な勤務やカスハラ、事故などに見舞われても「ぜんぶ自己責任でしょ」とあしらわれ、十分に守ってもらえないリスクがあります。タクシー業界的にはライドシェアにお客さんを奪われることが最大のデメリット。全国ハイヤー・タクシー連合会の会長で日本交通取締役の川鍋一朗さんは毎日新聞のインタビューで、ライドシェアが全面解禁されたら「血みどろの戦い」になると語っています。
吉田:神庭さんは、岸田総理が全面解禁に向けた議論を指示したライドシェアについてどう見ていますか?
神庭さん:タクシー会社で働く運転手の数は、2019年の29万人余から2023年には23万人強まで減少しています。コロナもありましたが、わずか4年で2割減というハイペースです。地方ではバス便もどんどんなくなっており、免許を返納したお年寄りには足がありません。自動運転の普及にはまだまだ時間がかかるので、何かしら手を打たないとまずい状況ではあります。いろんな不安も非常に分かりますが、いまの日本版ライドシェアは、あまりにも中途半端です。海外よりは規制強めでいいので、もう少し規制緩和寄りに目盛りを動かしてもいいのかなと思います。例えば、ヤバいドライバーを弾く評価システムや車内外を監視するカメラ、すぐに緊急通報できるSOSボタンの設置などを義務付けることで、技術的に防犯対策できる部分もあります。一方で心配な点もあります。テレ東の独自報道によると、ウーバーのCEOが今月にも来日して河野デジタル大臣と面会する方向です。国内勢がモタモタしている間に、規制緩和の果実を外資に持っていかれる、トンビに油揚げをかっさらわれるような事態は避けて欲しいなと思います。できれば、国内勢に安全で優れたサービス、アプリを開発して欲しいなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 4, 2024
#ユジコメ ②…
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 4, 2024
#ユジコメ ③…
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 4, 2024