24.06.03
広がるシニアの再雇用

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。
「広がるシニアの再雇用」
吉田:家具製造・販売大手のニトリホールディングスは先週28日、来月から希望者が70歳まで働けるように再雇用制度を拡充すると発表しました。
ユージ:先週「高齢者の定義、5歳引き上げ」のニュースも紹介しましたが、こちらのニュースも気になっている方が多いのではないでしょうか。
神庭さん:従来は継続雇用期間を「65歳まで」としてきたのですが、基準を満たした場合には70歳まで伸ばすということです。定年前と比較しても、最大9割の報酬水準を維持できるようにするということです。
吉田:再雇用と聞くとガクッと収入が下がるイメージがありますが、9割貰えるならいい条件ですね。
神庭さん:そうですね。パーソル総合研究所の2021年の調査によれば、定年後の再雇用を経て約9割の人の年収がダウンしています。半分以上下がったという人が27.6%、半分程度下がったという人が22.5%いまして全体平均で年収が44.3%も下がっています。それで仕事が楽になっているならまだしも、定年前とほぼ同じ職務をしているという人が半数を超えています。「これじゃ、やってられないよ」ということでモチベーションが下がってしまうシニア社員も少なくありません。なるべく定年前と同じ額を出すというニトリのような制度は、シニア社員の側からするとありがたいですね。
ユージ:定年後の再雇用を拡大する動きは他の会社にも広がっていますか?
神庭さん:広がっています。日本経済新聞によると、スズキは今年から再雇用した社員の待遇を現役並みにアップさせました。日本精工やGSユアサも再雇用者の賃上げに動いています。伊藤忠テクノソリューションズでは、年齢で一律に年収をカットするのではなく高度専門職に関しては現役と同等の処遇にするということです。賃金面だけでなく、再雇用の期間を拡大する動きも広がっています。読売新聞によると、トヨタの定年は60歳で65歳まで再雇用で働けるのですが、65歳以上に関しては一部を除いて再雇用の制度がありませんでした。それを8月から全職種で70歳まで再雇用できるようにするということです。
ユージ:再雇用が広がる背景は何でしょうか?
神庭さん:1つは法律の要請です。2021年に施行された「改正高年齢者雇用安定法」では、70歳まで就業機会を確保することが企業の努力義務になりました。2つ目は、人手不足の解消です。少子高齢化で新たに入ってくる人がいない。現状やれることには限りがあって「高齢者にも働いてもらう」「もっと女性が働きやすい社会にする」「移民を受け入れる」「AI、コンピューターによる自動化・省人化を進める」くらいしか選択肢がありません。受け入れ態勢もできていないのに移民をドカドカ無制限に入れれば、社会に摩擦が起きることは目に見えていますし、AIや自動運転の進化もまだまだ発展途上です。となると、高齢者にもできるだけ長く働いてもらうというのは、1つの有力な選択肢になってくるのかなと思います。3つ目は、世代を越えたノウハウの伝承です。ベテラン社員が長年磨き上げてきた技術やノウハウ、あるいは企業文化みたいなものを若手社員に伝えていくことは大切かなと思います。
吉田:課題は何でしょうか?
神庭さん:「2つの公平」を考えた人事制度が必要だなと思います。1つ目の公平はシニア社員の「同一労働同一賃金」を確保することです。先ほど言ったように、再雇用後も同じ働き方をしているのに、給料だけ半分になるのは「同一労働同一賃金」の原則に反します。訴訟になっているケースもあります。2つ目の公平は、世代間の公平です。年功序列でベテラン社員が長く管理職などに居座り続けると、組織の新陳代謝が進まなくなり若手社員の昇進が遅れたり、人件費が圧迫されて若手の賃金が抑制されたりするリスクもあります。今言った「2つの公平」にはそれぞれに矛盾する部分があり、バランスの取れた制度設計が必要かなと思います。
ユージ:神庭さんはどう考えますか?
神庭さん:そもそも、定年退職は本当に必要ですか?というところから突き詰めて考えた方がいいと思います。アメリカやイギリス、カナダ、オーストラリアには定年がありません。OECDは今年の1月、日本に対して定年制の廃止を提言しました。よく「働かないおじさん」と言われますが、「おじさん」「中高年男性」という属性に着目するのは間違いで、悪いのは「働かない」の方です。(もちろん病気やケガで働「け」ないケースは除きます)「働かない若者」であれ、「働かない中堅社員」であれ、同じように問題です。逆に、バリバリ働いて成果を出してくれるなら「働くおじいさん」でも「働くおばあさん」でも何の問題もありませんし、むしろ大歓迎です。年功序列・終身雇用を維持するために、定年制や役職定年のように年齢で一律輪切りにするようなやり方が是とされてきました。年齢ではなく「働き」に応じて給料のアップダウンや昇進や降格、進退を決められるのであれば、必ずしも「定年」にこだわる必要はないと思います。「年をとってからも働くのは嫌だ」という意見も分かります。暮らしのメドが立つなら、別に50代でアーリーリタイアしたっていいですよね。「強制」「一律」という部分が問題なので、個々人が求めるライフスタイルに応じて、シニア後の多様な生き方を考えていけるといいかなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンDTREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 3, 2024
テーマは「広がるシニアの再雇用」
ニトリホールディングスは7月から希望者が70歳まで働けるように再雇用制度を拡充すると発表しました。…
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 3, 2024
会社にとって大事な知識やスキルはベテランが持っていますが、年齢が上がるにつれて給料は減ってしまうこともあるので考え直す必要があると思います。
例えば同じ70歳でも走るのが得意な人もいれば、膝に不調を抱えている人もいて、もちろん若い人にも得意不得意の差があります。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 3, 2024
そのためフラットに年齢ではなく能力に応じた給料を払うことが1番フェアなやり方だと思いました。
また会社が仕事の振り分けかたを考えて、年齢関係なく能力に応じて給料が変わることで会社のレベルアップにも繋がるのではないでしょうか。#ワンモ