24.05.23
サイバー攻撃を未然に防ぐ”能動的サイバー防御”

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「サイバー攻撃を未然に防ぐ”能動的サイバー防御”」
吉田:サイバー空間の安全保障環境が厳しさを増す中、政府は攻撃をしかけようとする相手のシステムに未然にアクセスするなど、先手を打って対抗措置をとる「能動的サイバー防御」を導入する方針で、近く有識者会議を設置し、検討を本格化させるとしています。そこで今朝は、”能動的サイバー防御”について塚越さんに解説いただきます。
ユージ:塚越さん、まず改めてになりますが、サイバー攻撃について教えてください。
塚越さん:「サイバー攻撃」といっても方法等も含めて色々とありますが、簡単に言うとサーバーやパソコン、スマホといった情報端末に対して、ネットワークを通じてシステムの破壊やデータを盗んだり・改ざんを行うものといえます。サイバー攻撃の対象も、企業や政府、あるいは個人と複数あります。いずれの場合も、個人情報や機密情報を盗んだり、あるいはそうした情報を盗んで返す代わりに金銭を要求する「身代金要求型ウイルス(ランサムウェア)」などもあります。他にも大きなところでは、社会インフラに対する攻撃で、海外では電力システムが攻撃されて一時的に停電になったこともあります。実際、ウクライナで2015年と2016年に生じました。
吉田:実際にサイバー攻撃は増えているのでしょうか?
塚越さん:総務省が作成する「情報通信白書」の2023年度版によれば、サイバー攻撃関連の通信は、2022年は2015年と比較して8倍になっています。不正アクセス禁止法違反で検挙された件数も2022年は531件で、前年より93件増加しています。基本的に様々なところでサイバー攻撃は増えています。例えば去年、名古屋港のコンテナ搬出入管理システムが身代金要求型ウイルスによって停止。自動車部品の搬入/搬出ができなくなりました。最近ですと、今月10日の夕方にJR東日本の「モバイルSuica」で、通信を利用するアプリのチャージがしにくくなるといった障害が発生しました。原因はサイバー攻撃によって通常とは異なる多数のアクセスを受けたため、必要な処置をしなくてはいけなかったということです。何かを盗まれたりしなくとも、アクセスを集中させることでコンピュータに負荷がかかり、それでサービスが動かなくなってしまといった「被害」をもたらすこともあります。
ユージ:サイバー攻撃が我々の生活にも影響を及ぼすこともあるわけですが、そこで導入が検討されているのが”能動的サイバー防御”。これは、どういうものでしょうか?
塚越さん:簡単にいえば、攻撃しようとする相手のシステムに先手を打ってアクセスすることです。読売新聞によれば、政府は攻撃情報を官民で共有する協議体を新設する方針を固めて、特に電力や通信、また水道や鉄道といった重要インフラ事業者で構成するとのことです。アメリカの国土安全保障省が設立している官民の枠組みを参考にしています。新しい協議体では、外国の事例を含む脅威情報や分析結果、あるいは被害を受けた場合は被害状況を情報を共有する。さらに、ネットワークを監視するセンサーの設置を求め、不審な通信が確認されると政府と即時に共有できるシステムをつくろうということになっています。こうして官民の情報共有に加えて、攻撃を検知する通信情報の活用、そして攻撃元への侵入と無害化措置の権限を政府に与えること。こういった内容の制度づくりのため、6月にも有識者会議を開いて、秋の臨時国会に関連法案提出を目指すということです。
ユージ:サイバー攻撃を防ぐために導入して欲しいところですが、気になるのは情報を事前に手に入れたりするということである意味、我々の個人情報を先に見られてしまうではないか?という懸念があります。
塚越さん:そうなんです。そこが問題です。憲法が保障する「通信の秘密」に反する、というのが大きな問題です。管理者が無断でシステムに侵入すれば「不正アクセス禁止法」違反になります。相手にウイルスを送って無害化しようとすれば「ウイルス作成罪」となります。他にも、監視の目的で我々の私的なメールが閲覧される可能性もあるわけで、そうなるとプライバシーの侵害、監視社会化が懸念されるので、やぱり線引きなどは慎重にする必要があります。ルールを改正するなら、制度を悪用されないように違反者への罰則などもしっかり明記して周知する必要もあります。何より日本は、基本的に「専守防衛」の国です。昨今は「敵基地攻撃能力」など、ミサイルで敵の基地を事前に攻撃できるかどうかが(どのタイミングなら許されるかが)議論になっています。特に対、国家の場合、他の国からサイバー攻撃されている場合に、どこまでそれをしていいのかというのはやはりこのミサイルの問題と同じでこれが懸念されるわけです。政府はもっと法案を早く提出したいですが、内閣法制局は「法案を提出するなら、この通信の秘密問題は避けて通れない」と話しています。問題としては、先ほど話した敵基地攻撃能力と同じで日本の国防に関わる話です。我々があまり知らない所で着実に動いているということです。サイバー攻撃をどこかの国からされた場合にどの程度まで返して良いのか。サイバー攻撃は足がつかないと言われていて、攻撃したとしても証拠がないので分かりずらいです。なので、一歩間違えちゃうとサイバーを舞台に戦争が起こる可能性があるもあり、ここは慎重にしないといけません。我々も感心を持ってみていかないといけない。どこで線引きするのか重要な議論になると思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 23, 2024
「サイバー攻撃を未然に防ぐ“能動的サイバー防御”」
インターネットが僕たちの生活の密接に関わっている中で、「サイバー攻撃」という言葉も以前より身近なものになってきたと思います。…
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 23, 2024
サイバー攻撃は今や兵器の一つ、顔も居場所もわからない相手に対し、国を守るために人材育成や防衛強化に取り組む必要があると思いました。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 23, 2024
能動的サイバー防御のために監視を強化する必要があるのか?個人情報などが悪用されることはないのか?など、現行の法律と整合性が取れたルール作りを、まずはしっかりと行って欲しいと思います。#ワンモ