24.05.15
『セキュリティー・クリアランス』制度を創設へ 懸念点は?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
『セキュリティー・クリアランス』制度を創設へ 懸念点は?
吉田:経済安全保障分野の重要情報について、取り扱う資格がある人を政府が認定する「セキュリティークリアランス」制度を創設する、新たな法律が先週金曜日の参議院本会議で可決成立しました。塚越さん、「セキュリティークリアランス」聞きなれない言葉ですが、何なのか教えてください。
塚越さん:「セキュリティークリアランス制度」は、政府の職員だけでなく、民間人にも政府が保有する「安全保障上の機密情報」にアクセスできる人を選んで資格を与える制度です。ただ、情報の中でも漏洩すると安全保障に問題が生じる情報を「重要経済安保情報」に指定して、資格を持った人が漏洩すると、5年以下の拘禁刑か500万円以下の罰金、あるいはその双方が科されて、民間人の場合は所属企業にも罰金が科されるということです。この「重要経済安保情報」に指定が想定されているのは、重要インフラへのサイバー攻撃に対する防御策や、半導体のような先端技術の研究に関する外国政府の情報などです。共同研究をするときに海外の情報を知るということもあります。
吉田:「安全保障上の機密情報」にアクセスできる人は、どうやって選びますか?
塚越さん:内閣府に新設される調査機関が調査をします。政府職員でも民間人でも、対象者の同意を得た上で7項目が調査されます。具体的には「犯罪歴」、「情報の取り扱いに関する違反歴」、「薬物使用歴」、「精神疾患歴」、そして「家族や同居人の氏名や国籍」、「飲酒節度の状況」、「経済状況」の7項目に関して身辺調査を行い、機密を提供する人物に適していると判断されると資格が与えられるということです。(批判の多い項目もある)初年度の対象となる人物は、だいたい多く見積もっても数千人程度と考えられています。
ユージ:そもそも、何でこのような制度が必要なのですか?
塚越さん:機密情報を取り扱える人を認定する制度は、2014年に施行された「特定秘密保護法」があり、そこでは防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野は対象になっています。ただ、G7で日本は唯一、「経済安保情報」を取り扱える人を認定する制度がありませんでした。そこで今回は、欧米各国と足並みを揃えたいというものです。先端技術の研究では機密情報にアクセスすることもあるので、経済界としても、こうした制度があれば、もっと国際的な研究開発ができるということで歓迎する声もあります。これまでも海外との機密を含む共同開発に参加できない、という事例がありました。特定秘密保護法では認定の対象者は、ほとんどが公務員でしたが今回は経済分野が対象になるので、必然的に民間人も多くなるということです。
ユージ:今、持っている限られた人の知識だけでなく、民間人にも広げていくということですね。ただ、この制度は懸念点もあるようですね?
塚越さん:そうです。まずは、先ほどの7項目。特に身辺調査で不利益を被る可能性があります。例えば、家族に外国人がいる場合、それが「どの国か」によって許可が出たり出なかったり、(例えば、アメリカの方だったらOKだけど、〇〇の国はダメなど)あるいは調査を拒否したり資格を得られなかった人が会社で不利益を被る可能性があるのではないか。もっといえば、上司に命令されれば、調査拒否をできるのですが少し厳しいですよね。調査は本人の面接だけでなく、上司への聞き取りや人事情報を確認したり、公的機関にも情報の照会を行うこともあり、プライバシー侵害も懸念されます。さらに重要なのは、精神疾患や飲酒の節度なども含め、認定に関してこれをどういう風に決めるか「線引き」がかなり曖昧で、何を良しとして何をダメとするか、まだ不透明になっています。政府による恣意的な(どうとでもなる)運用を警戒する声があります。日本弁護士連合会も、調査の行き過ぎを抑止する仕組みが想定されていないという声明を公表しています。経済の活性化は重要だけれど、こうした懸念点が払拭できないと、政府にとってだけ都合の良いものになってしまうかなと思います。
ユージ:塚越さんは、この制度についてどうご覧になりましたか?
塚越さん:情報を扱える人を認定する法律は、経済界にとって良いこともあります。政府の意向で機密情報や運用のルールなく与えるのは行き過ぎになってしまうので、政府の行き過ぎを抑止するということは、本来は歓迎されるものです。先ほども申し上げた通り、一番重要なのは運用基準です。ここがきっちりしてないと、本来は政府を縛るためのものでもあったりします。ここが政府が自由にできるところもあって、ここが懸念されているところです。ただ、経済界的には確かに求める声も分かります。まだまだ色々決まってない部分もあるのですが、官僚であれ政府であれ権力はどんどん肥大化する傾向があるのでここをどうやって詰めるか、これから我々が見ていくことが重要かなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET#ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 15, 2024
「『セキュリティー・クリアランス』制度を創設へ 懸念点は?」について…
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 15, 2024
この制度では、政府機関だけでは、知識が足りない部分などを専門分野に特化した方たちに機密情報を与える許可を出すことによって、新たに何かを作り出すなどが目的で、経済界にとっては海外との共同研究などを行いやすくなり、ビジネスチャンスとして歓迎する声もあります。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 15, 2024
懸念点は、重要な情報を漏らしてしまった際の日本へのダメージです。安全保障に問題が生じる情報は「重要経済安保情報」に指定して、資格を持った人が漏洩すると、5年以下の拘禁刑か…