24.05.14
大筋合意した、政治資金規正法改正の与党案

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。
「大筋合意した、政治資金規正法改正の与党案」
吉田:自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正に関し、自民党と公明党が9日、大筋で合意した「与党案」を受け、岸田総理はきのうの政府与党連絡会議で、「与党間でしっかり協力し、今国会中の改正実現に向けて全力を尽くして欲しい」と発言しました。神庭さん、まずは「与党案」の内容について、教えて下さい。
神庭さん:ポイントは3つあります。1つ目は、裏金事件を受けて、政治資金パーティー券の購入者の公開基準を現状の20万円超から引き下げるということ。2つ目は、政党が議員に渡す政策活動費は、現状だと使い道を公開する義務がなくブラックボックスになっている。これを、受け取った議員が使い道を公開し、政党が収支報告書に記載する形に改めます。3つ目は、公職選挙法の「連座制」に似た仕組みを政治資金規正法にも導入。会計責任者が処罰された場合には、議員も罰せられるようにします。具体的には、収支報告書の提出時に議員本人がチェックした証として「確認書」の交付を義務付ける。「秘書が勝手にやった」「自分はタッチしていない」という言い訳を封じるわけです。
ユージ:これは、いい方に前進したと評価できる内容ですか?
神庭さん:実は、不十分です。まずパーティー券の公開基準の引き下げに関して、具体的にいくらに引き下げるのか明示されていません。「5万円超」への引き下げを求める公明党となんとか「10万円超」でとどめたい自民党で折り合いがつかなかったということです。この期に及んでそんな綱引きをしていることに呆れます。今すぐ1円から公開しろと言いたいです。
ユージ:そうですよね。公開すればいいのに。
神庭さん:企業からすると、あまりパーティー券の購入を表沙汰にしたくない。公開基準を引き下げてガラス張りにした時に、企業の腰が引けてパーティー券収入がガクッと落ちることを恐れているのかもしれません。そもそも政治家個人への企業・団体献金は禁止というのが大前提。それがリクルート事件や東京佐川急便事件から得た教訓だったはず。それなのに、パーティー券購入が事実上の寄付として抜け穴になっていること自体がおかしいなと思います。
吉田:合意した内容について、他に課題はありますか?
神庭さん:政党が党幹部に渡す政策活動費はもっと課題が多いです。政策活動費は使い道を明らかにする義務がないので、「合法的な裏金」「政治資金規制法の最後のブラックボックス」とも呼ばれています。先日、不出馬を表明した自民の二階元幹事長が5年ほどで約47億8,000万円受け取っていたことでも注目を集めました。
ユージ:「合法的な裏金」って、すごい言葉ですね。
神庭さん:言葉としては変ですが、具体的な使途を明かさずに便利使いできるお金ということです。NNNが取材した自民党幹部の元秘書の証言によると、選挙の際に「陣中見舞い」と称して100万円、500万円といったお金を候補者に渡す。野党の分裂を促すために、デパートの紙袋に2億円を入れて関係者に渡す。といったケースもあったということです。今回の合意で政策活動費を公開すると決めたことは一歩前進ですが、じゃあ具体的にいくらから、どれくらい細かく公開を義務づけるかは不明確なままです。テキトーな費目でどんぶり勘定が許されてしまったらこれまでと変わらないじゃないか、という話になるかなと思います。
吉田:課題が多いということですが、野党側の反応はいかがでしょうか?
神庭さん:野党側は与党合意に対して「中途半端」「妥協の産物だ」と批判を強めています。野党側は企業団体によるパーティー券購入の禁止や政策活動費の廃止といった、より踏み込んだ対策を求めており、与党案とは隔たりがあります。自民党に比べると金額は少ないですが、野党も政策活動費を配っています。そこはタブーなく議論していただきたいなと思います。
ユージ:派閥の政治資金問題に、どう決着をつけるか、けっこう岸田政権の評価につながると思いますが、影響はどうでしょうか?
神庭さん:間違いなく出ると思います。衆院補選3敗の影響は大きく、岸田さんでは選挙を戦えない、解散どころじゃないという声が自民党内に広がっています。JNNの最新の世論調査では、次の衆院選で「政権交代」を望む人が48%に達して、「自公政権の継続」を望むと答えた34%を上回りました。一方、同じ調査で岸田政権の支持率が29.8%となり、一気に7ポイント上昇したことも話題になっています。連休中に外遊の成果が盛んに報じられたことが岸田さんに追い風になったという見方が出ています。ただ、これから政治とお金をめぐる国会論戦が活発化してくると、また下落基調に戻ってしまうかもしれません。
吉田:一連のニュースを受けて、神庭さんはどう見ていますか?
神庭さん:中国新聞が10日に配信した記事「国政選挙で機密費から100万円 元官房長官が証言、陣中見舞いに現金」がSNS上で話題を呼んでいます。昨年12月にも、朝日新聞が河村建夫元官房長官に取材し、機密費を「陣中見舞いとして持って行くことがあった」との証言を報じています。機密費は「国の事務または事業を円滑かつ効果的に遂行するため」に使われるもので、領収書がいりません。かねて使い道が疑問視されていたのですが、仮に選挙に使っていたのが事実だとしたら大問題です。規制法の見直しもそうですが、「政治家は聖人君子だ」という性善説ではなくて、政治家は隙あらばお金をちょろまかす性悪説にたって、不正の抜け道をしっかり塞ぐような制度改正に期待したいなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 14, 2024
#ユジコメ ②…
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 14, 2024