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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.08.26

クールジャパン機構、廃止へ…累積赤字は500億円余り、その背景は?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師の塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


『クールジャパン機構、廃止へ…累積赤字は500億円余り、その背景は?』

吉田:朝日新聞によりますと、500億円余りの累積赤字を抱える官民ファンド『クールジャパン機構』について、経済産業省が廃止の方向で調整に入ったことがわかりました。塚越さん、まずは『クールジャパン機構』について改めて教えてください。


塚越さん:よく聞く言葉だと思いますが、『クールジャパン機構』は、アニメや日本食といった日本文化を海外に発信するために、政府と民間企業が共同で出資する『官民ファンド』です。2013年に当時の安倍政権の肝いりで設立されました。日本の生活文化の魅力を事業化するということで、コンテンツだけでなく、衣食住の関連商品やサービス、先端テクノロジーや伝統産品など、さまざまな分野に出資していました。


吉田:この『クールジャパン機構』、500億円余りの赤字を抱えているんですか?


塚越さん:そうなんです。「クールジャパンは失敗した」とよく言われますが、当初から事業選定に関する“目利き不足”が指摘されていました。結局、2025年度までに累積赤字が540億円となり、2025年度の改善目標も達成できませんでした。こうした状況を受けて、所管の経済産業省は来年度予算の概算要求で、クールジャパン機構に関する要求は見送る方針を固めています。つまり、お金は出さないので新規の投資はできない状態ですね。さらに、経産省は先月から有識者による会議を立ち上げ、失敗の要因などを検討して、年内をめどに廃止を含めた結論を出す予定ですが、報じられているところでは、実際に廃止方向で調整に入っているということです。これだけ赤字になっていると、クールジャパン機構をまるごと引き受けてくれる官民ファンドも見当たらないことやそもそも国民の理解が得がたいということですね。


ユージ:クールジャパン機構の現状、塚越さんは、どうご覧になっていますか?


塚越さん:官民ファンドは、そもそも失敗すれば投資したお金が回収できなくなるリスクを負うような新規事業などに投資することで、難しい市場を盛り上げて、最終的に民間の投資も呼び込む役割があります。でも、それにはやはり、“目利き”が重要で、民間だって難しいですよね。


ユージ:いやぁ難しいですよ…。


塚越さん:さらに、朝日新聞の取材に関係者が答えていて、やはり、目利き不足ということもありますし、そもそも収益性の高い事業は民間が先に扱ってしまうことも指摘しています。なので、政策目的と収益性を両立させる設計に最初から無理があったのかなというところもありますし、それも含めて難しいことへの挑戦なら、最初からそのように周知する必要もありました。あとは、ここまで赤字が膨らむ前に対応できたのにとも思いますので、やはり、批判されても仕方ないと思います。一方で、もうひとつの大きな動きがあります。先週もこの番組でお伝えしたように、政府は日本成長戦略として、17の成長分野で官民で成長投資を進めるという話がありましたが、その中で2033年までに、ゲームやアニメといった日本発コンテンツの海外売上20兆円を目指すとしています。そして、その日本発のコンテンツ戦略の柱として、経産省が先週木曜、『エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026』というものを公表しました。副題は『ものがたり大国5か年計画』となっておりまして、クリエイターの育成、融資を活用した資金確保、海外への流通、海賊版対策などを官民で進める方針です。これだけ聞くと、タイミング的にも「え?クールジャパンを引っ込めて、新しく出すの?」と思いますよね。ただ、誤解しないように言っておくと、これは産業戦略なので、いわゆる、クールジャパン機構のような官民ファンドではありません。とはいえ、新しい戦略なので、補助金などの財政支援には税金が使われます。なので、似たようなところもありますよね。これについてSNSなどでは、「クールジャパン機構の失敗を十分に検証しないまま、看板を掛け替えて次の政策に進むのではないか」といった懸念の声もあがっています。その意見に関しては私もわかります。クールジャパン機構の検証会議が結論を出すのは年末なので、やはり、今までのところをちゃんと検証しないといけませんよね。何がダメだったのかをきっちり検証して、もっともっと制度を厳しくして、それで新しいことをやるならわかりますが、今の段階でこういう発表をしちゃうのは、ちょっとどうなのかな?と思いますよね。だからこそ、ここは我々がちゃんと関心を持たないといけないですよね。お金をかけてどんどん儲けていくのは大事です。海外でドラゴンボールの施設ができるという話もありますから、そういったライセンスをどうするのか?とか、そういう整備に補助金を出すなどいろいろなやり方は大事だと思うんですけど、それにしても単に儲かるというのはなかなか難しいですし、税金からお金を出すわけですから、もっともっと詳しくどういったものにはお金を出していいのか、ある程度ダメなら引っ込めるべきなのか、というようなことも含めたルールを作る必要があるのかなと思います。


ユージ:今回、総赤字がおよそ500億円ということですが、それでもプラスになった部分もあったと思うんですよ。だから、出資・投資した部分のお金がもっと大きくて、結果的に500億円の赤字になりました…ということなので、かかったお金が果たしてどこまでプラスに使えていたのかを見直す必要がありそうだなと思いました。

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