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40枚目のオリジナルアルバム『Wormhole / Yumi AraI』の制作過程であらためて感じたことや、ミュージックビデオの撮影裏話などを、収録曲とともにお届けしていきます。
今日のコードは「「Wormhole / Yumi AraI」~制作現場“蔵出しトーク”!」です。

■今週のChordは“「Wormhole / Yumi AraI」~制作現場“蔵出しトーク”!”

岩礁のきらめき / 松任谷 由実

お送りしているのは、11月18日にリリースされる40枚目のオリジナルアルバム、『Wormhole / Yumi AraI』に収録される1曲、「岩礁のきらめき」です。

この曲は、今年の苗場期間中にお休みの日にホテルルームでつくった曲です。・・・曲は。そして苗場が終わったあとに戻って、プロデューサーがサウンドをつくっていて、詞をそれに付けました。実は、詞を作るときに、出だしのサビ始まりなんですけど、「なぜ空は青く 澄みきっていたの」の2行をもとから持っていて、そのあとをChatGPTでトライしてみようかなと思って、その時点で最新のチャッピー(ChatGPT)へ入れてみたら、なんだか私っぽいかもしれない・・・。でも、全く自分にとって新鮮じゃなかったんですよね。さすがに今まで手を染めてきたことが出てくるから、衝撃がないわけ。これは使えないなぁって、結論、思いました。
人の心を動かせるのはやっぱり人だ、ということを強く感じまして・・・今回学びの大きなポイントのひとつでした。

『Yuming Chord』。今日のコードは「Wormhole / Yumi AraI」~制作現場“蔵出しトーク”!
11月18日のリリースまで、ひと月をきった、40枚目のオリジナルアルバム、『Wormhole / Yumi AraI』。
その制作過程であらためて感じたことや、ミュージックビデオの撮影裏話などを、収録曲とともにお届けしていきます。

さっそくですが、昨今、メディアで毎日のようにとりあげられているトピックといえば・・・「AIと人間の共生」。今回は、そこを強く意識しながら制作したアルバムになりました。

さきほど話した歌詞の話を補足するんですけれど、あらためて、特に歌詞というものは、余白・間、というところに、特に日本語はたくさんの情報を入れているんだな、音律と一緒になったときは、更にそこでの聴き手が想像する世界が、歌詞になっていないところでもたくさんたくさん導き出されるんだな、と。だから、聴き手以前に作り手がそうじゃなくちゃいけないわけなんですよね。
それで、日本語はAIとの親和性がない言語だと思うのだけれど・・・それは、その曖昧さ、余白を大事にしているから。だからこそ、共生できると思いました。訳せないから共生すればいいと思ったんですね。

私が行きたかった境地は、私が込めた想いを聴き手にゆだねる・・・そこを導き出す最小限のピースを合わせる、それが聴き手に届いたときに完成形になる。こればかりは本当にAIでは無理で、AIの助けを借りながら、というか、AIによって効率化できる部分はあるんです。
例えば、仮歌を歌わせる。歌詞ができているところもAIで歌わせて、それを聴いて、ここを直した方がいいな、と。自分がそれをいちいちやっていると、客観性を持てないわけですよ。
そういうプロセスとか、ハーモニーとか。普通には人間ではできないようなハーモニーを、ぶつかる音でつけてみるとか。そういう効率というのか、人間のゆらぎみたいなものを排除したところから導き出せる新しいサウンドがあると思うんですね。それをまたフィードバックする。

そんなさまざまな実験をしながら完成させた最高傑作になったと思っています。

続いてお送りするのは、フジテレビの木曜劇場、『小さい頃は、神様がいて』の主題歌として書き下ろした曲、「天までとどけ」です。

天までとどけ / 松任谷 由実

これはね、初めてまわりに聴かせたら、「うわ、ユーミンっぽい!」という声がおこりました。自分ではよくわからないけれど、とりわけすごくナチュラルにつくった気がします。
あとで歌詞をつけるときに「Sail away」というのがどうしても浮かんだので、これまた海の歌になりました。そしてMVも海で撮ったんですけれど、気持ち良かったなぁ。私は持ってる!って思った。お天気にもすごく恵まれて、明け方、日が昇るところを撮るので、犬吠埼に前乗りし、睡眠時間2時間で準備に入って日の出に間に合わせるという。

『Yuming Chord』、「Wormhole / Yumi AraI」~制作現場“蔵出しトーク”!
11月18日リリースのアルバムから1曲。「烏揚羽」。

烏揚羽 / 松任谷 由実

この曲は、不気味で奇々怪々、なのに独創的な美しさから目が離せない・・・そんなホラー漫画を描く伊藤潤二さんの原作をもとに制作されるアニメ、伊藤潤二『クリムゾン』のオープニング主題歌として依頼された「烏揚羽」です。
曲の方もそういうあやしい雰囲気になっていると思います。

このアルバムに収録されている全12曲のうち、ミュージックビデオを制作したのは、「文通」を入れて4曲です。
そのなかでも、撮影中に私が私じゃないような、ちょっと不思議な感覚を味わったのが・・・憑依を味わった(笑)のが、アルバムの1曲目を飾る「DARK MOON」という曲です。
もともと、この曲のビデオをつくるつもりではなくて、ブックレットのためのスチールを撮影をしていたんですけれど・・・ムービーも撮っちゃおうか、という流れになり、月のクレーター風のセットで自由に動き始めたら・・・撮影の間に啓示を受けたような気持ちになったんですね。

そのときの啓示を言語化すると、「強く、生きよ!」ってことだったんです。このアルバムにピッタリだなと、自分でも思いました。AIと向き合うということで、自分の心が強くないとクリエーションができないということを痛感しながら進んでいったし、外の世界を見まわせば、何が起こるか分からない、すごい情勢になっているし。何がきても自分は自分だという(気持ちを)強く持っていないと。
だから「強く生きよ」というのは自分自身に言われたような気がするし、このアルバムを通して、“強く生きるということ”とか、命の尊さ、儚さとかを感じてもらえれば、聴いてくれた人が、この人生をすごく大切にしようと思うんじゃないかな、と、それを期待しています。

ではここで、私に啓示を与えてくれたこの曲を。「DARK MOON」。

DARK MOON / 松任谷 由実

これはプロデューサーから、フランスの官能小説みたいな詞にしろよ、というリクエストがあり(笑)。DARK MOON・・・月食で天体が重なっていく、太陽と月の間に地球が入る、その長いのか短いのかわからない時間、焦げるくらい重なり合って・・・というような官能を目指しました。

キャリアは長いけれど、まだまだ、そういう攻めの姿勢を感じてもらえる1曲じゃないかな、と、自負しています!
通称「菩薩ユーミン」、ぜひ、ミュージックビデオでもチェックしてみてください。
松任谷由実オフィシャルYouTubeチャンネルにて配信しています。


今日は、「Wormhole / Yumi AraI」~制作現場“蔵出しトーク”!というコードで、アルバム制作中のリアルな気持ちや、ミュージックビデオの撮影裏話などを、惜しみなく、蔵出ししてみました。

改めてお伝えしたいのは、ぜひ、アルバムをトータルで聴いてほしいな、ということです。
今どき、バラバラに聴く人の方が多いかもしれないけれど、最初から最後まで、全12曲を聴き終える頃には、時空や次元が異なるどこかに存在しているであろう「自分」に出会えたような・・・そんな気分が味わえるはずです。

11月18日リリースの最新アルバム『Wormhole / Yumi AraI』。
現在、各CDショップや通販サイトにてご予約受付中です。

そして、11月17日はツアーもスタート!
『FORUM8 presents 松任谷由実 THE WORMHOLE TOUR 2025-26』は、現在、1000本ノック並みのリハーサルに励みつつ、みなさんを早くWormholeの世界へご案内したい気持ちでいっぱいです。
公演日程やチケット発売など、詳細は私の公式ホームページなどをチェックしてくださいね。

なお、11月はアルバムリリース月間ということで、テレビ・ラジオ各局への出演が決まっています。
情報が解禁になったタイミングで発表していきますので、おみのがし・お聴きのがしなく!
XInstagramなどでも、随時、最新情報をアップしていきます。
TikTokもスタートしましたので、そちらもあわせて、チェックしてみてくださいね。

onair list

岩礁のきらめき

M1

岩礁のきらめき

松任谷 由実

天までとどけ

M2

天までとどけ

松任谷 由実

烏揚羽

M3

烏揚羽

松任谷 由実

DARK MOON

M4

DARK MOON

松任谷 由実

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