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7月5日は私のデビュー記念日です。あらためて初心に返って、来し方・行く末について語ってみようと思います。
今日のコードは「Before the Anniversary~デビュー“蔵出し”エピソード」です。

■今週のChordは“Before the Anniversary~デビュー“蔵出し”エピソード”

返事はいらない / 荒井 由実

あらためて聴いてみると・・・やっぱり演奏がすごいですね、みずみずしくて。「キャラメル・ママ」というセッショングループですけれど、メンバーは細野晴臣さん、鈴木茂さん、林立夫さん、松任谷正隆さん。プロデューサーの意向で、自分では解せないまま組むことになったんですけれど。

アルバムバージョンの「返事はいらない」。
デビュー曲・・・“デビュー曲”というのは、このあとにシングルバージョン、ホントの本当のデビュー曲をかけるので、“アルバムバージョン”と言ってみました。

そんな1曲でスタートした、7月最初の『Yuming Chord』。
そして、今度の日曜、7月5日は私のデビュー記念日です。
1972年のこの日、多摩美術大学の1年生だった私は、シングル「返事はいらない」をリリースして、シンガーソングライターになりました。

そこで!あらためて初心に返って、来し方・行く末について語ってみようと思います。
今日のコードは「Before the Anniversary~“蔵出し”エピソード」。

昨年11月からスタートした『THE WORMHOLE TOUR』。
今回のこのツアーをひとことで表現するとしたら、“私が私に会いに行く夢”。
そんなわけで、今日はこの『Yuming Chord』も、デビュー当時の私に会いにいくような気分で、1972年のデビュー前後のことを、色々と“蔵出しトーク”してみよう・・・ということになったわけです。
「それ、聞いたことがある」というものが出たらごめんなさい。

私はもともと作曲家志望だったので、自分で歌う気はさらさらなかったんですが、「君の書いた曲は、君自身で歌うべきだ」と周りから言われて、今に至っています。

さきほどお送りしたのは、デビューアルバム『ひこうき雲』に収録されている「返事はいらない」。これから聴いていただくのは、その1年半前、2年前くらいにリリースしたシングルバージョンなんですけれど、ここではですね、先に言っちゃうと、ビブラートがすごくかかっているんですよ。ちりめんだね、って言われていました。

作詞・作曲・編曲・指揮・ピアノ・ハモンドオルガン・歌:荒井由実ってクレジットされているけど、指揮ってなんだろう・・・。まあ、スタジオセッションみたいな感じだけれど、曲を作っているから、こうして、ああして、というリクエストをみんなに出しました。
ドラムが高橋幸宏さん、ガロの日高富明さん(トミー)がギター、それからベースが小原礼さん。BUZZ(バズ)というユニットが・・・みんな幼なじみというか。私の、というより、この人たちが横のつながりでよく知っていた。それで集まってもらって、かまやつさんがプロデュースをしてくれました。ムッシュ、かまやつひろしさん。

これはムッシュの意向というより、作っているときに何となくこういうサウンドになりました。
というのは、シングルのB面の「空と海の輝きに向けて」の方が、私が本当にやりたかったイギリスのロックのテイスト・・・そういう言葉を探して作った曲だったので、それと変化をつけるというか、違う方向で作ってみよう、と、その次に作ったのが「返事はいらない」だったんです。

私がすごく覚えているのは、レコーディングが長くなって疲れちゃってやる気をなくしたら、(高橋)幸宏さんに「誰のレコーディングやってると思ってるんだよ」って𠮟られたの。人に𠮟られるって懐かしく思い出しますね。
幸宏さん、もう会えないけど、そうやって言ってくれたことはとっても思い出に残っています。

それでは、そのシングルバージョンの「返事はいらない」。

返事はいらない(シングルバージョン) / 荒井 由実

聴いてみて思い出したんだけど、ギターの主旋律は鈴木茂さんのような特徴がプンプンしていました。トミーと茂と両方いてくれたのも思い出しました。

カップリング曲は「空と海の輝きに向けて」なんですけれど、こちらの方がずっと自分がやっていた音楽に近くて・・・まだやっていなかったけれど、頭のなかで鳴っていたイギリスのロックをシンガーソングライターとしてやる、ということで。
これは、詞をどうしようか・・・まだ誰にも聴かせてないけれど、自分がやりたい世界観では、今ある曲とかも目に入っていなかった。全然日本の曲を聴いていなかったんですよ。なので、大好きだったプロコル・ハルムというバンドのキース・リードの詞を訳したりしながら、何かこう・・・哲学的なというか、宗教的な内容になったんですけど。

そしてこの後、アルバム作りに入っていくんですが、6曲くらいデモテープとしてアルファミュージックにあったものから、村井邦彦さんはじめ大人たちがアルファスタジオを作るにあたって、その時点で最新鋭のスタジオを作るという志に燃えていたときに・・・本当にラッキーでしたね。ちょうど、「じゃあ、こいつにかけてみよう」ということで。

自分で歌うとは本当にさらさら思っていなかったので、シングルのときはなし崩し的に歌っていたんですけど、アルバムとなると、キャラメル・ママとのセッションということも決まり・・・既に出ているものも全部録りなおすので、当時はシンセサイザーとかないですから、今みたいにいろいろ音程を調節したりとかできないわけですよ。なので、パンチイン・パンチアウトといって、テープを切り貼りするんですね。あまりにもひどいところは別テイクを録って、そこにはめ込むとか、そういうつづれ織りのような作業をよくやってくれたなぁ。

歌に約1年かかったんですよ。演奏はもう録り終わっていて。そのためにボイトレに行きました。今やっているボイトレみたいなものじゃなくて、基本の基本。腹式呼吸からやるということで、オペラの先生のところに通いました。そこでなにを習うかというと、腹式呼吸からの、そのための筋肉をつけてビブラートをなくせと言われて、なくしたんですよ。ビブラートをなくすってね、力が要るんですよね、逆に。

村井邦彦さんの判断でアストラッド・ジルベルトみたいな無機質なボーカルが合うと言ってくれて、それに従いました。そしてボイトレをしたんです。

それでは、そのシングルB面になった「空と海の輝きに向けて」をまだノンビブラート前のボーカルで聴いてください。

空と海の輝きに向けて(シングルバージョン) / 荒井 由実

いろいろ構造が見える感じがするなぁ。一生懸命、ビブラートはなくそうとしているんですね、この時点でも。でも、かかっちゃうというか。でね、チェロが入っているのは私のアレンジなんだけれど、イギリスっぽくしたかったの。一生懸命、頭のなかで描いた像を表現しようとしてたんだな・・・いたいけな私(笑)。

ということで、荒井由実で「空と海の輝きに向けて(シングルバージョン)」でお送りしました。


今日は、「Before the Anniversary~デビュー“蔵出し”エピソード!」というコードで、これまであまりお話してこなかったことを、まさに“蔵出し”してみました。

1972年7月5日のデビューから結婚して松任谷姓になるまで、「荒井由実」として活動してきたのは4年と数か月でした。
松任谷由実になってからは荒井由実を「超えたい」と思ってやってきて・・・超えたり、超えられなかったりという問題じゃなく、パラレルに同時に進行しているなとつくづく思います。

そして!数日後にはデビュー54年目に突入!この1年を終えたら55年イヤーです。
ただの数字だし「通過点」・・・と思いつつ、ここまで共に歩んできてくれた音楽仲間、スタッフたち、そして、リスナーのみなさんへ感謝をこめて、何かメモリアルなことができたらいいのかな・・・という気持ちになっています。
とはいえ、そのためにもまずは、今、やるべきことを一歩ずつ、ですね。

ここでひとつお知らせがあります。ついにスタートしました
『ユーミンと私のプレイリスト』。さまざまジャンルで活躍されている方々に私のプレイリストを作ってもらうことになりました。
好きな曲を選んでもらうのではなく、テーマを自由に考えてもらって、それに合った曲を選んでもらっています。プレイリストはどんどん増えていきますのでお楽しみに!

そして、全72公演のコンサート『THE WORMHOLE TOUR』第二期も、あと3公演となりました。
7月11日・12日が岩手公演、そして、15日の秋田公演でコンプリート!
第三期は、8月18日の青森公演からスタートしますが、ツアーの合間に盲腸の手術が・・・。
ちょっと不安もあるんですけれど、第三期を最後まで走り抜けるためにも、しっかり治療してきますからね!

そのほか、私の最新情報や近況は、松任谷由実公式ホームページXInstagramTikTokなどでお知らせしています。
ぜひ、チェックしてみてくださいね。

onair list

返事はいらない(アルバムバージョン)

M1

返事はいらない(アルバムバージョン)

荒井 由実

返事はいらない(シングルバージョン)

M2

返事はいらない(シングルバージョン)

荒井 由実

空と海の輝きに向けて(シングルバージョン)

M3

空と海の輝きに向けて(シングルバージョン)

荒井 由実

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