あなたのキレイと元気を磨く!「植物の力」で美しいライフスタイルを!

5000年以上の歴史を持ち、クレオパトラも愛した植物との暮らし。植物と向き合い、植物の声を聞くライフスタイルや、ボタニカル・フードのとっておきレシピ。植物の世界からあなたに届く「美しい贈り物」です。

―この番組は、2021年3月で終了しました。―

2016.09.30

Botanical Journey3
京都府立植物園、花と植物で体験する古都の自然

  • BotanicalJourney
自然豊かな京都の街。そこに住む人にはもちろん、世界から訪れる人々にも寄り添う美しい木々や花々。今回のBOTANICAL JOURNEYは、日本の四季の美しさを伝え、古都の歴史ある森を守る「京都府立植物園」をご紹介します。



京都の自然の歴史を伝える植物園
「京都府立植物園」は、大正13年(1924年)1月1日に開園した、日本で一番歴史ある公立の植物園です。東に比叡山を望み、西に加茂川の清流を背景とし、京都御所の面積の2倍以上である24万平方メートルという広大な敷地は、植物園のために土地を開墾したのではなく、この地に昔からあった自然環境を残して作られています。例えば、古代の京都の地にあった植生、自然の水辺を残し、四季それぞれの美しさを楽しめる静かな自然林「なからぎの森」。そこは特に秋の景観が素晴らしく、紅葉の隠れた名所の一つとなっています。そして、もう一つが「楠並木」。京の四季の移ろいや情緒ある町並み、史蹟が数多く登場する川端康成の小説「古都」の中にも登場し、地元・京都府民だけでなく、文学に親しむ全国の人々からも、心落ち着く散歩道として愛されています。

(楠並木)


時を超えて伝えられる京の植物愛
都市でありながら自然豊かな京都の街。人々は昔から美しい自然をとても身近に感じながら生活してきました。植物がきれいで生き生きとしているからこそ、それを取り入れた美味しい食べものや、京都ならではの文化が生まれています。そんな植物愛が詰まったのが、この「京都府立植物園」です。実は、園内には、ここを愛する歴代の園長やスタッフ、そして市民自らが世界各地に出向き、自費で買い付けてきた植物も多いそうです。植えてすぐにかたちにならなくても、「20年後には花咲くかもしれない」、「30年後には大変珍しいものになるかもしれない」、時の流れを見つめた先人たちのそんな粋な願い、思いやりの心がたくさん詰まっています。


写真の「シダレエンジュ」は、1934年に菊地秋雄元園長が中国北東部から持ち帰り接ぎ木して増やしたもので、今では植物園の見所のひとつとなっています。


「源氏物語」の四季の世界を届ける植物たち
また、ここでは一年を通して「源氏物語」に登場する植物を園内いたるところで見つけることができます。 紫式部によって書かれた古典文学「源氏物語」は、日本の花の歴史を知る上でも重要な文献の一つです。54帖からなる物語の中で、1帖から10帖のうち9帖までに植物に関しての題名がつけられ、描写も植物を背景にしているものが多く、植物とともに京の四季の風情を知ることができます。特に平成20年(2008年)、源氏物語が歴史に登場して1000年という節目を迎えたことで、源氏物語に登場する植物を園独自にピックアップした、源氏物語「花」の案内地図が作られ来園者に人気になっています。 春は「アヤメ」「サツキ」「フジ」。夏は「クチナシ」「ツユクサ」「ムラサキシキブ」。秋は「オミナエシ」「キキョウ」「シオン」「カエデ」。そして冬は「ツバキ」など、季節ごとに40種類以上の花や植物と園内散策で出会うことができます。「源氏物語が大好きだから」「源氏物語ファンで」という理由で植物園を訪れ、その世界に浸っている人も数多くいらっしゃるのだそうです。

(左: オミナエシ/中央: キキョウ/右: カエデ)


植物と共に地球を巡る観覧温室
日本古来の花や植物と出会える「京都府立植物園」。実は、もうひとつの魅力が、世界各地の個性的な植物が豊富に育てられていることです。日本最大級の規模で多様な植物が育てられている観覧温室では、「ジャングル」「砂漠サバンナ」「高山」などとまるで地球の個性的な土地や気候を巡っているかのように、植物の世界を歩いて観て回ることができます。


京都で生まれ、子供のころからこの「京都府立植物園」で植物に親しんで来た現園長の長澤淳一さんをはじめ園のスタッフが何よりも心がけているのは、「植物をいい状態で見てもらう」ということ。園長自身がまだ若い頃、自らマダガスカルに出向き買い付けしてきた「バオバブ」は、植物園に迎え入れて15年目を迎える今年、初めて花を咲かせたそうです。また、映画「スターウォーズ」に登場するダースベイダーに似た「アリストロキア・サルバドレンシス」など、珍しくてユニークな花や植物もたくさん。 奇をてらった上辺だけの「きれい」ではなく、きちんと栽培することで、植物たち本来の魅力溢れる植物園を日々目指しています。

(左: バオバブ/右: アリストロキア・サルバドレンシス)

四季の花や植物の魅力を再発見
京都という土地の歴史や自然、人々とともに歩んできた「京都府立植物園」。季節ごとに桜、梅、しょうぶ、つばき、あじさいなど日本の四季の花も見られ、竹や笹など日本情緒溢れる景観もいたるところに造られています。1年を通し、いつ出かけても自然をゆっくりと体験出来る環境が整えられており、週末ごとに植物教室、観察会、園芸相談なども行われ、府民の植物との触れ合いを積極的にサポートしています。

「ここは民間ではなく“京都府立”ですから、美術館や博物館と一緒で、文化施設という扱いです。儲けばかりを重視せずやっていけるのが強み。それに、“植物のために使ってください”と寄付してくださる府民の方もいらっしゃいます。恵まれた環境で、長く愛されてきたこの植物園は大変幸せものです。神社仏閣を目当てに観光に訪れた方には、ぜひその近くにある植物にも注目してもらいたいです。京都体験を植物がもっともっと魅力的なものにしてくれることを願っています」(長澤園長)

京都府立植物園の入場料は200円、年間パスポートはなんと1000円と驚く程お手頃。これを手にするだけで、まるで古都に“住む”かのように、京都ならではの自然や植物の魅力を満喫することができます。


TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。10月1日は草笛光子さんを迎えてお届けします。どうぞ、お聞き逃しなく。


京都府立植物園
JR「京都」駅(近鉄「京都」駅、阪急「烏丸」駅)から京都市営地下鉄「北山」駅下車3番出口すぐ、又は「北大路」駅下車3番出口を東へ徒歩約10分。
京阪「出町柳」駅から市バス1系統または京都バス「静原」「市原」行きバス停「植物園前」下車徒歩5分。
植物園開園時間:9:00〜17:00
観覧温室:10:00〜16:00
休園日:12月28日〜1月4日(この期間以外は年中無休)

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