音楽と料理の共通点

矢野顕子さん(シンガーソングライター)×伊藤まさこさん(スタイリスト)

2017

11.05

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唯一無二の歌声と自由奔放なピアノ・プレイで圧倒的な存在感を放つ矢野さん。その矢野さんのデビュー当時からのファンという伊藤さんは、料理や雑貨などライフタイルにまつわるスタイリストとしてご活躍されています。以前、雑誌「AERA」での伊藤さんの連載「おいしい時間をあの人と」で対談をしたことのあるおふたり。今回は、 ラジオでおふたりが、お料理や生活についてたっぷりと語ってくれました。

誰かのために料理をする



矢野
おはようございます。

伊藤
おはようございます。お久しぶりです。

矢野
お久しぶりです。以前お会いしたのは、確か、去年だったかなと思ったりするんですけど?

伊藤
2年くらい前の今頃だったですかね。

矢野
その時、わたしは、はじめて伊藤さんにお会いして、いろんなお話をしましたよね。

伊藤
わたしは、あの時、”アッコちゃんだ”と思って!もちろん、そう言えなかったんですけど、”矢野さんだ!”。わたしが初めて買ったレコードの人が前にいると思って、すごく緊張したのを覚えています。

矢野
そうでしたか。いやこんなもんですよ。今日はどういうお話を・・・毎日、料理は作るんですか?

伊藤
普通ですね。作るし、食べにも行くし。矢野さんはどうですか?

矢野
N.Yにいる時は作っていますよ。

伊藤
マーケットとかに行かれるんでしょうか?

矢野
もちろん!

伊藤
歩いているんですね。

矢野
そうだよ(笑)。お野菜もちゃんと計って買いますけど もうひとり暮らしが長くなって、ちゃんと作ることがめんどくさくなって、みなさん、年を取るとそうなるらしいですけどね。

伊藤
誰かがいないと料理をしようという気になるのは大変ですよね。

矢野
ご飯を食べに行こうという時には、なるべく、人を呼んで「うち来る?」とか言って「ああいいよ!」と言ってくれると作るんです。日本から旅行で来ている人とか1週間くらいいると煮物が食べたくなるので作ったりしますけどね。

伊藤
どんなものを?

矢野
とは言っても結局、ありものになってしまって。

伊藤
即興ですか?

矢野
そういうことが多くなったかな。さすがに大人数来るときは、メニューを決めて、下ごしらえもしたりしますけど。

伊藤
ひとつ伺ってみたかったんですけど、声のために食べないとか控えているものはありますか?

矢野
辛いものは躊躇しますね。辛いもの自体がそんなに好きではないというものもありますけど。自分で辛いもの作ることはないかな。カレーくらいかな。カレーは作りますか?

伊藤
作ります。

矢野
おいしそうだなぁ。

伊藤
今度ぜひ、作ったものを食べていただきたいです。


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音楽も料理も分け合って楽しむ



伊藤
わたしは、みんながおしいしと思ってくれたり、自分がおいしいと思うことがすごく幸せで、それが心地いいにつながるというか・・・。

矢野
音楽と料理は、分け合うという点で共通のものがあるんじゃないでしょうかね。音楽も聴いてくださる人がいないと成立しないじゃないんですけど、ひとりでも十分わたしは楽しいですけど、分けあって、みんながそれを聴いてくれて、「あ、この曲いいね」とかみんなが笑顔になっていくのを見て、そして、こちらはまた嬉しくなる。

伊藤
そうかも!矢野さんの音楽を聴くと、今日いいことあったみたいな気分になる。それは10歳くらいの時に初めてレコードを買ってからずっとなんですよね。

矢野
ありがとうございます。

伊藤
ラーメン食べたくなったりとか。

矢野
そうね。わたしの曲は、食べ物多いんですよ。

伊藤
それを聴いて、ラーメンを食べに行きたくなったりとか。

矢野
この前もN.Yでコンサートを行った時に最後「ラーメン食べたい」を演奏して、その後、ラーメン屋を探しに行った人がいたんですよ。

伊藤
歌詞の中に男も辛いんだけど、女も辛いのよとあって、「それはどういう感じだったんですか?」と前伺ったら「忘れちゃったわ」と言われて。

矢野
ただ思いついただけだと思いますけどね。あの当時「男はつらいよ」は誰でも知っているフレーズですけど、女だってじゅうぶんね・・・。

伊藤
辛いですよね。

矢野
やらなきゃいけないこともあるし、それで単に繋げたんだと思いますけどね。全てはラーメン食べることでおさまるっていうね。


矢野顕子さんは、11月29日に7年振りソロ弾き語りアルバム「Soft Landing」をリリース。
伊藤まさこの「AERA」での連載が一冊にまとめられた「おいしい時間をあの人と」は朝日新聞出版から発売中です。

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