yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ

yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ 第三十二話 世界を変えるためには -【京都篇】 作家 三島由紀夫-

yesとは?

  • 語り:長塚圭史
  • 脚本:北阪 昌人

『自分にyes!と言えるのは、自分だけです』
今週あなたは、自分を褒めてあげましたか?
古今東西の先人が「明日へのyes!」を勝ち取った 命の闘いを知る事で、週末のひとときを プレミアムな時間に変えてください。
あなたの「yes!」のために。

―放送時間―
TOKYO FM…SAT 18:00-18:30 / FM OH!…SAT 18:30-19:00
@FM(FM AICHI)…SAT 18:30-19:00 / FM長野…SAT 18:30-19:00
FM FUKUOKA…SAT 20:00-20:30 /FM軽井沢…SAT 18:00-18:29

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第三十二話世界を変えるためには

「世界を変貌させるのは、決して認識なんかじゃない。世界を変貌させるのは、行為なんだ。それだけしかない」。
三島由紀夫は、名作『金閣寺』の中で、主人公にそう言わせました。
まさしくこの言葉こそ、三島由紀夫の根幹だったに違いありません。
認識するより、動く、行動するということ。
京都市北区にある鹿苑寺、通称、金閣寺は、今日も春の陽射しを跳ね返し、その輝きを留めています。
鎌倉時代の公卿(くぎょう)、西園寺公経から別荘を譲り受けた、室町幕府三代将軍・足利義満が山荘北山殿をつくったのが始まりだとされています。

1950年7月2日未明、金閣寺が火に包まれました。
舎利殿は、激しい炎に包まれ、足利義満の木像も焼けてしまいました。
犯人は、金閣寺の見習いの僧侶。まだ大学生でした。
彼は行方不明となりますが、自ら命を絶とうとしているところを発見され、一命をとりとめます。
彼はなぜ、寺に火を放ったのか。さまざまな憶測や推論が世間に飛び交いました。

当時の金閣寺はほとんど金箔が剥げ落ちた状態。
火災にあったのち、5年後に再建されたときには、創建当時の金をまとった鹿苑寺を再現することになりました。
放火事件のとき、三島由紀夫は、25歳。
彼は足しげく京都に通い、取材をして、31歳のときに作品を書きあげました。
小説『金閣寺』は、第八回読売文学賞を受賞。
若くして天才の名をほしいままにしていた三島の、あらたなる傑作となりました。
三島は、この作品に自らの人生観や世界観を注ぎ込みました。
その後の彼の人生を暗示するかのような、規範。
『金閣寺』から見えてくる、三島由紀夫が、自分にyes!という為に、人生で大切にしたものとは?

三島由紀夫、本名、平岡公威は、1925年、大正14年1月14日、東京四谷に生まれた。
彼の年譜をたどるとき、そのあまりに整然とした数字に驚かされる。
大正時代の最後、昭和の夜明けとともに生まれ、20年後の1945年、戦争の終わりを経験、1970年45歳のときに、自らの命を絶った。
まさに昭和という時代を駆け抜けた男。
そして、まるで計算し尽していたかのような、完璧な人生のシナリオ。
三島は、生まれてきたときのことさえも、覚えているという。
『仮面の告白』の一節。
「私には一箇所だけありありと自分の目で見たとしか思われないところがあった。産湯を使わされた盥(たらい)のふちのところである。下したての爽やかな木肌の盥で、内がわから見ていると、ふちのところにほんのりと光りがさしていた。そこのところだけ木肌がまばゆく、黄金でできているようにみえた。ゆらゆらとそこまで水の舌先が舐めるかとみえて届かなかった。しかしそのふちの下のところの水は、反射のためか、それともそこへも光りがさし入っていたのか、なごやかに照り映えて、小さな光る波同士がたえず鉢合せをしているようにみえた」。

ただ、彼にもコントロールできない時期があった。
生まれてから、物心つくまでの幼少期だ。
両親から三島をうばい、自らの支配下に置いた、祖母、夏子。
彼女は礼儀作法に厳しく、遊び相手に粗野な男の子ではなく、大人しい女の子を選んだ。
時には女言葉を使わせ、歌舞伎や谷崎潤一郎、泉鏡花など、自身の好みを与えた。
こうして、平岡公威は、三島由紀夫になっていった。

三島由紀夫は、16歳のとき、『花ざかりの森』という小説を書いた。その作品の中にこんな言葉がある。
「正しいこと、あたりまえなことをやっているのを、だれにみられようが、なんといわれようがかまいはせぬ」。
それは、若くして得た、彼の人生の方針だった。
ただ、この生き方を貫くには、あまりに脆弱な自分がいた。
やせ細った病弱な体。天才と呼ばれたが、自分の才気を持て余すような日々。
変えたい、変わりたい。そんな衝動が彼の中で温度を上げていった。

1954年、29歳のとき、長編『潮騒』で、第一回新潮社文学賞を受賞。
それでもまだ、三島由紀夫には、本当の手応えを得られなかったに違いない。
1955年は、エポックな年になった。
渾身の作品『沈める滝』が思うように評価されない。
愛を信じることのできないダムの技術者と人妻の恋愛を描いた長編小説だった。
ある意味、この技術者は芸術家のメタファ。芸術と恋愛の関係に対峙した物語だった。
のちに三島は語ったという。
「これが受け入れられれば、オレの生き方は変わったかもしれない」。
この年の秋から、彼は自分の肉体改造に取り組む。
ボディービルの練習は、ストイックに激しさを増した。

三島由紀夫が肉体を鍛え上げた年、彼は京都におもむき、金閣寺放火事件を取材した。
なぜ、大学生の見習い僧侶が、敬愛する金閣寺に火を放ったのか?
三島は考えた。いや、感じた、想像した。
そうして彼が出した結論は、こうだった。
「生きるために、行動した」。
その行為は反社会性に満ちて、誉められたことではない。
ただ、若き僧侶は、吃音と不遇を抱え、変わりたかった。
金閣寺に自分を重ね合わせ、このままでいいとは思えなくなった。

三島は、実際には自らの命を絶とうとした犯人とは、真逆の選択を主人公に託した。
『金閣寺』のラストは、こう結ばれる。
「ポケットをさぐると、小刀と手巾(ハンカチ)に包んだカルモチンの瓶とが出て来た。それを谷底めがけて投げ捨てた。別のポケットの煙草が手に触れた。私は煙草を喫(の)んだ。一仕事を終えて一服している人がよくそう思うように、生きようと私は思った」。
生きるために、変わりたい。
変わるためには、行動しかない。
動くこと、他の誰に何を言われようが、動くこと。
そこにしか、光はない。
三島由紀夫にとって『金閣寺』は、決意表明だった。
もう迷わない。
オレは、行動することで、この場に留まることを拒否する。
動くことで、世界を変える。

【ON AIR LIST】
Lazarus / David Bowie
The Boy With The Thorn In His Side / Jeff Buckley
Forbidden Colours / David Sylvian&坂本龍一
Be My Last / 宇多田ヒカル

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今週のRECIPE

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霜降りひらたけと魚介の簡単パエリア

三島由紀夫の作品『金閣寺』にちなみ、ご飯が黄金色に輝く、この料理をご紹介します。

霜降りひらたけと魚介の簡単パエリア
カロリー
384kcal (1人分)
調理時間
60分 ※炊飯時間を含む
使用したきのこ
霜降りひらたけ
材料
【4人分】
  • 霜降りひらたけ
  • 1パック
  • 玉ねぎ
  • 30g
  • にんにく
  • 5g
  • ムール貝
  • 4個
  • 白身魚
  • 100g
  • えび
  • 50g
  • ピーマン
  • 1個
  • オリーブオイル
  • 大さじ2
  • 2合
  • 【A】サフラン
  • 小さじ1/3
  • 【A】水
  • 大さじ2
  • 固形ブイヨンを
    溶いたもの
  • 360cc
  • 少々
  • こしょう
  • 少々
  • レモン
  • 1/2個
作り方
  • 1.
  • 霜降りひらたけは食べやすくほぐす。
  • 2.
  • 玉ねぎはみじんに切る。にんにくもみじんに切る。
  • 3.
  • ムール貝は足糸を切る。白身魚は身がくずれないように一口大に切り、オリーブオイルでこんがり焼く。えびは背わたをとって殻をむき、薄く塩をする。ピーマンはヘタと種をとり、2cm角に切る。
  • 4.
  • サフランは刻んで水につけ、よく色を出し、固形ブイヨンを溶いたものと混ぜる。(いきなり固形ブイヨンをよいたものと混ぜると色が出ないので注意)
  • 5.
  • フライパンにオリーブオイル大さじ1を温め、玉ねぎとにんにくと米を入れ、米がパラリとなるまで炒める。
  • 6.
  • 炊飯器に(1)、(3)、(4)、(5)を入れ、普通に炊く。
  • 7.
  • 炊き上がったら、蒸らさずに器に盛り、レモンを添える。
  • recipe LIST

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PROFILE

  • 長塚 圭史

    語り:長塚 圭史

    1975年生まれ。東京都出身。96年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げ、作・演出・出演の三役を担う。08年、文化庁新進芸術家海外研修制度にて1年間ロンドンに留学。帰国後の11年、ソロプロジェクト「葛河思潮社」を始動、三好十郎作『浮標(ぶい)』を上演する。近年の舞台作品に、『鼬(いたち)』、『背信』、『マクベス』、『冒した者』、『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』、『音のいない世界で』など。読売演劇大賞優秀演出家賞など受賞歴多数。
    また、俳優としても、NHK『植物男子ベランダー』、WOWOW『グーグーだって猫である』、WOWOW『ヒトリシズカ』、CMナレーション『SUBARUフォレスター』など積極的に活動。

  • 北阪 昌人

    脚本:北阪 昌人

    1963年、大阪生まれ。学習院大独文卒。
    TOKYO FMやNHK-FMなどでラジオドマ脚本多数。
    『NISSAN あ、安部礼司』(TOKYO FMなど全国FM37局ネット)、『ゆうちょ LETTER fo LINKS』(TOKYO FMなど全国FM38局ネット)、『世界にひとつだけの本』(JFN)、『AKB48の私たちの物語』(NHK-FM)、『FMシアター』(NHK-FM)、『青春アドベンチャー』(NHK-FM)などの脚本・構成を担当。『プラットフォーム』(東北放送)でギャラクシー賞選奨、文化庁芸術祭優秀賞受賞。『月刊ドラマ』にて、「ラジオドラマ脚本入門』連載中。
    主な著書に『世界にひとつだけの本』(PHP研究所)、『えいたとハラマキ』(小学館)がある。

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NEWS

OA 100回 記念特別企画 『ジョンとヨーコ、それぞれのyes!』
西田尚美さん長塚圭史さん
風も、雨も、自ら鳴っているのではありません。 何かに当たり、何かにはじかれ、音を奏でているのです。
誰かに出会い、誰かと別れ、私たちは日常という音を、共鳴させあっています。YESとNOの狭間で。 今週、あなたは、自分に言いましたか?YES!ささやかに、小文字で、yes。
明日(あした)への希望の風に吹かれながら、自分にyes!と言ったひとたちの物語をお贈りしている「yes!~明日への便り~」。
7月22日と7月29日の2週にわたり、番組100話記念スペシャルとして、軽井沢にゆかりのある、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの物語をお届けします。
二人のインタビューや数多くの著作物をもとにフィクションでお送りするドラマ『ジョンとヨーコ、それぞれのyes!』。

オノ・ヨーコ役は女優の西田尚美さん朗読は、長塚圭史さんでお送りします。

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