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2025.06.07

ボクシングの金メダリストからカエル研究へ!?「金メダルで人生が変わった」

今週の「SPORTS BEAT」は、先週に引き続き、オリンピックのボクシング女子で日本史上初の金メダルを獲得した入江聖奈さんのインタビューをお届けしました。
入江聖奈さんは、2000年、鳥取県生まれ。
小学校2年生の時に読んだマンガ「がんばれ元気」の影響でボクシングジムに入門。
中学では陸上部に所属し、1年生で800mの全国中学駅伝に出場するも、高校からはボクシングに専念。
高校2、3年の全日本女子ジュニア選手権を連覇し、国際大会でも2018年世界ユース選手権にて銅メダルを獲得。
2019年、日本体育大学へ進学し、世界選手権日本代表に選ばれ、ベスト8。
そして2021年の東京オリンピックでは、オリンピックの女子ボクシングとして日本史上初の金メダルを獲得されています。
競技生活からの引退後は、大好きな「カエル愛」を極めるため、東京農工大学院修士課程へ進学し、カエル研究の道を歩まれています。

──とにかくカエルが好きでいらっしゃる?

大好きです!

──好きになったきっかけはあるんですか?

好きになったきっかけは、高校生の時に下校中にカエルとぶつかることがあって、そこで一目ぼれしました(笑)。

──ちょっと待ってください(笑)。高校までは別にカエルにはまっていたわけではない?

別に特に生き物が好きな女の子ではなかったです。ただ、父が海によく連れて行ってくれたので、そこで自然との関わりはあったんですけど、別に生き物図鑑をずっと読んでいるような子ではなかったです。

──でも、高校の時にカエルとぶつかって…?

はい。例えると、マイクが紫陽花の葉だとして、ここに多分カエルがいたんですよね。私が友達と自転車で並列で走っていたので、紫陽花の葉にそのままぶつかったんです。それで、何か葉っぱじゃない感覚が頬にあって、“え?”と思って右を見たら、カエルが私を見ていたんです。そこで“めっちゃかわいいんですけど”ってなって、今に至ります(笑)。

──“運命の出会い”だったわけですよね。

少女漫画みたいな出来事が本当に起きてしまって。

──その時に出会われたのはアマガエルですか?

シュレーゲルアマガエルです。アマガエルと同じ緑のカエルなんですけど、アマガエルよりはちょっと大きくて鼻筋がシュッとしていて、目が黄色のカエルちゃんですね。

──でもその時は、当然(そのカエルが何か)知らないわけでしょう?帰ってから調べたんですか?

その時期ぐらいからカエルの図鑑を買うようにしていて、そのぶつかったカエルを家に持って帰ったんですけど、しばらく経った後に鳴き声を聴くことができて、その時にシュレーゲルアマガエルだということが発覚しました。

──“カエルを研究したい”といつ頃から考えていらっしゃったんですか?

カエルの研究がしたいと思ったのは、オリンピックで金メダルを獲ってからですね。金メダルを獲ったあと“カエル好き”ということが報道されてしまって、その時に危惧したのが、“テレビに呼ばれた時にカエルのクイズを出されたらどうしよう”ということだったんです(笑)。カエルの専門的な知識は一切持っていなかったので、“やばい”と思ってテレビ用にカエルの勉強を始めて、勉強している間に、“カエルのことを勉強するのってめっちゃ面白いな”と感じるようになって、そこから“研究したい”と考えるようになりました。
金メダルを獲っていなかったらカエルの研究は始めていなかったと思うので、やっぱり金メダルで人生が変わったなという気がしています。

──どんな研究をされているんですか?

私は都会のカエルについての研究をしていて、ざっくり言うと、“なぜ都会でカエルが生きていけるんだろう”ということを、体のサイズや卵のことなどを調査して、なぜ都会に適応できたのかを検証しようとしています。
東京でよく見かけるカエルがヒキガエルなんですけど、でも“なぜヒキガエルが都会で暮らしていけているのか”ということは科学的にまだきちんと明らかにされていないので、ヒキガエルの都会での生活地などを調べることで、何とか発見したいなと思っているところです。

──その結論はまだ出てないということですか?

まだ出ていないです。今博士課程なんですけど、あと3年研究できるので、その間に結論づけられたらなと思っています。

──ちなみに、ざっくりと“理由はこれかな”ということはわかっていたりするんですか?

このあいだ、“都会のヒキガエルのおたまじゃくしは、変態する時、つまりおたまじゃくしからカエルになった瞬間の体サイズが田舎の個体より大きいという進化が起きていて、その変態時の体サイズが大きいことが陸に出た時の生存率や成長率に寄与しているんじゃないか”というような内容の論文を出しました。

──面白い。それはカエル側でも都会の暮らしにちょっと自分をチェンジしていっている、環境に適応していっているということですよね。

そうです。“都会型のヒキガエルになっている”ということが今まさに起きていると。


──カエル話で盛り上がりましたけれども、ちなみに、最近の女子ボクシング界では、入江さんとともに東京オリンピックに出場し銅メダルを獲得している並木月海選手が「ロサンゼルスオリンピックを目指す」と宣言されています。
そして2021年の世界選手権金メダリストで東京、パリとオリンピックに2大会連続で出場している岡澤セオン選手が、「入江さんの金メダル獲得で入江さんに憧れて女子選手が増えた」とコメントしています。
並木選手とは高校1年の時に対戦されて、それ以来ともに日本のトップとして切磋琢磨してきたと思いますが、入江さんにとってどんな存在ですか?

私にとって、ずっと“追いつきたい”と思っていたけれど、“追いつけないだろうな”と心のどこかで思っていた存在ですね。もう本当に“雲の上の人”という感じでした。
高校1年の時もボコボコにされて負けたので、その時のこともありますし、あと並木さんは常にメダル争い、常に金メダルを獲るような選手だったので、“並木さんすごいな、勝ちたいな”と思いながら追いかけていました。

──そして、その並木選手が再始動、ロサンゼルスオリンピックを目指すということですが、この話を聞いた時にどう思われましたか?

並木さんって、「普通の女の子になりたい」とかたまに言っている時はあるんですけど、でも戦わないといられない性分の人なので、絶対に復帰するだろうなとは思っていました。

──やっぱりそれだけ“ファイター”というか気持ちが強い選手なんですか?

普段はめちゃめちゃ女の子らしくて、考え方も大人だし、本当に素敵な女性なんですけど、“多分、リングから離れられない人だろうな”と勝手に思っていました(笑)。

──でもその並木選手がロサンゼルスオリンピックを目指す、ボクシングを再開すると聞くと、“私も”みたいに思ったりはしませんか?

そうですね。“並木さんとまた一緒に国際大会に行きたいな”とかふと思う時もありますけど、でも、私はもう“辞める”と決めたので、カムバックはしないです。

──競技から退かれてからは、ボクシングは一切されていないんですか?

たまにシャドーしたりはしましたけど、基本的にはしていないですね。だからもう、体力とかも並以下になったと思います。あと、最近殴られるのに慣れていないので、(後輩の練習に付き合って)久しぶりに殴られたりすると“痛っ!”ってなりますね(笑)。びっくりしました。こんなことを毎日やっていたのかと思いました。

──岡澤セオン選手がおっしゃっていますけれども、「入江選手の金メダルでボクシングを始める女子選手が増えた」と。

嬉しいです。私はあまり実感していないのでわからないですけど、女子ボクシングも楽しいと思うので、増えてくれたら嬉しいですね。

──入江さんにとっての「がんばれ元気」に、今、入江さんご自身がなっているわけですよね。このあと、また女子がオリンピックでメダルを獲った時に、「あの時入江聖奈さんが金メダルを獲っていたのでボクシングを始めました」という選手がきっと出てきますから。

本当ですか?ちょっとだけ期待しておきます(笑)。

──それだけ功績を残したというか、オリンピックがそれだけ注目される舞台ということなんでしょうね。

はい。オリンピックはすごかったです。

──さあ、この番組では毎回ゲストの方たちにCheer up songを伺っています。今週も入江聖奈さんの心の支えになっている曲を教えてください。

嵐の「GUTS!」です。

──嵐さんがお好きなんですか?

やっぱりこの世代はみんな一度は「嵐の中で誰が好き?」という会話をしていましたよね。

──ちなみに誰ですか?

大野くんです。何か天才肌な感じがめっちゃ好きです。

──嵐さんの曲は相当たくさんありますし、それこそ東京オリンピックの「カイト」もありますけれども、その中でもこの曲を選んだ理由というのは?

この曲は、歌詞的に、“友達が応援してくれている”ということをすごく感じられるんです。オリンピック中は選手村にいるので友達は連れていけないんですけど、でも(この曲を聴くと)離れたところでも絶対に友達は応援してくれているだろうなと思えたので、すごく勇気をもらっていました。


今回お話を伺った入江聖奈さんのサイン入り色紙を、抽選で1名の方にプレゼントします。
ご希望の方は、番組公式X(旧ツイッター)をフォローして指定の投稿をリポストしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
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