TOKYO FM & JFN38 STATIONS EVERY SAT.10:00-10:50

SPORTS BEAT supported by TOYOTA

TOKYO FM & JFN38 STATIONS EVERY SAT.10:00-10:50
TOP > SESSION-1
2023.01.07

「来年はリベンジを!」“まさか”の連続だった箱根駅伝を振り返る

今週の「SPORTS BEAT」は、新春生放送! 今年の箱根駅伝で3位となった青山学院大学陸上競技部の原晋監督に、リモートをつないでお話を伺っていきました。

原晋監督は、1967年生まれ、広島県三原市出身。
中学から陸上を始め、高校時代は主将として全国高校駅伝で準優勝。
進学した中京大学では、3年生の時に日本インカレ5000mで3位入賞。
そして2004年からは、青山学院大学陸上競技部監督に就任。
就任5年目の2009年、箱根駅伝出場に導くと、その後は箱根駅伝4連覇を含む、6回の総合優勝を果たされています。


──1年ぶりのご出演、ありがとうございます。今年の箱根駅伝も、本当にお疲れさまでした。3位は素晴らしい成績ではありますが、連覇を狙っていた原監督としては、ちょっと悔しいレースになってしまった?

そうですね。1万メートルの自己ベストタイムもチーム平均タイムも、これまでにない良いタイムを出していましたので、人材的には豊富だったんですが…。駅伝というのは何が起こるかわかりませんよね。

──箱根駅伝に体調を合わせていく難しさというものもあるんでしょうか。

そうですね。昨今の箱根駅伝は、1区間でもブレーキしたら優勝から遠ざかる。それだけ激戦になっていますので、やっぱり最後、(箱根駅伝に)ピークを合わせたチームが良い成績をおさめますよね。

──原監督は常々、「上り坂、下り坂、“まさか”の3つの坂がある」とおっしゃっていますけれども、今回はそこに全て集約されてしまったという感じでしょうか。

どんな坂よりも今年の坂はキツかったですね。“まさか”こんなことが起こるんだな、と。改めて、箱根駅伝の難しさを感じさせられました。

──それでも素晴らしい走りを見せてくれましたけれども、まずは2区のエース、近藤幸太郎選手。日本を代表する選手である、駒澤大学の田澤廉選手と同じ区間を走ることが多いですが、今シーズンは負けない走りを見せてくれましたし、箱根の2区では田澤選手に勝ちましたよね。

高校時代はそれほどスーパースター的な選手ではなかったんですが、大きな故障もなく4年間しっかり練習を積み上げて、最後には田澤選手に勝つことができましたね。

──これで区間賞を取るんじゃないかと思ったら、最後の最後で中央大学の吉居大和選手がすごいスパートでしたね。

吉居選手はすごいですね。将来、世界を目指せるランナーじゃないでしょうか。
吉居選手と近藤選手は、子供の頃から同じランニングクラブでトレーニングをしていた仲なんです。途中、近藤選手が吉居選手に追いついた時、吉居選手がちょっとバテていたのに、近藤選手が「ついて来いよ!」というような仕草をしたんです。
監督の立場からすると「余計なお世話だぞ!」という感じなんですけれども(笑)。

──本当にそうですね(笑)。でも、そこが近藤選手の人間性の素晴らしさなのかなと思いました。

そうですね。やっぱりそれが「ザ・青学大」の選手でしょうか。心優しい選手がいます。

──そして4区の太田蒼生選手。去年は1年生で素晴らしい走りを見せてくれましたが、今年も素晴らしい走り。駒澤大学の鈴木芽吹選手に追いつく走りでしたよね。

実は、彼も1年間苦労しまして。昨年の箱根駅伝の直後に故障をして、それがずっと長引いて、本格的な練習を再開したのが10月以降だったんです。ですから、10〜12月の3ヶ月で箱根にピークを合わせてきた。(箱根駅伝まで)1週間を切った段階でようやく「いけます」というような状態だったので、ギリギリのラインで調整してくれましたね。ポテンシャルも高い選手です。

──そして9区の岸本大紀選手。8位という想像もしていなかった順位でタスキを受け取るわけですが、そこから一気に3位集団に追いつき、そこで併走するのかと思ったら、一気に抜きましたよね。

彼もポテンシャルの高いランナーなんですけれども、裏話をすると、実は彼も、この1年間、故障に悩まされた時期がありまして。12月中旬ぐらいまでは、出走すらできないぐらいの足の状態だったんです。彼も(箱根駅伝まで)1週間を切って、5日前ぐらいからようやく「いけます」というような。それぐらい悪かったんです。
太田にしても岸本にしても、最後はきっちりと仕上げてくれました。

──そうだったんですね。だとしたら、今回の箱根駅伝のオーダーは、ギリギリまで決め切れない状態だったということでしょうか。

今になって私のメモを見返してみると、12月に考えたオーダーと、実際のオーダー、1区間も合っていないですね。
実は、近藤選手は1区へ持っていって、ぶっちぎりで突っ走ろうかなと想定していたんです。理想を言えば、1区は近藤、2区は岸本で行きたかったんですけれども。

──箱根駅伝は、来年は記念すべき100回大会になります。実は「箱根駅伝」というのは、関東の地方大会なんですよね。

はい。関東学生陸上競技連盟主催ですので、形式上は関東ブロックの大学しか出れないんですが、実際には、高校生のランキング100位以内のほとんどの選手が地方から関東(の大学)に集まってきていますので、実質としては全国大会ですよね。

──でも、100回記念大会は、地方の大学にも門戸を開いたんですよね。

(100回記念大会では)今年10月に行われる予選会に、地方の大学も参加できるということが決まっています。

──予選会通過も相当難しいことですよね。

準備がありますからね。昨年発表された、急に決まったことなので、そもそもこの4年間、高校の上位ランクの選手たちは関東に来ていますから、地方には人材が少ないので、準備が難しい。
ですから、100回大会で終わらせるのではなく、僕は101回大会以降も全国化すべきだと思います。

──地方の大会であった箱根駅伝がここまで日本中で注目されるキラーコンテンツになっているわけですから、これを良い方に利用してほしいですね。

そうですね。陸上界、長距離界の発展という大きな視点で捉えるならば、僕は全国化を進めるべきだと思うんですね。
地方からも箱根駅伝に出れるということになれば、地元の選手が地元の大学から強化されて、また地元に就職をする。また、野球スクールやサッカースクールと同じように、地元にランニングスクールも出来ますので、“ふるさと創生”の観点から、あるいは指導者の雇用拡大、そして、サッカーや野球ではなく陸上長距離をやりたいという若者が出てくるという(競技人口の)裾野の拡大。そういうメリットがあるんじゃないかなと思います。

──そしてその100回大会に向けて、新チームは始動されているんでしょうか。

はい。優勝した後は、わりとのんびりして、集合練習もそんなに早くからは行わないんですが、今年は3位という成績で終わりましたので、もう1月4日から始動をしています。

──ちょっと待ってください(笑)。(箱根駅伝の)次の日じゃないですか!

さすがに朝練習は集合しませんでしたけれども(笑)。
もう4日から練習開始、そしてミーティングで意識付けをしましたね。

──そして、優勝した駒澤大学の大八木(弘明)監督が、大会終了後に退任されることを表明されました。ともに箱根駅伝を盛り上げてきた原監督は、どのように思われましたか?

私は2004年に青山学院大学の監督に就任したんですが、当時駒澤大学は非常に強豪校で、私自身、大八木監督に憧れて、あのようなチームを作りたい、大八木監督に負けたくない、勝ちたい、そういう思いで監督業をスタートしましたので、(大八木監督の退任は)時代の移り変わりなのかな、と。
よくよく冷静に考えてみれば、今回の箱根駅伝の21大学中、大八木監督の次に監督歴が長いのが原監督(自分)だ、と思ったら(笑)、私もそういう時期がそろそろ来るのかなと…時代の流れですね。

──最後に、来年の箱根駅伝、青山学院大学はどのように進化した姿を見せてくれますか?

僕は日頃から、何かをやってしまった、そして失敗した出来事を「失敗」と呼ぶのではなくて、何もしない、そこに立ち止まっていることこそが「失敗」だと思っているんですね。
もはや何が正解か読めない時代に突入してしているということは、みなさんも理解されていると思います。ですから私は、「今日の常識は明日の非常識」、改革心を持って、チャレンジ精神を持って、これからも努力し続けていきたいと思います。
100回大会では、必ずやリベンジを誓いたいと思います。





今回お送りしたインタビューは、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。ぜひお聴きください!
過去1週間分の番組が無料でお楽しみいただけるradikoタイムフリー
番組を聴いて気に入ったら、SNSで友達にシェアしよう!
1月7日(土)OA分の放送はこちら