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2022.05.28

後輩たちへエール「“自分らしさ”を発揮してほしい」

今週の「SPORTS BEAT」は、元バレーボール日本代表の迫田さおりさんをお迎えしました。

迫田(さこだ)さおりさんは、1987年鹿児島県生まれの34歳。
小学3年でバレーボールを始め、高校卒業後の2006年にVリーグの東レアローズに入団。
2012年ロンドンオリンピックでは、28年ぶりとなるメダル獲得に大きく貢献されました。
2016年リオデジャネイロオリンピックにも出場し、5位入賞。
2017年に東レアローズを退団し、現役を引退されました。


──ロンドンオリンピックで銅メダルを獲得されたメダリストである迫田さんに、近年の日本バレー界について伺いたいんですが、東京オリンピックでは男子が7位、女子は10位という結果でした。

そうなんですよ。女子は予選通過できなくて、本当に残念でしたね。でもその代わりに、男子が本当にすごくて。もう見ていても楽しくてワクワクしましたし、“次はどんなプレーが飛び出るんだろう”って思うようなプレーをしてくれて、女子は残念でしたけど、男子のあの頑張りは、これからすごく期待したいなと思える大会でしたね。

──石川祐希選手が早くからイタリアに渡って、単身、頑張り続けた。それで「世界に出てみたい」という選手たちが増えたというのも、(男子躍進の)大きな一因なのかなと思ったんですけれども。

私、石川選手のめちゃくちゃファンなんですよ!

──(笑)。僕ももちろん石川選手は大好きですけど、バレーボールをやっている人の方が、より“すごさ”がわかるような気がします。

私は現役の時から石川選手のフォームをずっと見て研究して、トレーナーさんと「どうやったら石川君になれるかな?」という感じでトレーニングをしていたんですよ。
それぐらいフォームが綺麗で、“しっかりこうやって動いているから、あそこでバーン!と打てるんだな”ということがすごくわかりやすいフォームなので、今の小学生、中学生、高校生、大人まで、みんなに見てもらいたいと思います。

──その完璧なフォーム以外に、迫田さんからご覧になって、石川選手の「こういうところがすごい」というところは他にもありますか?

フォームとか技術はもちろんピカイチなんですが、バレーボールは1セットが25点までなんですけど、その25点の間に“流れ”ってすごくあるんですね。自分のところに流れが来たり、相手チームに流れが来たり…というところで、「今は我慢するところ」「今は攻めるところ」とか、そういう“25点までの戦い方”がしっかりわかっている。
あと、(コートには)選手が6人入っているんですけど、1人が落ち込んだり「もうできない」となった時に、必ず手を差し伸べている。そういう、技術以外のところ、人間性がある。
だからこそ、東京オリンピックで、あそこまで我慢しながら、苦しい展開でも1点を取りきれたのかなと思いますね。

──逆に、女子の中に、そういう中心となっていく選手というのは?

古賀紗理那選手という選手がいるんですが…。

──(東京オリンピックの)初戦で怪我をしてしまいましたよね。

そうなんです! リオオリンピックに出場できなくて悔しい思いがあって、東京オリンピックでは“絶対に!”と思っていたところで怪我をしてしまって、残念だったんですけれども。
古賀選手も石川選手に似ていて、技術ももちろん良いですし、ゲームの1セット、1試合のコントロール、それから(他の選手)1人1人のことも見ていたり、声もしっかりかけられる選手なんです。
そして、今年(日本代表の)キャプテンになったんですよ。初めてのキャプテンなので、潰されないようにみんなで支え合いながら、古賀選手の人間性ももっともっと高くなっていったら、面白くなるんじゃないかなと思いますね。

──世界のバレーとしては、どういう風に流れは変わっていってるんですか?

私が現役の時は、とにかくミスをなくすとか、速さで勝負する。やっぱり日本は身長が低いので、高さではさすがに勝てないですから。あと、ちょっと(相手が)嫌な小技をやったり、ブロックアウトを狙ったり、そういうことしていくというのは、多分、これからもずっと続くんじゃないかと思いますね。

──世界の強豪たちもそういうものに対応してきたり、テクニカルな部分が上がってくると、やっぱりフィジカルで劣る日本はなかなか勝ち切るところまではいけないのかな、と思うんですが…。

今、まさにそうなんですよ。もう、どの国も小技がすごいですし、足が長いので、移動が速いんですよ。「ここは届かないだろう」っていうところにボールを落としたとしても、すぐに拾われる。本当にレベルは上がってきていると思いますね。
なので、絶対に“決まった!”って思わない。あと、ラリーを続ける。日本は体力をいっぱいつけて、体力で勝って、最後、勝ち切る。ラリーをものにする。それが大事になりますね。
あとは、チーム力ですね。もうそこは絶対に日本は1番だと思うので、チーム力を発揮してもらいたいです。

──「世界の壁」というものがあるので、ぶつかってしまうこともあるかもしれないですけれども、まずはのびのびと、その世界の実力を体感してほしいですよね。

本当にそうなんですよね。「自分らしさ」ってすごく難しいと思うんですよ。時には見失ってしまうこととかもたくさんあると思うんですけど、そこで1人で悩まないで、必ず仲間がいますし、周りにはスタッフもいるし、自分以上にわかってくれる方がたくさんいると思うので、自分らしさを見失いかけたり、“どうしたらいいんだろう”って思った時は、自分から助けを求めていって、自分らしさを発揮してもらいたいと思います。
私はどちらかと言うと「当たって砕けろ」タイプだったので(笑)、「ダメだったらダメでいいじゃん!」というぐらい、当たっていってもらいたいですね。

──さあ、この番組ではゲストの方にcheer up songを伺っています。迫田さんの心の支えになっている曲を教えてください。

ベリーグットマンさんの「ライオン」です。
歌詞がいいんですよ。たくさん良い歌詞があるんですけど、1番高鳥肌が立ったのが、「泣いて悩みもがき苦しむ中でようやく今の仲間に出会えた」っていうところで、やっぱり1人ではどうにもならないことが多くて、そういう時に、“仲間が支えてくれたから立ち止まっていられないな”と思わせてくれた曲ですね。

──YouTubeで「怪我をした後のトレーニングが辛かった」とおっしゃっていましたが、やっぱりバレーボールとは少し離れたリハビリのメニューというのは、苦しかったんしょうか。

まず、「バレーボールでの悩み」ができなくなったんです。今までだったら、“どうやって打てばいいんだろう”とか“どうやったらレシーブが上がるんだろう”って悩んでいたことが、まず、そのバレーボールすらできない。“どうやったら打てるんだろう”という段階じゃない自分が、すごく悔しくて。トレーニングも、1日で筋肉がついたり可動域が広がるわけじゃなくて。
その繰り返しで、なかなか思うように進まないというのが苦しかったんですけど、その時に必ずトレーナーが手を差し伸べてくれたんです。私がどんなに「やりたくない」「なんでこんなメニューやらないといけないんですか」という態度を取っていても、私を見捨てず、手書きでしっかりメニューを書いてくださって、そこにちょっとした可愛い絵を描いてくれて、「今日もやろうね」「リオ(迫田さんのコートネーム)ならできる」って言ってくださって。
どんなに“やりたくない”と思っても、こうやって支えてくれている人がいるから、“もう1度、この人の為に1点を取りたい”って思えましたね。

──最後に、迫田さんは様々な活動を通してバレーボールの魅力を発信されていますけれども、「バレーボールのここをこういう風に見れば更に楽しくなる」という“通な見方”があったら、教えてください。

やっぱりテレビで見ていたら、アタックを決めて「ワー!」となっているところに目が行きがちなんですけど、そのアタックに行くまでの、“繋いでいる人”をぜひ見ていただきたいんです。
セッターや、レシーブの人がどういうボールを出しているか。高さだとか、ボールの質だとか、ちょっと難しいかもしれないんですけど、そういうところを見たら、「この人はすごく陰ながら頑張っているんだな、だからこれだけアタッカーが輝けるんだな」ということがわかって、更に楽しくなると思います。


今回お話を伺った迫田さおりさんのサイン入り色紙を、抽選で1名の方にプレゼントします。 ご希望の方は、番組公式ツイッターをフォローして指定のツイートをリツイートしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

そして今回お送りしたインタビュー、ディレクターズカット版は音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
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