2026年10月18日Flow 第四百二十九回目「拓哉キャプテン × 黒木華」Part2
今月のマンスリーゲストは、役者の黒木華さん!
今週も黒木さんの役者人生を伺います!
木村:蜷川さんの舞台をやられた後に、映画「東京オアシス」で、メインキャストとして初出演。
2012年には「おおかみこどもの雨と雪」で声優として参加もされてますけど、声ってどうでした?
黒木:声、楽しかったですけどね。
木村:僕はいつもゲストをお迎えしてお話しさせてもらう時に、耳にイヤホンをしてやらせてもらうんですけど、やっぱ耳にいいです(笑)。
黒木:(笑)。ありがとうございます(笑)。
木村:なので、逆にこの「おおかみこどもの雨と雪」、僕もすごい好きな作品はなんですけど、なんか「だよな」っていう。この「耳にいい」って思える、感じる人が、好きな作品の一部でいてくれることが、なんか上乗せして「よし!」っていう気持ちになれると言いますか。
黒木:嬉しいです。
木村:楽しかったですか?
黒木:楽しかったですね。でも初めてなので、難しかったは難しかったですけど。
でも、木村さんもジブリのすごいいい声でしたよ? 最初、本当に木村さんってわからなくて。
木村:(笑)。あれですか? 魔法の方(「ハウルの動く城」)ですね。
黒木:すごい好きな声だったんです。キャラクターも好きだったんで、「めっちゃかっこいい!」と思って、ああいうちょっと落ちてっちゃう感じとかもすごい自分の好きな感じだったので(笑)。
最初お声を聞いた時に、本当に絵にもぴったりでしたし、最初分からなくて、調べて、木村さんってわかった時に、すごい多才だな、すごいなって思ったんです。
ジブリ大好きで、いつかジブリに出たいって思ってるんです。
木村:いやいや、もう声良きなんで、きっとそういうことになるとは…。たぶん、湧き出る泉が何かしらエプロンをかけ続ける限り、あるんじゃないかなと思いますけど。
黒木:エプロン…そうですね。
木村:そして2012年、NHK連続テレビ小説(「純と愛」に出演。)…あ、これでテレビドラマ初なんですか?
黒木:そうなんです。朝ドラで。オーディションを受けて。
木村:でも、初だったら大変でしたよね。
黒木:そうですね。右も左もわからないまま、ドラマ、って感じでしたね。
木村:撮影自体は10か月ぐらいですか?
黒木:長かったですね。あと、「台本がこんなに多いんだ」って思ったし。「こんなバラバラに撮るんだ」って思ったし。
木村:僕も経験ないんで「あ、そうなんだ」っていうふうに。
黒木:そうなんです。ヒロインの方は、毎日10冊ぐらい台本持ってて。
木村:10!?
黒木:覚えなきゃいけないものと、その日撮らなきゃいけないものがあって、もう行ったり来たりして撮ってたんで。
木村:そうなんですね。まあ、作品によっていろいろあるとは思うんですけど…10冊。
黒木:「なんでそんなに持つの?」って。結構たくさん皆さんは持ってました。
木村:そして2013年に、映画初主演されておりまして、「シャニダールの花」っていう(作品)。そして「舟を編む」も、これは、日本アカデミー賞、ブルーリボン賞、7つの新人賞を普通に持ち帰るという。
その時、きっと周りには、「わ、あの方だ」とか、いっぱいあったと思うんですけど、そういう時ってどういう気持ちになるんですか?
黒木:賞の時ですか?
木村:賞もそうですし、それこそ自分自身が賞をいただくって、要は、その現場以外の方に称されることじゃないですか。それってどういう感覚になるのかなと思って。
黒木:でも、この頃は、自覚というか実感があんまりなかったですね。「なんか賞くれた。わーい。やったー!」みたいな(笑)。
木村:「賞くれた、わーい」(笑)。
黒木:「いただいてしまったわ」って(笑)。でも、やっぱりいい作品に呼んでいただけた、っていうことがすごく大きいとは思うんですよね。私、そういう“人の運”がたぶんめちゃくちゃ良くて。
なので、それが評価された要因だと思ってたので、その時もずっと、自分がいい芝居したとかいうことではない気がしていて。だから、たぶん「もらった。わーい!」みたいな(笑)。
木村:2014年には、山田洋次監督の「小さいおうち」に出演されていますけれども。ここで大きな転機が訪れるという。これで、第64回ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞を受賞しているという。これ、日本の方では、4人目?
黒木:4人目だったと思いますね。
木村:23歳での受賞っていうのは、最年少っていう。いやぁ、エグいですね、これ。あ、この時もあれですか? 「もらった。わーい!」ですか(笑)?
黒木:さすがにこの時は違いました(笑)。でも、やっぱり信じられないじゃないですか。海外の賞っていうのを貰うのは、自分の人生の中でもちろん初めてですし、そういうふうに賞をいただけるっていうことが、あんまり実感がなくて。
なので、呼ばれる前に皆で自分たちの席に座ってるんですけど、その時も「すごいね」みたいに言いながら座ってて。呼ばれた時に、本当に知らなくて、本当にびっくりして。何を言えばいいかも考えてなかったし(笑)。
でも、一応「小さいおうち」という作品の代表として選ばれてもいるから、「頑張ってね」って言って行かせていただいたので、嬉しかったですね。「代表として私はここにいるんだ」っていうこともそうですし、選ばれたということもすごく嬉しかったです。
木村:その賞を受賞されたっていう事実もものすごいいいことだとは思いますし。華さん自身がさっき「私は人との巡り合わせの運が強いかもしれないです」って仰ってましたけど、それをものすごく納得させられる、この流れ。
黒木:ありがたいです、本当に。
木村:だから、学生の時にちょっとそういう入り口に、こういう空間…まあ、他の人からはあまり自分のことは見られないかもしれないけど、そのトンネルの中に入ってって、ああ、こんな気持ちだったり、思いだったり、ワクワクだったり。でも、それを進んでいくと、いろんなものが見えてくるかもしれない、っていうので、掘り進めた先に、いろんな方に出会って。で、「一緒にやろうよ。来なよ」ってなって、「あ、楽しい」ってなって、そこからのFlowの仕方が本当にすごいですよね。
黒木:(笑)。そうですね。あっという間でしたね、本当に。
木村:へ~。逆に、山田監督とかは、現場でなんかありました? すごい残ってるエピソードとか。
黒木:「小さいおうち」は、松(たか子)さんとご一緒していたんです。松さんがたまたま目撃したのは、「山田さんが地団駄を踏んでた」っていうのと。
あの「ようい、はい」の前に、言いに来てくださるじゃないですか。何か言いに来て、戻りきる前に「ようい、はい」って言っちゃうから、「よい、ようい。山田さん」って言われてたのと。
あとは、ちゃんとしたのだと、「戦争を経験しているっていう世代がもう亡くなってしまうから、僕はそれをちゃんと伝えていかないといけない」っていうことをすごく話してくださったりだとか。
お芝居のやり方っていうのも、教えてくださったりとかしてましたね。「見てみて」って、「共演者の方のお芝居とかをよく見てやるんだよ」とかいうことを教えてくださいました。
木村:すごく本番っていうものを大切にされる…まあ、今はHow-toとして、デジタル化しているのでフィルムを実際に使っている現場って数少なくなってきているとは思うんで、別にNGテイクって言ったらそれまでなんですけど。撮る側も、撮られる側も、すべて準備が整ったら、初めてその時に「はい、行きましょう、本番。ようい、はい」っていう、そこまでがすごく丁寧って言ったら変ですけど、大切にしてくれる方じゃないですか。
黒木:そうですね、すごく。
木村:なんだけど、あのアンテナっていうか、感度がすげえな、って思ったんですけど。何の説明とかもないんですよ。ないんですが、モニターでご覧になる方でもないし、肉眼で見るじゃないですか。
黒木:そうですね、はい。
木村:下手したら、カメラマンの撮影監督の人が「監督、なんですか? …うん、まあ、いいや」 っていう感じのところまで、「ようい、ようい、ようい、よーい、はい」って言って見てくれるじゃないですか。その位置から、なんか急に「ぶつけるよ」って言って、「ぶつける?」って思ったんですけど、準備を整えてパッていうのではなくて、アンテナとしてふって「あっ」って受け取ってくださった瞬間は、「はい、ぶつけるよ。ようい…はい」って言って。
で、「こうなのかな?」って思ったことをやったら、「はい。いいよね。はい、はい。いいでしょう」って言って、なんかそれが進んでいく、っていうか。
あの感度と、「エンターテインメントっていうのは、暗い瞬間かもしれないけど、それを暗いまま蓄積、集積するものではなく、あくまでも僕らは映画のスクリーンで観ていただく楽しいものを作るっていう意欲、モチベーションでやってるんだよね。はははははは」っていう。
黒木:かっこいい(笑)。
木村:それで、女優さんの名前だったり、往年の監督の名前だったり、出演者の名前が、スラスラ出てくるんですよね。
黒木:すごいですよね。
木村:スラスラ出てきて、「見たことあるかね?」って言われて、「いや、ないです」って言ったら、「ああ、見てほしいな~。ああいうのいいと思うんだねぇ」って。「ああ本当ですか?(でも、あるかなぁ?)」っていう(笑)。要は、ソフトとして…。
黒木:そうですよね、残ってないかも。
木村:で、今はいくらでもいろんな配信の形態があるんで、検索してみたらその中にあったりすんのかな、って思って検索してみたら、ギリ、あるような感じの作品だったりとか。それすら「ぜひぜひぜひ。これも観た方がいいよ。こんなの最高なんだよ」っていう。
まあ、表立って次回作とか何とかっていうのは伝わってないかもしれないですけど、もう常にあるんだな、と思って。
黒木:すごい撮ってますもんね。
木村:「あれが面白い。あれはちょっとそうでもなかった」っていうのをはっきり言うし。
黒木:はい、そうですね(笑)。
木村:現場の会話として、「この間ね、観たんだよね」って言って、「ああ、そうなんですか。どうでした?」(って聞いたら)、「つまんなかったねぇ」。それ言われたらめっちゃショックだな、と思ったんだけど、でも、いち観客として気持ちは一切包み隠さない人なんだな、とも思ったし。
黒木:そうですよね。私も舞台を観に来てくださったんですけど、「華ちゃんは、ああいうのはもうやらなくていいんじゃないかい?」って言われました。
木村:(笑)。
黒木:「そうですか? そうですか…」って。だから、本当に観てくださって、はっきりと言ってくださる方ですよね(笑)。
樹木(希林)さんとかもそうですけど。希林さんにも「何で出たの?」とか聞かれた時があって、「なんででしょうね?」って言って(笑)。
木村:希林さん…ああ、本当に自分たちの背景がすごく共通しているので、なんか不思議っす。
黒木:面白いですね。
木村:面白いです。
[OA曲]
なし



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