2024年11月10日Flow 第三百二十八回目「拓哉キャプテン × 竹内まりや」Part1
今月のマンスリーゲストは、デビュー45周年を迎えた竹内まりやさんです!
どんなトークになるのか、お楽しみに!
竹内:こんにちは、竹内まりやです。
木村:お願いします!
竹内:よろしくお願いします。
木村:いやぁ、来てくれたよ! もう色んな、うちの後輩の音楽番組だったりとか、林先生の…。
竹内:観てんの(笑)?
木村:いやいや! むしろ、まりやさんが色んな番組で、今回作られたアルバムのプロモーションをされてるのを見て、「何でうちに来てくんねーのかな?」と思ってたんですよ。
竹内:いや、そんな(笑)
木村:本当に! それこそこの間、このTOKYO FMで「まりやさん来てるよ。」っていう話を伺って、それで「じゃあ俺、挨拶しに行くわ。」って言ってお会いしたじゃないですか。
竹内:そうなんですよ。たまたま同じ日にいたのよね。
木村:そうなんですよ。ちょうどこのスタジオだったんですけど。このスタジオに僕がお邪魔して、「じゃあ失礼します。自分のラジオやってきまーす。」って言って戻っていった時に、スタッフに「まりやさんって(出演)無理なのかな?」って言って(笑)
竹内:そうだったんですね。ありがとうございます。嬉しいです。
この番組はよく聴かせて頂いてますし…。
木村:本当ですか!?
竹内:うん。天海さんがゲストだった時も、私あのドラマすごく好きで観てたから、「どんなお話かな?」と思って興味深く聴いてたんです。「なかなかお呼び掛かんねーなー。」と思ってた(笑)
木村:(笑)
いやでも、今回の自分が作らせていただいたアルバムがあったんですけど…。
竹内:『SEE YOU THERE』。
木村:はい。そちらの方に楽曲を提供してくださいました。
竹内:ありがたいことに書かせて頂いて。
木村:いやいや、それはもう俺の言葉ですから。本当にありがとうございました。
竹内:いやいや、本当に楽しく書かせて頂きました。
「10月の恋人たち(Lovers in October)」をね、書かせて頂いて。皆さん、錚々たる作家の方が並んでいらして、私が書くんだったら、なんか若き日の取手くんが恋してるみたいな、ちょっと奥手な感じの男の子がこれから恋にときめく、みたいなシーンを思い浮かべながら書いたんですけど。
そういうタイプの曲をレトロなメロディーで書く人は多分いないだろうから、これを歌ってみてほしいな、って出したら、多保さんの編曲がかっこよくてね。ギターサウンドで。
木村:いやちょっとね、まりやさんを前にこれを話していいのかどうか、すごく迷うんですけど…。一番最初に頂いた、「こんな雰囲気どうかしら?」っていうデモがあったじゃないですか。
竹内:うんうん、あったね。
木村:もうあれを聴いた時に、イメージと言うか想像したんですよ。きっとアルバムを作るってなると、それをステージ上に持っていく。で、オーディエンスのみんなに聴いてもらう。っていうのが、僕はアルバムのゴールだと思ってるので。その想像した自分が、ものすごく照れくさくなっちゃうんで(笑)
竹内:だろうね(笑) そう言ってたもんね。
私は間奏の中にセリフまで入れてたじゃん(笑) 「これ言って欲しいな。」ってセリフあったんだけど、「言わねーだろうな。」って思ってたら、やっぱりその通りだった。
木村:自分がステージ上で、客席の皆にこの曲をそのままやった場合、「俺立ってられるかな?」っていう(笑)
竹内:照れくさすぎてね。
木村:はい。それで…。
竹内:「ロックサウンドにしちゃえ!」ってなったの?
木村:そうです。
竹内:でも、それが正解だった。
木村:マジですか?
竹内:私あれがすごい新鮮で。なんかビーチボーイズスタイルのコーラスが入ったポップスに仕上げれば、それなりに聞こえるとは思ったんだけど、「こう来たか!」っていうアレンジだったから。それが拓哉くんにぴったりだった。本当に良かったなと思って。
木村:へ〜。今ライブの話になりましたけど、横浜アリーナの方にも来てくださって。
竹内:はい。見せて頂きました。初めの日だったんで、さんまさんも来られてたんですよね。
木村:あ〜、そっちの日ですね。すいません。何か色々ご迷惑をお掛けして。
竹内:いえいえ。すごい楽しかったし、さんまさんの歌詞もすごく素敵だなと思った。『SEE YOU THERE』に入っている「メニュー」だったっけ?
木村:(笑) はい。
竹内:あれも聴けたし、良かったし。
でも何しろ、私この前このスタジオでも言ったと思うけど、拓哉くんの歌がすごく進化してたのね。すごい丁寧に歌ってるって言うか。何だろう? 心を込めてちゃんと1つずつを歌っているし、尚且つ、曲調に合わせて歌い方を少しずつ変えてたじゃない。ロックはロックで、バラードバラードで。でもちょっとハードなやつって言うかステップ踏んでやるやつはそれなりにとか、主張するのはちゃんと声を張り上げて、とか。「すごい進化してる。」と思って、感動しましたよ。お世辞じゃなく、本当に。
木村:(笑) いやいや、ありがとうございます。
竹内:いやでも、良いライブでした。本当に。ファンの皆さんも本当に熱かったよね。いいもの見せてもらいました。
でもそう考えたら、拓哉くんとの歴史と言うか、出会いを辿って考えると、1995年の「今夜はHearty Party」の時が出会いじゃないですか。
木村:そうです。
竹内:だから「もう30年近くか〜。」と思って。こうやってマイクを前にして喋るなんてことがそれまでなかったから、何か微妙な感じがして(笑) すごい古い知り合いなのに。
木村:(笑) いやもう本当に、今でも「Hearty Party」っていう、すごいカジュアルでポップでおしゃれで、っていう曲なんだけど、その「今夜はHearty Party」ってタイトルを聞いただけで、俺緊張しますから。
竹内:あーそう。だけど全然緊張の素振りも見せないで、1人でランクル乗ってやって来たの。私と達郎はそれにまず驚愕して。「え、1人で車を運転してやって来たよ。」、こんなチェーンベルトかなんかじゃらじゃらさせて(笑)
木村:(笑) はい。
竹内:でもすごく礼儀正しかったの覚えてるし。で、当時22歳の木村拓哉さんがですね、本当に頑張って私達の指示通りの言葉とかを囁いてくれたりとか。
木村:いやいや、だってさ、竹内まりやさんが、「今夜はHearty Party」という曲の中で、歌詞の一節に自分のことを表記してくれている、と。「え〜、マジ?」ってなって、「『良かったらその曲のレコーディングに参加しないか?』って言われたけどどうする?」って言われて。
竹内:普通「ノー」だよね。
木村:いや、「ノー」じゃないじゃないですか。
竹内:っていうか、「キムタクさえも かすむような男」っていうフレーズがある中で、キムタクさんが出てくる、ってさ、「失礼じゃん。」って普通思うから。「まぁこれ駄目元で言ってみようか?」って言ったら、「やります。」っていう返事が来た時、「え〜、マジ?」って。
木村:いや、それはやりますよ!
竹内:いや〜、あれはびっくりでしたよね。
木村:それで僕は、「俺この後竹内まりやさんと会うんだな。どんな感じなのかな?」みたいな感じでいたら…。わかります? 100%頭ん中が「アーティストの歌を歌っている、シンガーソングライターの竹内まりやさんに会える」っていう、「ちょっと綺麗なお姉さんに会える」っていう頭で俺行ったんですよ。
竹内:(笑) マジで? だいぶ外れたね(笑)
木村:で、パッてスタジオに行ったら、綺麗な年上のお姉さんより先に…。
竹内:プロデューサーがいた?
木村:プロデューサーと言うか、「えっ? 何で『クリスマス・イブ』がいるの?」っていう。
竹内:あ、そんな感じだった? でも、私のプロデューサーだから、普通にいるって想定するかな、と思って。
木村:しないでしょう。それはしないっすよ。
竹内:そうだったんだ。でもあの時、平然とやって来たよ。「ちわーっす。」みたいな感じで。
木村:いや、多分ね、言葉を失ったんだと思います。
竹内:いやいや。それで、一番驚いたのは、「愛してるよ。」とか、「パーティーやろうよ。」とか、そういう言葉をいっぱい録ったじゃないですか。その後に、「こんなに言葉録ってくれるんだったら、せっかくだから『twinkel twinkel』のところのハモリも一緒にコーラスでやったらどうかな?」って私が提案したら、「いいっすよ。」って言って、達郎と私の真ん中に挟まれて、1本のマイクで、『baby baby yeah』って歌った時に…。だって初めてじゃん。この曲聴くのも、それからそこにそんなフレーズが入るのも。でも私が1オクターブ上で歌ってる部分の、ちゃんと1オクターブ下をバシッと取って、『twinkel twinkel yeah』って歌った時、「すげ〜。」と思ったの覚えてる。
木村:何ですごいんですか。
竹内:だって拓哉くんステップ踏んでたよ、あの時。
木村:え? え?(笑)
竹内:平然とやってたことにまず驚きました。平然を装ってたってこと?
木村:装ってたって言うか、たまたま平然に見えたんじゃないですか?
竹内:うん、まぁそうかもしれない。落ち着いて見えたよ、すごく。で、すごく礼儀正しかったから、「やっぱただもんじゃないな。」って(笑) 私『Expressions』の曲目解説にもそのエピソード書いてるけど。「ただもんじゃねーなぁ。」ってすごい思いました。それは当たってましたね。
木村:いやいや。 今まりやさん言ってくれたけど、「何で俺が真ん中に挟まれてんの?」っていう状況で、「プロデューサー」ってさっきも仰いましたけど、山下達郎さんがこっちにいて、竹内まりやさんがここにいて、で、挟まれてる自分っていうのが、何だろうな? ないでしょ? 普通はないと思います。
竹内:なかなかそういう形でのコーラスはないですよね。たまたま「あのフレーズを一緒に歌いたい。」っていうふうに提案して。
でもあれがあったお陰で、やっぱり違うよね。
木村:そうですか?
竹内:「かすむような男」じゃない本人が歌ってるわけですから(笑) だから、なんかすごい楽しい思い出の詰まった曲になりましたよね。
木村:いやもう、自分の経験の中では、何なんだろうな? ほら、思い出を陳列できる棚があったとしたら、すごく目の行く場所に置いておける思い出と言うか。
竹内:そうなの? じゃあハッピーな思い出じゃん?
木村:いや、ハッピーですよ? 結果、ハッピーなんですけど、バックストーリーが濃すぎて(笑)
竹内:容易には取り出せない(笑)
木村:そうそう。なかなか(笑) 飾ってるのに、それを手に取ってっていうことはなかなかしないっていう。
竹内:なるほど。でも良かった。あの出会いがあってこその今だし、しかも30年経ってるってちょっと信じられないよね。
木村:そうですね。
竹内:でも、元々「Hearty Party」で「キムタク」というワードを入れようと思ったきっかけが、1994年に私がベストアルバム『Impressions』出した頃に、知り合いの人のお子さんが、「おばちゃん、芸能界にいるんだったら、木村拓哉さんのサインを貰ってくれる?」って仰って。で、「ごめん。おばちゃんその人知らない。」って言って(笑) 「えー、知らないの?」って言って。
それでしばらくして、何となく「あすなろ白書」っていうドラマを観てて、「眼鏡掛けてやってるこの人は誰だろう?」って(笑) 「なんか私この演技好きだな。」と思って観てたら、最後にクレジットが「木村拓哉」で、「あ、あの女の子が言ってたこの子だ!」っていうのが一致したんですよ。
木村:へぇ〜。
竹内:それで、何かあれよという間に「キムタク」っていうワードが1人歩きをして、何となく「あ、分かった。この人。」ってなったから、「ケンタッキーフライドチキンのコマーシャルソングで、パーティーソングを作ってください。」って言われた時に、「女の子が失恋しちゃって、次に恋する時にはもうキムタクさえも霞むような男と恋する」みたいな、そういう女の子が集まってるパーティーをイメージして作ったの。だから、この「キムタク」っていうワードを頂戴しようかな? って。それで書いたんですよね。
木村:お〜。いやぁ、何か「イェーイ。」って感じ(笑)
竹内:懐かしいですよ。そういうこと考えると。
木村:そうっすね。30年前なんですね。
竹内:ね。
[BGM]
M.“10月の恋人たち(Lovers in October)”/木村拓哉
[OA曲]
M.今夜はHearty Party/竹内まりや
[後TM]
M. Yellow Summer/Kenichiro Nishihara
レーベル:IntroDuCing! / 規格品番:FAMC-091