東京からはるか1000キロ南、小笠原諸島・父島在住の写真家で映像作家、MANA野元学さんのインタビュー、何度かに分けてお送りしてきましたが、今週でラストとなります。
およそ25年にわたMANA野元学さん。特にイルカについては、「ドルフィンスイム」
つまり、イルカと一緒に泳ぎながら、イルカたちを撮影するのだそう。最後はこのドルフィンスイムのお話を伺いました。


 小笠原はイルカと1年中泳げます。小笠原にはミナミハンドウイルカ、ハシナガイルカという代表的なイルカがいます。ハシナガイルカは、ミナミハンドウイルカと比べるとやや小さくて細身のイルカです。大きな群れを作ります。船の舳先についたり、波に乗ったり、ジャンプをしたりアクロバティックな動きが特徴のイルカです。ハシナガイルカは結構シャイなので、人が海に入ると、さっと深い海に潜っていってしまいますので、スイミングには向かないんですけれども、もう一つのミナミハンドウイルカは気分が乗れば一緒に泳ぐことができます。向こうがこっちに興味を持って、人の周りをぐるぐる回ったりするんです。
 30年前から小笠原でドルフィンスイムというのが始まっているんですが、最初の頃は素通りが多かったですね。でも、人に慣れてきたようで、この3年位、今まで一緒に泳げなかった、一緒に水中で近くで見ることができなかった、ハシナガイルカに接近できるようになりました。20〜30年前は海に入った瞬間に深くに潜ってしまって、あっという間にいなくなってしまっていたのが、最近はまれにすぐ近くに来ることがあります。ハワイ諸島なんかではハシナガイルカと一緒に泳ぐツアーがありますけれども、だんだんそれに近くなってきたんじゃないかなと思います。


〜イルカはすぐ近くで撮影するのですか?
 ほぼ毎回イルカと肩がぶつかる位の距離で泳いでいます。イルカは、実は合図を送ってきます。群のいるところに船を近づけて海の中に入る、またはイルカがやってくるの海の中で待ちます。そうするとイルカがだんだん近づいてくる。その時にイルカたちが見るんですよ。見て、「君どうするの、何かする、一緒に泳ぐ?」と言っているように思うんですね。目で合図をしてくるんですけど、その時にすかさずイルカの目を見て潜ったり、回転をしたりするとイルカのスイッチが入るんです。泳ぎ慣れている人はみんなそうやってイルカの目を見て、合わせてもぐったり回転をしたりすると、イルカたちがそれに合わせてその人の周りをぐるぐる回ったりすることが多いですね。ただその合図を送ってきているのに気づかなかったり、それがわからなかったりすると、イルカは「なんだ」という感じで、行ってしまうことが多いですね。
 イルカに近づくのも、クジラと同じようにルールを決めていまして、イルカの群れにエントリーできる船は4隻までと決まっています。5隻目から後の船は外で待たなければいけないんです。1つの船が終わってからまた入ってくる。最大で5回までエントリーができますが状況によって、イルカが嫌がっていたり、生まれたばかりの赤ちゃんがいる群なんかは割と神経質になっているイルカも多いので、それ以上は近づかない、そっとしておいてあげるようにしています。


〜これからの季節の小笠原はどんなふうなんでしょうか。
 これからの季節の小笠原は初夏になって、色がどんどんどんどん濃くなっていきますね。きれいな島の風景が出来上がります。小笠原には梅雨という括りがないんですけれども、雨季があります。それが終わった直後、6月の中旬から7月の中旬が僕が一番大好きな季節です。というのは、先程も言いましたが色がものすごく綺麗なんです。いろんなものが光り輝いているんです。海はツルツルになる時があります。初夏の時に、風が全くない日が出てくるんですね。そういう時は小波ひとつ立たないので、海面がガラスのようにツルツルになってしまうんですね。そこにイルカが現れると、もうこの世のものとは思えないです。船の上から海の中を見ると、海の中を泳いでいるイルカが透けて見えるんですよ。ボニンブルー、どこまでも濃い透明な青い海にイルカが泳いでいく姿がボートの上からでもはっきり見えるんですね。

MANA野元学さんのお話いかがだったでしょうか。インタビューの模様はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。こちらもぜひお聞きください!

【今週のオンエア曲】
・明日も / SHISHAMO
・Bubbly / Colbie Caillat

先週に引き続き、東京からはるか1000キロ南、小笠原諸島・父島在住の写真家で映像作家、MANA野元学さんのインタビューをお届けします。
「東洋のガラパゴス」とも言われ、独自の進化を遂げた生物・生態系をもち、世界自然遺産にも指定されている小笠原諸島。
ただ、人が生活をする中で持ち込んだ、本来は島にいないはずの生き物によって、その固有種の存在が脅かされてきた現実もある・・・
先週はそんなお話を伺いました。
その一方、小笠原では、こうした固有種を守るため、様々なルールを作ることで、島の固有種を守ろうとしています。

 やはり、意図しないところでも外来種を運んでしまうことがありますよね。例えば靴の底についた泥と一緒に紛れている植物の種や、他の生き物といったものが入ってしまう可能性もあります。ですので、できるだけ自然にインパクトを与えない、そして、小笠原の固有種を大切にする、将来残していく色んな取り組みがされています。
 小笠原に行くには、東京からおがさわら丸に乗るんですが、船のタラップに、海水を染み込ませたり足拭きマットのようなものもあります。そこで少しでも靴に付着した植物の種ですとか、泥などの他の生物が入る可能性があるものを取ろうということです。定期船が父島に着いた時にも、やはり同じように海水を染み込ませたマットと、泥落としマットを歩いてから上陸します。他の所でも、たとえば山の中に行く時も、いろんなことがあります。靴の底に付いている泥の中にプラナリアという生き物が潜んでいる可能性があるんです。ミミズのような、細長いヒルのような生き物なんですが、これがカタツムリを食べてしまう。小笠原を世界自然遺産に導いた立役者のカタツムリたちを食べてしまうんです。でもこのプラナリアは、海水に弱いので、海水の染み込んだマットで防ぎます。また、靴底に酢のスプレーを吹きかけるとプラナリアは死んでしまうので、そうやってブロックをします。


〜ちゃんと人間がルールを作って守ろうとしているんですね。小笠原の海の色を”ボニンブルー”と呼ぶそうですね。
 ボニンブルーとは小笠原の独特の青い海の色のことです。ハワイや沖縄の浅くて、きれいな青色のことをボニンブルーだと思ってらっしゃるかもしませんが、ボニンブルーは濃くて深くて青い海の色のこと。”ボニン”は小笠原の英語名で”ボニンアイランド”からきています。本当にきれいなコバルトブルー。暖かい潮が運んでくるので冬の間はあまり見られないんです。夏の間の温かい潮だときれいな青色になります。海に入ると映画グランブルーのような感じですね。青い色に染まる。イルカたちが泳いでいて、ドルフィンスイミング、イルカと泳ぐツアーもたくさんあります。

〜ホエールウォッチング発祥の地が小笠原、いろんなルール作りも元祖だと聞きました。
 小笠原は日本で初めて商業的なホエールウォッチングが始まった場所です。その時にウォッチングの自主ルールも作られました。小笠原はたくさんの鯨類がいますが、その代表がザトウクジラ、マッコウクジラ、ミナミハンドウイルカ、ハシナガイルカ。イルカとクジラは同じ生き物で大きさによってイルカと呼んだりクジラと呼んだりします。4メートルより大きければクジラで、それ以下がイルカ。その4種類が小笠原で見られる代表的なものです。例えば冬の間に出産や子育てのためにやってくるザトウクジラを見るためにウォッチングしている船は、クジラとの距離が300メートルになったら船を減速させます。ザトウクジラの場合は、クジラとの距離が100メートルになったら、エンジンを止めて船を動かさない。マッコウクジラの場合は50メートルです。また、クジラの進行方向には船は侵入しないというルールもあります。ある時、船にどんどん近づいてくる子鯨がいました。クジラから100メートル以内になったら船は動かさないよという自主ルールがありましたけれども、クジラの方から船に寄ってくる分には、関係ないんです。何度も何度も近づいてくるんですよ。そのたびに母鯨が来て「だめですよこんな所にきちゃ」と言っているかどうかはわからないけれども、子鯨が現れると母鯨があらわれて連れて行く、また子鯨が母親の目を盗んで近づいてくる。そのうちに、ウォッチングをしている船の横に来て、ゴロンと横になったんですよ。そして、大きな目玉でじーっとこっちを見ているんですね。クジラは人間みたいに目が前についていませんから、ゴロンと横になってホエールウォッチングをしている僕たちを見るんですよ。僕たちがホエールウォッチングをしていると思っていたら、実は鯨がヒューマンウォッチングをしているんですね。
 また、親鯨も大接近してくることがあります。こちらは大きいんですよ12〜14メートルくらいあります。そんな大きい鯨が船の真横でいきなり、浮上してきて潮を吹くんですね。もうびっくりです。


MANA野元学さんのインタビュー、いかがだったでしょうか。来週も続きをお届けします!
【今週の番組内でのオンエア曲】
・Calling me / EGO-WRAPPIN'
・Big Sur / Jack Johnson
先週に引き続き、東京からはるか1000キロ南、小笠原諸島・父島在住の写真家・映像作家、MANA野元学さんのインタビューです。
「東洋のガラパゴス」とも言われ、独自の進化を遂げた生物・生態系をもち、世界自然遺産にも指定されている小笠原諸島。
きょうは、この島で暮らす生き物たちのお話、いろいろ伺っていきます!


〜小笠原でしか見られない固有種はどれくらいいるのですか?
 小笠原の固有種は昆虫で全体の28%、植物で36%、鳥類は100%なんですね。鳥は8種類しかいません。哺乳類も1種類しかいませんが、それも固有種です。陸産貝類・かたつむりは94%が固有種です。
 小笠原の凄いところは生活圏の中にも固有種がたくさん見られることなんです。僕が好きなのはアカガシラカラスバトという固有種です。森に住んでいるハトの仲間で、公園にいるハトよりもひとまわりかふたまわり大きくて、黒い色をしたハトです。光によっては頭から首筋まで虹色に輝くんですね。アカガシラカラスバトという名の通り、頭が赤いワインレッドの色をしています。小笠原の固有種で国の天然記念物でもあるんです。島では”赤ぽっぽ”という可愛らしいニックネームが付いていて、みんなに親しまれています。
 以前は幻の鳥と呼ばれて、数が非常に少なかったんです。2008年から本格的な保護保全事業が始まったんですが、その当時は地球上で40〜60羽しかいないといわれていました。固有種だから小笠原にしかいない。ということは地球上で小笠原にしか見られない。それが40から60しかいないといわれていました。それを絶滅させないために2008年に行政、研究者、環境NPO NGO、地元の人たちが一堂に会してアカガシラカラスバト保全国際ワークショップを開きました。そこである1つの結論に達しまして、それを実行したことによって少しずつですがアカガシラカラスバトの数が回復してきたんです。それは野猫と呼ばれる野良猫、野生化した猫を島から捕獲をしてなくそうという事だったんですね。というのは、アカガシラカラスバトはちょっと変わった鳥で、地面を歩いて餌を探す時間がものすごく長い。もともと天敵は小笠原の生態系の頂点にいる猛禽類のオガサワラノスリだったのですが、それも天然記念物で小笠原諸島の固有種でこちらも絶滅危惧種です。その鳥が唯一アカガシラカラスバトの天敵で、猫はもともと島にはいませんでした。猫は人間が持ち込んだんです。通常、アカガシラカラスバトが森の中を歩いて餌を食べているぶんにはは、天敵であるノスリに見つかる確率が非常に少ない。上を木が被っているからです。ですので、警戒心なく無防備に餌を食べているところを猫に襲われてしまうんです。僕は写真をずっと撮り続けているんですが、山の中でじっとしているとその鳥が現れてエサを食べます。時々僕の目の前を通っていくときもあります。ある時なんか、餌を探して食べるのに僕の足の上をトコトコ歩いて行ったこともあります。それぐらい無警戒なので猫がいると簡単に捕まってしまうんですね。ということで数百の猫を捕獲しました。そうするとハトの数が少しずつ回復してきました。10年後の今は400とか500羽ぐらいいるんじゃないかと推定されています。10倍増えてすごいと思うかもしれませんが、それでも自然界ではいつ絶滅してもおかしくない数字です。とりあえず猫が野生化したものを100%排除して、東京の獣医師の先生のところに連れて行くために船会社の協力があったり、いろんな方の協力で猫を最終的に里親のところに引き渡します。そして猫たちは、また幸せな第二の人生を送るということをやっています。


〜猫以外にも問題になっているものはありますか?
 特定外来生物に指定されているグリーンアノールというトカゲの仲間です。カメレオンのように色が変わって、茶色だったり緑だったりします。それが小笠原の昆虫をパクパクと食べてしまうんです。食欲が旺盛で繁殖力がものすごい。そのために絶滅してしまった昆虫もいます。オガサワラシジミと言う蝶々の仲間がいたんだが、以前は父島でも少数ですが、見られていましたが、グリーンアノールに食べられてしまって父島では見られなくなってしまいました。グリーンアノールは外国から来る貨物船に紛れて入ってきたようです。今はグリーンアノールがこれ以上奥に入り込まないように柵を設置したり、トラップを仕掛けたりいろんなことをやっています。

MANA野元学さんのインタビュー、いかがだったでしょうか。来週も続きをお届けします。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Don't Lie / Black Eyed Peas
・大空で抱きしめて / 宇多田ヒカル
今週は、東京からはるか1000キロ南に浮かぶあの島。小笠原諸島・父島の空気を感じていただきたいと思います。
お話を伺うのは、MANA野元学さん。父島在住の写真家・映像作家です。およそ25年間にわたって、小笠原諸島の美しい自然や貴重な固有の動植物、野生のイルカやクジラの撮影を続け作品を発表されていて、ネイチャーガイドもされています。そんなMANA野元学さんに小笠原の森や自然、魅力や楽しみ方まで色々伺いたいと思います!


〜父島には船でしか行けないのですか?
 島には飛行場がないので船でしかし島には渡れません。2016年に船が新しくなって、それまでは25時間半かかっていたんですが、少し短縮されて24時間になりました。丸一日ですね。

〜もともとはハワイに拠点を置いてフォトグラファーとして活躍されていたそうですね。その後小笠原諸島に通って撮影を続けて、小笠原に移住されたそうですが。
 気がついたら小笠原に住んでいました。ハワイも良い所でしたので長く住んでいたんですが、その時はプロフェッショナルサーフィンとか、ウィンドサーフィン、スノーボーディングといった動きのあるスポーツを撮影していたんですね。ある時、25年前になるんですが、日本の雑誌社から小笠原で撮影をしてくれないかという依頼があって、初めて小笠原に行ったんです。そこで1度目で小笠原大好きになっちゃっいました。島の人たちは、船が小笠原についてその船が東京に帰るまでを一航海と呼んでいて、それが6日間なんですが、僕たちは二航海12日間の予定で島にいたんですが、いろんなところを探検したりサーフィンをしたり、島を見て回っているうちにどんどんこの島を好きになっちゃったんです。僕は写真家ですから写真をもっとたくさんあれもこれも撮りたいという思いがどんどん強くなって、編集者の人に無理を言って「フィルムだけ持って帰ってください、僕は残っていいですか?」ということで1人で残っちゃったんです。それからいちどフイルムの仕上がりをチェックするために東京に戻って、それが終わったらまた島に戻ってきて、そこから、島と日本とハワイと行ったり来たりという生活が始まったんです。

〜本当は帰る予定だったに、なぜ島に残ろうと思ったのですか?
 いちばん最初に虜になったのは、小笠原に初めて来て、イルカと一緒に泳いだということなんです。ハワイにももちろんイルカはたくさんいるんですけれども、一緒に泳いだことはなかったんです。小笠原で初めてイルカと泳いで、写真を撮ったんですが、その時の印象がものすごく気持ちが良くてですね、その1回で虜になってしまいまた。それがきっかけで小笠原が大好きになって、何度も何度も通ううちにに、小笠原の絶景、小笠原にしかいない生き物、クジラ、そういった小笠原のいろんなものに興味が出てきたんですね。

〜小笠原は2011年に世界自然遺産に登録されましたが、その理由が固有種が多いからだそうですね。
 固有種というのは、その場所でしか見られない生き物、動植物の事で、小笠原はその宝庫なんです。地球上で小笠原諸島にしか見られない生き物動植物がたくさんあるんです。
 小笠原諸島は海洋島、島が誕生してから1度も陸地とつながったことがない島です。4400〜4800万年前に島が誕生したんですが、誕生してから周りの陸地と1度もつながっていない。全部海に囲まれて太平洋の真ん中にぽつんとした島。だから生き物がなかなかたどり着けないんです。陸続きですといろんな生き物、動物なんか足があるのは歩いて行ったり来たりできるので同じような種類がいろんなところにいるわけです。植物も同じ種類のものが広い範囲で見られますが、広い海が周りにある所というのはなかなか偶然じゃないと生き物ってたどり着けないんですよ。運良くそこにたどり着いた生き物が長い年月をかけて、その場所に適応するように進化をするんですね。そうした進化をしたものが独特な違うものになっていく。そういうものを固有種というんですね。有名なところですと、ガラパゴス諸島、ハワイ諸島なんかもそうです。だからガラパゴスやハワイでしか見られない生き物もたくさんいますね。


MANA野元学さんのお話、いかがだったでしょうか。来週もインタビューの続きをお届けします!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・As You Are (feat. Shy Carter) / Charlie Puth
・High on Life / Def Tech
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高橋万里恵
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