すずり職人であり、その「材料としての石」まで自ら探し、研究する方、その名も・製硯師の青傍史さんに硯の石を探し求める旅のお話、いろいろと伺ってきました。
今週は、青砲気鵑本当に伝えたい「毛筆/書道文化」のお話。毛筆をより親しむコツ、楽しみ方なども教えていただきます。


 僕はロッククライミングをやったりしているんですけれども、山はやっぱりなめてかかってはいけないんです。山で命を落としてはいけないですし、山の人が無理だという山は登れないんです。ただ、あそこにいければ本当に良い石が、良い硯になりそうな石があるというのを遠目から双眼鏡で見て、いまだにみてはアタックできていないところが木曽にあります。実は今週も行こうと思っていたんですよ。実際には数百年前はその石で硯を作った形跡があるんです。どうやらがけ崩れで登れなくなったようなんですね。剥離の仕方がまだ新しいので、川の形もそうですし。だから、行くたびに前でお湯を沸かしてコーヒーを飲みながら覗いているんですね。また会いに来たよ、みたいな。やばいですね(笑)

〜アウトドアの新しい楽しみ方になりそうですね。
 友達と山やキャンプに行ったとき、そこの湖の石を拾ってきて、硯に加工して墨をすって、みんなでお題を出して、扇子にお題について書くんです。ウィンナーで一句とか、来年の抱負みたいなものとか。それって手元に残るので、なかなか良いキャンプの思い出になります。

〜すごい面白いですね。みんな小学校のときは習字の時間に墨で文字を書くことはしていたと思うのですが、久しくやっていない方がまたやってみようと思ったとき、アドバイスはありますか?
 年賀状の宛名書きぐらい毛筆で書こうかなと思っても、人様の名前を書くときにきれいな字じゃないと、というご意見があるじゃないですか。だったら自分の中だけで成立できるものがあったら良いなと思うんです。僕が普段からやっていることなのですが、僕は年末に感謝状のようなものを書いているんです。12月の28日から30日あたりに、3時間から4時間ぐらい時間を設けて、便箋か巻紙を用意して、例えば今年の1月1日から自分がどんな生活をしていたかを見るんです。こんな仕事したな、こんな人にあったなと振り返ってから手帳を置いて、1月1日から思い浮かんだ人の顔と名前、これをフルネームで書くんです。そして、その方に言いたいこと、感謝の言葉やあの時はうまく話せなくてごめんなさいみたいなこともそうだし、言えなかったことを書いていくんです。ルールがあって、お名前1行、その方へのメッセージ1行。長くない方が良いんです。そうすると1行だけで書くのでその方のことをよーく考えるんです。そして何を伝えたいかということを自分の中で作っていきます。作っていきながら墨をすります。すっている時間でそれを考えるんです。そうすると墨をするという時間が良い匂いもしますし、1年間お世話になった方のことをよく振り返らせてくれる時間にもなる。僕はこの年末の3時間から4時間、すごく大事な時間だとしていて、年末感謝状を書き終わったら封筒に入れて封をします。誰にも見られないようにしまってしまいます。そして翌年の年末自分で開けるんです。そうすると去年はあの人とこんなふうに密接に関わっていたんだなとか、今年はご無沙汰しちゃったなとか、そういったものがわかってくるんです。LINEとかメールって年末に見返す事は無いじゃないですか。でも巻紙だと、この人とこんなことをしたなということが見えてくるんです。非常に昨今スピード感のある世の中で、バタバタしやすい年末、ここをちょっと立ち止まってというか、ぐしゃぐしゃと風呂敷を畳んじゃうのではなくてきちんと風呂敷を畳んで1年も終わる良い機会かもしれないですね。
 硯というと、筆記用具の中でも一番めんどくさい道具かもしれないですけれども、一番思いが伝わるものだと思いますし、自分の中でそれをもう一度解釈、咀嚼することができる時間を与えてくれる道具だと思います。これに上手い下手はないです。なのでご自身の事を許してあげられるきっかけになりますし、もう一つ、毛筆は上手い人しか書いてはいけない道具ではないんです。基本的には筆記用具の1つです。なので気軽に使っていただきたいんです。見られるものだと構えちゃうから、見られないところで、年末感謝状のようなもので自分の中で、きちんと整理するために穏やかな時間を設けるために使ってもらえたらいいと思うんです。


〜青柳さんと話していたら急に墨をすりたくなりました。またお話聞かせてください
 今度は山で収録したいですね。山で飲むコーヒーはおいしいですが、山で書く字は格別ですね。

青柳貴史さんのお話、いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください。


番組内でお話していた、青柳さん、高橋万里恵さん、スタッフみんなで筆で書いたものです。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Circles / Post Malone
・Family / The Chainsmokers
今週も、製硯師・青傍史さんに、書道用具「硯」作りをめぐる、知られざる世界のお話を伺います。
青柳さんはいま取り組んでいるプロジェクトがあるということで、日本が誇る硯用の石の採掘地、宮城県雄勝にある「御留石」を持ってきてきていただきました。

 宮城県の硯産業は、日本の硯の最大生産地なんです。現在は、東日本大震災で津波をかぶり、職人も大勢いなくなってしまいましたが、それまでは全国の小学生の書道バッグの硯は雄勝の玄昌石で作って全国の子どもにまわっていたんです。いまの小学生はプラスチックの硯が主流です。それがいまの雄勝と日本の硯と習字の現状ですね。
 宮城の雄勝町は歴史がありずっと硯産業を担ってきました。伊達政宗が雄勝湾の対岸の石で作った硯をみて、「すごく良い」と、雄勝の職人に作ってもらい愛用していました。それで、大変優秀な硯なので仙台藩外への流出を禁止するということから、御留石という名前がつきました。宮城が生んだ日本の至宝です。大変素晴らしい石です。
 雄勝は震災で町が壊滅してしまったので、いろいろなインフラ整備をしています。その整備の一環で、道路が御留石の鉱脈のど真ん中を通過してしまうので、鉱脈を潰してしまう形になる。着工が近々ということで御留石が取れなくなる可能性が非常に高いので「今のうちにとりにきてみませんか」というお話を宮城の方からいただいて先日採石にいきました。ただとれば良いわけじゃないんです。ざくざくとるのでは使わない石が出てしまうので、僕は基本的に石を山からいただくときはオーダーに応じていただくんです。ピンポイントで「山のここをほしい」とタガネを当てていただいてくるんです。山の中に矢印が見えるようになると良いんです。斜面に矢印が見えると石がどういうふうに山にセットされているか、石が出来上がるまでの矢印が見えてくると山から石をいただきやすいんですね。小さな矢印がたくさんみえると、そこは集合している霜降りの部分。それが見えてくると無駄なく石が頂けるし、素材をとって、僕の調理台にもっていったときに、矢印が見えた状態だからこそ石にストレスを与えず、矢印に抗うこと無くカタナを当てることができる。
 硯創りは技術的に造形を作るのは後でもよいと思っています。山の情報をどこまで理解できるかが前提で、良い硯というところに導いて差し上げられるんじゃないかと思うんです。例えば宮城の若い職人さんと交流して、そこの職人が山に対してより愛情が深まるような山や石との付き合い方を雄勝の職人の若手と一緒に取り組みたいと思って、御留石の採石に挑んだという経緯があるんですね。石はしゃべらないので、視覚的にどういう状況なのか、せめて矢印が見えることが石を理解するのに最も早い方法で、かつ濃密に石を理解できることなんです。僕も勉強が必要だし、これからも雄勝に入って職人たちと仲良く勉強していきたいと思ってます。
 御留石は日本の硯の材料の中で、たいへん優秀な材です。これを、硯の本場の中国のコレクターやプロがみても「日本にもすごい石があるぞ」と、日本の硯も馬鹿にできない、なかなか良いもんだと思ってもらえたら嬉しいですし、そういった材を生んだ現場、山自体を含めて宮城の職人が愛してもらえるような環境を整えるために、僕は技術でお手伝いできればと思っています。材を活かし切る製硯をしてみたいと思っていますし、その提案を雄勝の職人に差し上げて、それを見て、僕たちはどうやろうかと考えて硯を創り合ってみようという発想もあります。御留石は今は量産する材料として使われていないので、たくさん作る機会もない。せっかく取る機会をいただけたなら活かし切る方法をやりあってみないかと話しをしています。



製硯師・青傍史さんのお話、いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください。

【番組内でのオンエア曲】
・Get Lucky / Daft Punk
・Lover / Taylor Swift
書道用具の一つ「硯」を作るため、日本のみならず中国まで足を運び、材料となる石を探し求める職人…製硯師。この肩書を日本で唯一名乗る方、青傍史さんのインタビュー、2回めとなります。
実は青砲気鵑痢歌舞伎俳優・市川猿之助さんはじめ、著名人の硯も数多く手掛けているのですが、それだけでなく、なんと、お月さまの石で硯を作ったこともあるんです!
きょうは、そんな青砲気鵑痢崟弌廚紡个垢襪發里垢瓦ぞ霰に迫ります。

〜この番組で先日、千葉県の鋸山を取材しまして、採石場で人が石を取り出していたというところを見てきたのですが、あそこの石は硯としてはどうでしょうか?
 鋸山の石は、最適ではないと思いますが、技術的なカバーで硯にはなると思います。そこが製硯師の仕事だと思うんです。どんな石も硯にして差し上げたいという。
 山に行く時は耐水ペーパー120番と墨と筆とお葉書だけ持っていってみてください。山を見て硯の石になるかどうかを判断するのは難しいんですが、見分けるには、山があるという事は川があるわけですけれども、川をまず見て、手を差し込んでいくつかの石をサンプルでとります。あんまりうろちょろしないで1カ所だけ決めて、せいぜい5メートル四方くらいの川の中で石をいろいろ見てみる。きれいな石から何から緑、赤、黒、いろんな石を拾って、それを120番の耐水ペーパーので擦るんです。そうすると川の中で転がされていてきた石の皮が剥けて内部が露出されます。露出された状態というのは、造形はまだできていないけれども墨の機能が剥き出しになるので、墨がすれるか確認できるんです。スポイトを持っていくといいんですが、2〜3滴の水を石に垂らしてすってみて、1分ほどで黒くなれば硯として機能しているということです。そこで葉書を書きましょう。そして帰りに山道のポストに突っ込んで、友達に、「私がとった石で書きました」と書きましょう。そこが楽しみ、山の面白さです。

 僕らは次の段階の仕事があります。川というのはその上流の山の状況を教えてくれる図鑑のようなところです。S字を描いているところは、クランクの部分に上流の石が溜まるんです。その石を見たときに、そこから何メートルぐらい先にこの石があって転がってきたのか、大体その削られ方であてがつくんです。なので僕らは川に行ってクランクの部分で砕石して、そこに、メモをつけていきます。例えば山梨の南木曽の側を歩いているときに緑色の石があれば、緑の1番、緑の2番とつけていく。その特徴を書いていくんです。そして1度テントや宿に戻ります。宿のお風呂でよく洗って、硯になるかどうかを確認します。これと決めたものがあったらそこから何メートル、何キロ先の山なのかを想定します。想定しながらその山に住んでいる人たちに、この石がとれているところはありませんかと聞き込みを始めます。「あるよ、あそこだよ。ただ、200年も前からあそこは人がいていないからいけないよ」などと言われます。そうしたr,あなぜいけないのかを自分で行って見に行きます。技術的にいけないのか、それとも誰も行く理由がなくて行っていないのか、そこを確かめて実際にいく。なので山にツルハシを当てるのは最終段階です。急に行くわけではないんです。そこら中に穴を掘るわけではなく、川から入ります。
 僕は地球全体どこへ遊びに行っても、硯になるかならないかでしか見ていないです。例えばオーストラリアのエアーズロックへ行っても、これは硯になるか、そういう風にしか見られないヤツなんです。あそこは取っちゃいけないですからおさわりだけですが、触らせていただいて、なるかなならないかなと、じっくりコンタクトした結果、なりそうだと思いました。硯に適していな石は基本的には硬すぎる石です。造形として作りにくいので、構造として作りにくいのは墨をかみにくい。そうするとすりにくいので、硯の名利としてはいかがなものかと思うんですね。以前に月の石で硯を作りましたけど、あの石は墨をするのに向いていないんです。作ってみると硬すぎて、しかも地球上にない鉱物だったんですね。だから違う言葉をしゃべる石のような、応答が返ってこないような石ですね。どうしたら良いのか分からないという。月の石は難しかったですね。

 でも硯に最適な石が一番だという、それだけの世界じゃないということを僕は思いたいんです。やはり石というのはどれもひとつひとつ美しさがあるんですね。その美しさは必ずしも実用性だけではないと思うんです。墨をすれればいいだけじゃない。その人にとって良い石は一つ一つ考え方があるんです。僕は月の石の硯は好きですよ。月をみながら、「あそこのお月さまの石を僕は持っているんだ」って、それで墨をすってお手紙書いたらなかなか楽しいじゃないですか。なのでやっぱり石の美しさだけではなくて、石から硯に転じる、それを使ってどうするかという先にある面白さもあるので、これからもっと僕も硯との会話ができる言葉を習得できるようにしていこうかなと思います。


青柳さんのお話、いかがだったでしょうか。来週もインタビューの続きをお届けします。
【今週の番組内でのオンエア曲】
・白日 / King Gnu
・Good As Hell / LIZZO
さて、この番組では様々な分野で、自然と向き合う方にお話を伺っていますが、きょうは、地球が作り出した自然の構造物の中でも、「石」に特化して、ひたすら石と向き合う方にお話を伺います。
スタジオにお迎えしたのは、「製硯師(せいけんし)」の青傍史さんです。よろしくお願いいたします。各地を飛び回って石を探し、石を使ってあるものを創り出すお仕事の方です。


〜青砲気鵑賄豕・浅草で80年続く書道用具専門店の4代目でいらっしゃいますが、製硯師とは?
 一般的な硯職人さんと人と違うところがあって、硯職人さんは工房の近くに石の山を持っていますよね。産地の石を使って伝統工芸として職人さんとしてやられていますが、浅草には石も山もありません。ですので、僕は日本、中国のいろんな産地にお邪魔して様々な石を使って硯を作っています。作るだけではなく石を山からいただきに行くシェフのようなものですね。料理を振る舞うために必要な材料、素材をいただきに行くという感じです。
 バイヤーのところに石を買いに行ったとします。そうすると、これは浙江省の石だよとか、何年前の石だと言われるんですね。でも本当にそこから取れているのかどうかわからないじゃないですか。その素材が取れている場所を自分でちゃんと見たいと思うようになって、ちょうど30代頭くらいから、中国や日本のあちこちに自分の足で行くようになりました。そしてその硯の石が育った山には硯の産業が成り立っているので、そこの住民の方の文化を自分で足を運んで呼吸で感じて、言葉を聞いて、そして衣食住を共にすることで石の情報だけではなく、そこの産地の情報も自分の体の中にインプットできるような気がして。それで日本中のいろんなところに足を運ぶようになったんです。


〜硯は道具ではあると思うんですが、やっぱり同時に美術品と言う面もあるんですか?
 墨をするための道具です。なので墨をすれる構造を作ってあげるのが1番なんですけど、硯は発祥してから2000年以上経っているんです。中国で発祥したのは紀元前ですね。石でできたもので今の形の元祖になったものが出来上がったのが1500年前。その形を作ったときの当時の中国の作硯家たち、造形の哲学、石への向き合い方というのを僕なりに研究した結果、やはり硯の名利として墨をすることができる事は当然ながら持っていなければいけないんだけれども、石の美しさをどれだけ引き出してあげられるかということが、中に内蔵されているんですね。そういった作り方を目指して僕たちはやっています。

〜今日硯をお持ち頂いたんですよね。
 1つは僕が普段使っている硯です。もう1つは個展に展示した宮城県の雄勝石、2つお持ちしました。

この石は浙江省の石なんですけれども歙洲石という石なんですね。時の皇帝が使っていたのとと同じものです。石の調査に20代に行った時に、石をとっていた鉱脈が知りたくて、でも既に埋められていて見れないんですけれども、そのヒントがあって、石をとったときに端材を川に捨てたんです。だから川の底ほじくれば出てくるだろうと思って、川に潜ってとってきたんですよ。外国人がおかしなことをしていると村の人に言われました。ペットボトルを切って目に当てて中を見ながら。それで潜ってとったんです。裏面を見ていただくと分かるんですが、川で育てられたままの形になっていますよね。川の中で転がされてこの形が作られたんです。

砕石した当時はもっとゴツゴツとした岩肌むき出しの形だったはずなんですね。それが川の中で転がってこういう風になる。しかも数百年の間で育った形なんですね。その”霜降り”の部分が全部出てくれればいいなと思って、上から削っていったんです。側面を見てもらうと積層があるんですけれども、こちらを見てみると斜めに複雑な層ができているんですけど、全部美しいところだと、なんというか味気ないんです。こういう夾雑物がある、すれないところがある、そして荒いところもある、岩肌も残っているという、いろいろな自然の要素が重なって、そして墨をするのに向いているところが際立ってくる。比較対象がこの1つの面の中に混在してくれると景色も良くなるんです。また硯は少し温まらないと墨が出にくいんですけれども、これだけ薄いと僕が手の温度で多少温めることができるんですね。室温程度まで温まってくれるとすごくトロンと墨をおろしてくれます。キンキンに冷えているとなかなか墨はおりないんですよ。


宝研堂
http://houkendo.co.jp/

青柳さんのお話、いかがだったでしょうか。来週もインタビューの続きをお届けします。
【今週の番組内でのオンエア曲】
・Better Half of Me / Tom Walker
・Church ft. EARTHGANG / Samm Henshaw
各地で猛威を奮った台風から2ヶ月あまり。特に被害の大きかった千葉県では、いわゆる「風評被害」が今も残っています。
例えば、登山道の被災が報じられた富津市・鋸山。実は復旧も進んでいるんですが、客足は完全には戻っていません。
そこで今日は、千葉県有数の観光地、鋸山の状況、お伝えしたいと思います。
今回 足を運んだ鋸山は、南房総特定公園にも指定されていて、頂上は富士山や伊豆大島まで見渡せる360度の大パノラマが有名です。
そんな鋸山、台風による倒木で登山道が通れない・・・と報じられていましたが、復旧が進んでいます。鋸山のある富津市金谷の観光協会会長、鈴木裕士さんに伺いました。


 鋸山には登山道がいくつかありまして、ハイカーが楽しんで登れる山ですが、全部の道が倒木によって塞がれてしまいました。杉の大木が根っこごとひっくり返されるように倒れていました。
 金谷という街は、鋸山もそうですが、フェリーの発着所もあって、やはり観光が基盤産業として経済が潤っている地域なんですね。この地域にとって鋸山の観光ができないという事は、生命線を絶たれたといえるくらいの影響があります。台風以降、お客さんが激減しまして、同時にお店なども台風による被災もありますが、お客さんが来ないことにより、飲食店も大きな影響を受けました。ここも旅館なんですが、やはり一ヶ月営業できませんでしたし、物心両面で大変な思いをしました。



〜台風から2ヶ月ちょっとが経っていますが、鋸山の復興復旧の状況はどうですか?
 鋸山は多くの方に親しまれていて、年に何度も登りに来る方が、私たちが知らないところで自発的にチェーンソーやのこぎりを持って倒木の処理をしてくれていたんです。すごく嬉しく感謝しています。そういう方を中心に多くのボランティアを集めて下さるようになり、実はいま「関東ふれあいの道」という一番ポピュラーなコースがあるんですが、そのコースは全線開通して、頂上までいけるんです。もう一つの人気コースの車力道コースがあるんですが、これはかつて鋸山で石を切っていた時代に、石をふもとまで降ろした道なんです。このコースは、危険木といいまして、太い木が幾重にも重なっていまして、通行止めにさせてもらっています。これについては、今回クラウドファンディングを12月26日まで、鋸山復興プロジェクトという名前でやっております。素人では危険で手が出せない木なので、クラウドファンディングで集めた資金で、プロフェッショナルの方にお願いして、危険のないように安全な道にしていきたいと思っています。

ということで鋸山、3つある登山道のうち一つが復旧しています。まだ紅葉も間に合うのでぜひ遊びに行って欲しいところです。
そして、のこり2本の一つ「車力道コース」も復旧へ向けた作業を進めていくそうです。鋸山はこの車力道コースに象徴されるように、もともと「石切場」、つまり、建設材料としての石を切り出す山で、それが分かる光景が見どころです。江戸時代から300年かけてニンゲンの手で切り出され続けた巨大な岩肌は大変な迫力です。
ちなみに鋸山の石は、明治大正にかけての横浜の都市計画、東京お台場などに大量に使われ、日本の首都圏の近代化を支えた石材。そういう歴史ロマンも感じられるんです。
そんな「車力道コース」ですが、今回特別に現場を案内してもらい、そこで感じたのは、やはり完全復旧には、まだまだ支援が必要ということでした。


 ここもみんなボランティアさんが来てくれたんです。最初はここも通れませんでしたから。縦横無尽に木があって。特に麓は植林した杉やヒノキが多いので、やはり杉やヒノキは固いから風が強烈に吹くと折れてしまうんですね。ここから山頂は昔は見えなかった。それこそ森だったんです。ここから左にかけて500メートルくらいがこういう状況で、山の上から見ると木がぶわっと倒れているんです。
 先程の車力道はこっちから通ってくるんです。

ここから下を見ると分かるんですが石畳ですよね。これが車力道です。ここが切り通しです。自然の形状ではないんですよね。道を通すために。ツルハシの跡です。


 根っこごとというのはこういう状態です。

石の山なので根っこが下に入らないんです。石の上に薄い表土があってそこに根っこを張るんです。ここは森で、木漏れ日が差すようなイメージでしたが、今は青空が見えてます。


〜通れるようになるのはいつぐらいでしょうか?
 何とか資金を集めて今年度中にはやりたいと思っています。素人ではこれ以上できない状態なんです。後はやはりこの景観をどこまで整えられるか。こういう無残に、残念な感じの景観をどこまで整えられるかという事ですね。

今回のお話、いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください。


鋸山登山道復興プロジェクト
https://readyfor.jp/projects/gogonokogiriyama

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Now I'm In It / HAIM
・Dance Monkey / Tones And I
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パーソナリティ

高橋万里恵
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