音楽やファッションが90年代ブームを迎えている昨今、私自身がつくってきた90年代の音楽もふりかえってみよう!今日のコードは「Yuming is a Pop Star~Visit to the 90’s sound !」です。
■今週のChordは“Yuming is a Pop Star~Visit to the 90’s sound !”
輪舞曲(ロンド) / 松任谷 由実
お送りしているのは1995年リリースのアルバム『KATHMANDU』から、「輪舞曲(ロンド)」。
この曲は、その年に放映されたドラマ『たたかうお嫁さま』の主題歌として作った曲で、アルバムの発売前に、シングルとしてリリースしました。
いろいろな所、辺境の地へ旅をするなかで、歴史とか民族とか現地でふれあって、人はみな旅の途中、放浪しているんだなぁ、なんて、自分の魂が感じることが多々あり・・・この頃、洋楽好きの間ではジプシー・キングスなんてとても流行っていましたね。いわゆるイギリスやアメリカのロックミュージックとは違う、民族的な息吹を持ったポップスというか、ロックというか・・・そういうことをやりたかったんですね、この曲は。
旅のなかでフラメンコのルーツはインドだということを知って、世界はつながっているなということと、何を聴いても、世界中の音楽を聴いても、どこかで懐かしさを感じていたこの頃。今もですけれど。いろんな形で、一見、どこの国の音楽から影響を受けたんだと思うようでも、全てアウトソースは私・・・というアルバムになったと思います。
この頃、1995年に「命の花」という曲をリリースしようとしたんですけれど、すごく高揚感があったんですよ。プロデューサーもすごく高揚して、リリースの直前に阪神淡路大震災が起こり・・・「燃える~」という歌詞から始まるので、発売を自粛しました。そのとき、その高揚感がぷしゅ~と音を立てて気が抜けるようになって、ああ、なんだかここから時代が変わるな、と体感したのを覚えています。その通りになった気はします。
今日は、音楽やファッションが90年代ブームを迎えている昨今、私自身がつくってきた90年代の音楽もふりかえってみよう!ということで、「Yuming is a Pop Star~Visit to the 90’s sound !」の後編をお送りしています。
『KATHMANDU』をリリースした翌年、1996年は、デビュー25年目にあたる節目の年。
この1年の活動をふりかえると・・・その年のはじまりはいつものごとく、「SURF&SNOW in NAEBA」公演を終えて、6月には『KATHMANDU PILGRIM』ツアーを完走しました。
7月にNHKの特番でモンゴルへ行って、私の声のルーツを探りに行ったんですね。8月には、『Yumi Arai The Concert with old Friends』を、中野サンプラザで3公演のみ、開催しました。
同窓会のような公演だったんですけれど、複雑でもありましたね。せっかくここまでやってきたのに、引きずり戻されるような感じと、でも、帰る場所があって嬉しいなというホッとするような気持ちと・・・ともあれ、馬車馬のように走ってきたので、ここでちょっとひと息つきたかったかもしれない。ここでひと息つかなかったら・・・この数年後には完全にクラッシュしてたとは思います。
そして、その翌年、1997年2月にリリースしたアルバム『Cowgirl Dreamin'』と、12月にリリースした『スユアの波』。
『Cowgirl Dreamin'』をリリースしたとき、私は「折り返し地点にきた!」と言ったそうなんですね。今日、おしゃべりしていて、さっき話した阪神淡路大震災のときに感じたこととかが反映されているのかな、と。実際に、『KATHMANDU』のアルバムまで初登場1位を記録していたんですけれど、『Cowgirl Dreamin'』から2位に転落しました。ひとつの違う時代に入ったと思います。
さらに、12月には『スユアの波』をリリース。スユアとは、古代マヤ文明のことばで時空を自由に行き来できるドアのこと・・・まさに、今の『Wormhole / Yumi AraI』のコンセプトと同じですね。ぶれない私を感じます。
では、アルバム『スユアの波』から、フィル・スペクター的な華やかなストリングスがリッチな1曲を。
Sunny day Holiday / 松任谷 由実
続いては、1997年リリースのアルバム『Cowgirl Dreamin'』から、「Cowgirl Blues」。
Cowgirl Blues / 松任谷 由実
この曲が収録されているアルバム、『Cowgirl Dreamin'』の制作は、リリース前年の1996年のことです。私、なぜかこのアルバムを聴くと、PUFFYが日本でブームだったな、ということを思い出して。自分では、ああいうユルいストリート系のファッションをしていましたね。
そして、元々ヨーロッパ志向の私がアメリカのカウガール・・・という図式を、意外に思った方もいるかもしれないですけれど、「今までやっていないことをやろう!」というのも発想の大きな理由だと思います。
ちなみに、2018年のベストアルバム『ユーミンからの、恋のうた。』に“Urban Cowgirl”という作品群があるんですけれど、“Urban Cowgirl”というのは、ひとつの私のスタイルだと思います。都会にいながら心には野生を持つということで。
90年代後半の私はこうしてふりかえってみると、プレッシャーも楽しんだかなぁ・・・、プレッシャーも友人のひとつという感じかな。ないとさびしい。自分の信念とかスタイルを貫きたい!と覚悟を決めた、ロックガールだった気がします。
そして、今日最後にお送りするのは、90年代の代表曲にもなったこの曲です。
春よ、来い / 松任谷 由実
今まで、さまざまな音楽インタビューでこの「春よ、来い」は、最初はラテンでつくっていたと言っています。プロデューサーの「歌詞、淡きで始まれ」というのと「文語を使ったら?」ということで、詞からどんどん和の方向になってこの曲に着地したんです。新しい引き出しがここでまた開いたなと思います。
多彩な音楽ジャンルが開花した90年代・・・。
私自身も、ルーツに立ち返ったり、当時、出会った新しい音楽に感化されたりしながら、チャレンジを重ねていた時代だったんですよね。あの日々があるから、今があります。
そして、この曲も、ひとつの到達点にたどりつくことができた大切な1曲です。
今日は「Yuming is a Pop Star~Visit to the 90’s sound !」。
先週に続いて、今回は1995年以降にリリースしたアルバムをピックアップしながら、当時、考えていたことや、アルバム創作エピソードなどを、ふりかえってみました。
90年代ブームの今、ぜひ、聴いて欲しい自信作ばかりです!
そして、お知らせをひとつ。
ただいま、松任谷由実とJR東海が展開する「推し旅」とのコラボレーションを来年3月31日まで開催中です。
東海道新幹線に乗ってキャンペーンサイトにアクセスすると、車内でしか聴けない、私のスペシャルトークが楽しめます。プレゼントもいろいろありますので、詳しくは私のホームページを確認してみてくださいね。
推し活といえば、コンサート。『THE WORMHOLE』、ただいま開催中です。
全72公演中、千秋楽まであと12公演!
来月、11月には岡山、広島、栃木、そして福島へ向かいます。
私が私に、そして、みなさん一人ひとりがあの頃の自分に、会いにいく旅・・・、そんな、不思議な体験をお届けするステージです。
スケジュールほか、詳しくは松任谷由実公式ホームページ、XやInstagram、TikTokなどでお知らせしています。
ぜひ、チェックしてみてくださいね。