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4月から環境が変わって頑張り続けてきた人は、きっと、疲れがたまってきた頃。そんなときは、自分だけの隠れ家を見つけてひと休み。
今日のコードは「Hideaway」です。

■今週のChordは“Hideaway”

岩礁のきらめき / 松任谷 由実

お送りしているのは、テレビ朝日系列で放映中の金曜ナイトドラマ『魔物(마물)』。そのオリジナルサウンドトラックに提供した新曲「岩礁のきらめき」。センセーショナルな展開が次々と訪れるなかで、美しく輝いていた瞬間を彩る1曲になっているのかな、なんて思っています。

そんな1曲でスタートした『Yuming Chord』。
ぼちぼち、梅雨入りの知らせが各地から届くこの時期、雨が続けば欝々とした気分になるし、晴れれば蒸し暑さが身体にこたえるし・・・4月から環境が変わって頑張り続けてきた人は、きっと、疲れがたまってきた頃。そんなときは、自分だけの隠れ家を見つけてひと休み。
今日のコードは「Hideaway」です。

「Hideaway」は、日本語にすると「隠れ家」とか「避難場所」。
「自宅や家庭」「職場や学校」でもない、くつろげる第三の「居場所」・・・今日は、手軽な気分転換の方法も含めて、お話していきますね!
そして、音楽も時に隠れ家のように、歌詞が自分の気持ちと重なって心を解き放ったり、何度も帰って懐かしんだりする場所になるはず。
そんな想いをこめて、デビュー45周年を迎える松田聖子さんの曲の訳詞を手がけました。
ジャズのスタンダードナンバー、「Stardust」。
今日は、聖子さんの歌声でお送りしますので、お楽しみに。

あらためて、私が「隠れ家」にしてきた場所というと、電車に乗って学校に通うようになった中学生の頃からは行動範囲が広がって、あちこち、出かけましたね。

私が使っていた路線は今、JR・・・当時、国鉄と言っていたんですけれど、吉祥寺駅から(京王)井の頭線というのに乗り換えて、2つ駅で学校なんですけれど、それを、家に帰るのとは反対方向にずっと行くと渋谷に出られるし、その途中、下北沢とかにも出られます。
そういう範囲も広がりましたね。だから、定期を上手く使って行動範囲を広げました。

どんな本を読んでたかというと・・・おしゃまさんで、少し年上の人たちがフランスの詩集が好きだった時代なんですね。それでエリュアールとかアポリネールとかランボーとか、そういうフランスの詩が好きでした。
今でも栄養になっていますよ、すごく。

そして作曲をするようになってからは、学校のなかのピアノ室にこもったり・・・でも、いまだにそうなんですけれど、私にとって音楽は仕事でもなく趣味でもなく、逃避の側面が強いです。
リスニングにしても自分でつくるときにしても、ふと、気がつくと逃げ込んでいるというか、そこに隠れ込んでいる・・・だから続けていられるんでしょうね。

デビューして、大人になってから出かけていた「隠れ家」は、80年代とかは隠れ家というより遊び場が多かったですね。街がステージ、という感じで。
西麻布がこれまた西麻布に変わる直前、霞町と言っていた頃に、カフェバーのはしりみたいなところがいろいろありましたよ。

こうやっていろいろ遊びに行った場所を思い出してみても、遊びに行くときには隠れていなくて、隠れたいときには常に自分の心のなかに隠れていたかもしれない。

近年は、自宅からちょっと足をのばして2つくらい町を越えたところに、隠れ家のバーがあるんですよ。そこのお店では、マンハッタン・トランスファーとか、ダイアナ・クラールとか、わりと軽い感じのジャズがマスターのお気に入りなのでよくかかっています。
カクテルやなんかも、それ自体が隠れ家になるという・・・そのカクテルを出す店も隠れ家かもしれないけれど、そのグラスのなかが隠れ家、という場合も多いですね。

では、ここで今日のコード「Hideaway」にちなんで、そのお店でも聴いたかも・・・?な1曲を。

Quiet Nights / Diana Krall

前半で色々私の「隠れ家」についてお話してきましたけど、案外、自分のなかに隠れてるかな、なんて改めて思ったりします。

つまり、「隠れ家」って、場所じゃなくていいんですよね。あくまでも、気持ちの問題?・・・私の場合はね。
さっきカクテルとか話をしましたけれど、そういう味や見た目もだし、香りもだし・・・見た目で言ったらですね、画集を見ることがあります。それも風景画。空の面積が多いと、その空に入り込んで・・・家からも空が見えますけれども、絵のなかの空に入り込むこともあるんですよ。

パッと今、思いついたのは、19世紀のフランスの画家、コロー(ジャン=バティスト・カミーユ・コロー)という人なんですけれど、印象派になるのかな、風景画が多いです。

話はまた変わりますけれど、聖書も、改めて読み返してみると「隠れ家」にいるような気分になるんですね。
初めてモロッコに行ったとき、いわゆる中東イスラム圏は初めてだったんですよ。見るもの、聞くもの、刺激的で。聖書を読むと、その初めてのイスラム圏での衝撃が思い出されて。ありえないような話が出てくるわけですけど、でも、あるんじゃないかって・・・ひょっとしてこういうことがあったから、こういう風な表現になっているんじゃないかって、自分のなかで勝手に組み立てたりしています。

ではここで、今日最後の1曲を。
お送りするのは、松田聖子さんの45周年記念楽曲第2弾となる、「Stardust」です。
ホーギー・カーマイケル作曲のスタンダードナンバーなんですけれど、私が、日本語の訳詞を手がけました。今回、聖子さんとお仕事するのは、実に10年ぶりのこと!

訳詞をしていると、これもすごく旅ができるんですよね。彼女の心情にピッタリなんじゃないかなと思いました。
コメントを寄せるように言われて、コメントを書きながら、心は、昔たくさん彼女に曲を書いた頃・・・「呉田軽穂」という名前で「赤いスイートピー」とかを書いていたときのことを何かリアルに思い出しました。

この曲は、6月4日にリリースされるベストアルバム、『永遠のアイドル、永遠の青春、松田聖子。 ~45th Anniversary 究極オールタイムベスト~』。こちらにも、収録されるそうです。

Stardust / 松田 聖子

ちなみにですね、アレンジは武部聡志さんです。
お送りしたのは、呉田軽穂名義で私が日本語訳詞を手がけた曲、松田聖子さんで「Stardust」でした。


今日は、「Hideaway」というコードで、私の隠れ家的な場所についてお話しました。

ちなみに、自慢になっちゃいますけど、松任谷家もまあまあの広さで、隠れられる場所はけっこうあるんですよね。なかでも、私が存在を消して隠れる場所はですね・・・廊下の突き当りにある死角があるんですが、そこにね、ルルドがあるんですよ。水音がするんです。それを聴きながら膝をかかえて空想にふけったりします。

それと!創作活動中は、どうしても頭の中がスタックしてしまうこともしばしばで・・・。
そんなときは、あえて外に出てみようかな、と思ったりするわけですが、さっきもお話しした散歩。散歩はいいですね。

でも、雲隠れしたい!と思えるって、実は幸せなことなんですよね。
隠れ家から出てくるのを待っていてくれる人、お帰り!と、迎えてくれる人や居場所があるからこそ、隠れたくなるわけで・・・。
今の私には、最新アルバムを楽しみにしてくださっている人がいる!
そう信じて、創作活動に励みます。

そのほか、私の最新情報や近況は、私の公式ホームページやツイッター改め「X」、Facebookインスタグラムなどでお知らせしています。
ぜひ、チェックしてみてくださいね。

onair list

岩礁のきらめき

M1

岩礁のきらめき

松任谷 由実

Quiet Nights

M2

Quiet Nights

Diana Krall

Stardust

M3

Stardust

松田 聖子

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