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ピアノで奏でたイントロが印象的な曲や、ピアノのメロディーが印象に残る私の曲を集めてお送りしていきます。
今日のコードは「ユーミン・ピアノ・ソングス」です。

■今週のChordは“ユーミン・ピアノ・ソングス”

ひこうき雲(2022mix) / 荒井 由実

お送りしているのは、『ユーミン万歳!~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~』から、「ひこうき雲(2022mix)」。

オリジナルは、1973年11月にリリースしたアルバム『ひこうき雲』の1曲目に収録されています。

これは、ピアノが印象的な私の代表曲と言える1曲かもしれませんね。あらためて、ピアノの音を追いかけながら聴くと、この曲をつくったときの自分を、思い出します。

何度も何度も弾いていました。やっていることは単純なんだけれど、少ない音で思い描いた風景が表せないかなと思って。自分のなかでは考えに考え抜いた単純な4音のイントロなんですけれど。そして考え抜いた・・・時間がいっぱいかかっていたようでもあり、スッとできてしまったようでもあり。本当に時間って一方向に同じように進んではいないなって、このほとんどデビュー曲を聴くと思います。

今日の『Yuming Chord』は、ピアノがうたう音楽特集、「ユーミン・ピアノ・ソングス」。
ピアノで奏でたイントロが印象的な曲や、ピアノのメロディーが印象に残る私の曲を集めてお送りしていきます。

私の作曲法は、ピアノだけで、つたない自分の歌だけで。でも温度や匂いや風景、色が浮かべばいいなぁと、念写するようなつもりでつくっています。

今、お送りした「ひこうき雲」を含めて、1stアルバム『ひこうき雲』、その次のアルバム『MISSLIM』に収録された曲の大半は、中・高で通っていた女子校の音楽室にあったピアノでつくりました。
正確にいうと、ピアノ室というのが6つくらい並んでいたんですけどね。恵まれた環境だったと思います。

環境といえば・・・レゾナンス。ピアノを弾いたときの共鳴する響きが次の音を運んでくる。思わぬコードに連れていってくれる。

そんな感じでピアノでつくっているので、最終的には弾き語りのみで歌える曲がほとんどなんですよね。

続いてお送りするのは、アルバム『Road Show』からの1曲です。
この曲は、イントロで刻まれるピアノが、ヒロインの強い気持ちが表しているかも。

I Love You / 松任谷 由実

この曲のイントロは、むか~し聴いたピアノロックにインスパイアされたと思います。まんまパクったわけではないけれど、自分のなかに残っていた印象的なリフを、今、ピアノロックをやってみたいなと思って再現したのがこの曲でした。

続いては、2013年リリースのアルバム『POP CLASSICO』から、「Discothèque」。

Discothèque / 松任谷 由実

この「Discothèque」をはじめ、ラテンアレンジ好きなプロデューサー・・・。ま、ラテンアレンジばかりではないんですけれど、いきいきと弾いてくれますね。
お送りしたのは、ピアノも躍る!「Discothèque」でした。

今日のコードは「ユーミン・ピアノ・ソングス」。
ピアノの調べが印象的な私の曲を集めてお送りしていますが、私とピアノの関係を、とってもわかりやすく描写してある本があります。
私がデビューするまでの軌跡を描いたノンフィクション・ノベル、『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』。
作者の山内マリコさんにインタビューされながら思い出したことが、当時のカルチャーとともにまとめられた傑作!・・・と、自信をもっておすすめできる1冊ですが、そこからちょっとふれると。

「なにより由実は、ピアノが鳴らす美しい音に、色が見えた。
比喩ではなく、本当に見えるのだ。
ある鍵盤を同時に押すと 鮮やかな柑橘系の色が見え、音の組み合わせを少し変えると、今度はピンクがかった夕焼け空が、紫色に刻々と変化するときのような、独特にせつない色味になった。」
―山内マリコ「すべてのことはメッセージ 小説ユーミン」より。

本当に山内さんに、音を聴くと、特にコード進行はそれぞれ色彩を持っている、という話をけっこう長くしましたね。メロディーラインがラインだとすると・・・リズムがストローク。筆致というんですけど、本物の絵を見ると、筆の運びが、リズムが見えるんですが、絵とすごく対比させることが多いです。
そしてコードは色調、色彩。まさに、ピアノを弾くと、脳裏に独特の色が広がっていくということに気づいた私です。
コードにも、それぞれイメージがあるんですよね。例えばマイナーシックスとか、マイナーナインスというと、完全に寒色。暗い青や紫。で、メジャーセブンとか普通の開放のCのコードとかは、暖色のクリアなオレンジだったり、明るいピンクだったりするんです。

では、ピアノがうたう「ユーミン・ピアノ・ソングス」、今日、最後の1曲を。
この曲は、明るいグレーが浮かびます。もうすっかりそういう駅は東京にはなくなってしまったかもしれないけれど、雪が降ると線路の外の方の家々が白くなっているところまで見えて・・・これは雪解けの風景なんですけれど、時々チカッとまぶしかったり、明るいグレーがずーっと広がっているような、そんな色彩です。

So long long ago / 松任谷 由実

この曲を作ったときに、もう1回原点回帰をしてみようと思ったことを思い出します。
キャロル・キングみたいなことをやってみよう!とトライした自分を2001年の時点でもう1回、回帰して、『acacia(アケイシャ)』というアルバムをつくりました。
お送りしたのは、「So long long ago」でした。


今日は、「ユーミン・ピアノ・ソングス」というコードで、ピアノのフレーズが印象に残る私の曲をセレクトして、お届けしました。

ピアノは湿度や温度の変化に敏感です。
私の実家・八王子は霧がたちこめる湿気の多いところだったので、当時弾いていたピアノはいつもどこか調子っぱずれで・・・ホンキートンクピアノみたいな音がしたかなぁ。そのクレイジーな音が好きでした。
湿ったような、濁ったような音を出すピアノこそ、私の作曲家としてのルーツです!
私のこの倍音の多い声の質も、ひょっとしたらピアノから影響を受けて・・・そんな風にいっぺんに何音も出ている風な声になったのかもしれない(笑)。でも、もとから持っていた自分の肉体的器官がピアノをそういう風におさえさせたのかもしれない・・・相関関係ですね。

そして、今はしっかり管理されたピアノの前で、40枚目となるオリジナルアルバムの制作中!秋ごろにリリース予定ですので、楽しみに待っていてくださいね。

タイアップ曲、コラボ曲なども続々と作ってこの番組でオンエアしていますが、最近のイチ押しは、BOSE(ボーズ)60周年キャンペーンソング、imase × 松任谷由実の「文通」。
すでに配信中ですので、ぜひ、聴いて欲しいんですが、抽選で豪華な賞品が当たる、Xポストキャンペーンを実施中です!
詳しくは、BOSE(ボーズ)60周年特設キャンペーンサイトをご覧ください。

そのほか、私の最新情報や近況は、私の公式ホームページやツイッター改め「X」、Facebookインスタグラムなどでお知らせしています。
ぜひ、チェックしてみてくださいね。

onair list

ひこうき雲(2022mix)

M1

ひこうき雲(2022mix)

荒井 由実

I Love You

M2

I Love You

松任谷 由実

Discothèque

M3

Discothèque

松任谷 由実

So long long ago

M4

So long long ago

松任谷 由実

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