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2026年、初ゲスト!今週も、この方をお迎えしています。
今日のコードは「Yuming×Takashi Murakami~時を超えるアート~」です。

■今週のChordは“Yuming×Takashi Murakami~時を超えるアート~”

先週に引き続き、「Yuming×Takashi Murakami~時を超えるアート~」というコードで、ゲストに現代美術家の村上隆さんをお迎えする、アーティスト対談をお送りしていきます。

ユーミン:今は音楽活動に夢中、というのは、反動ですか?

村上:AIで音楽を作れる・・・今も、ここに来る車のなかで、ヒップホップのヒストリーを調べていて、実は日本の楽器が使われていて・・・ということを歌詞にして。「これをヒップホップの90年代風(の曲)にしてみて」と言ったら出てくるじゃないですか。これって驚くべきことですよね。

ユーミン:そうですね。

村上:それが良い音楽なのかどうかというのは別です。とにかく新鮮な驚きというか、自分が興味を持ったものがそういう音を連ねてアウトプットされてくるという仕組みに、一番最初にマウスを動かしたらカーソルが動いたときくらいの感動を感じたというか。

ユーミン:ある種、AIバブルとも言えるじゃないですか。ワーッとAIでの作品が出てくる・・・で、どういう風に振り分けられていくんでしょうね。

村上:僕は楽しくてやっているだけですけれども、最終的には選ぶ媒体というか媒介者がいて、ガチャで出てきたものそのままだと、やっぱりあまり感動を呼ぶようなものにはならないと思います。出てきたものをいくつかパッチワークしていったり、コラージュしていったりすることによって楽曲ができてくると思うのですが、そのときのフィルターはやはり、一個人であったり、グループであったりすると思います。
道具のひとつとして生まれてしまっただけで、あまり変わらない気がします。
AIって、若い人は若い人たちの使い方があると思うんですけれど、僕らみたいな年配の人間にとっても別の自由を獲得できる素晴らしいツールだと思っています。

ユーミン:そう思います。好奇心と感動が大事だと思うんですよね。
村上隆さんの曲をここで1曲お届けしたいんですが、曲はMNNK Bro. (Takashi Murakami & JP THE WAVY)の「Mononoke Kyoto」。

村上:2年前に展覧会を京都の美術館でやらせていただいたんですが、歌とかがあるといいなと思っていたら、娘がヒップホップダンスを習っていたので、ワチャワチャ踊っていたんですね。そのときに、WAVY君の「Pick N Choose」という曲が流れてきたんです。それで、ヒップホップってアメリカの文化だと思っていたけれど、やっと日本的に咀嚼出来るミュージシャンが出てきたんだ、と思って。
その日のうちに連絡して、その日のうちに会ったのかな。で、楽曲を作っていただけませんかとお願いして、作っていただいたのがこの曲なんです。だから僕の曲というわけじゃなくて。それで、僕も相乗りでグループになってもらえませんかと言ったら、いいですよって。

ユーミン:(笑)。

村上:虎の威を借りる狐でございます。

ユーミン:そんなことはないです(笑)。

Mononoke Kyoto / MNNK Bro. (Takashi Murakami & JP THE WAVY)

村上:途中、娘の声も「ギャーッ」というのを入れてもらったりして。
歌詞はWAVY君が最初に書いてくれたんです。WAVY君いわく、「人生で一番難産だった」と。なぜかというと、僕がいただいたものを何度も書き直したんですね。

ユーミン:そうなんですか。

村上:「書き直していいですか」と聞いたら、「いい」って言うので(笑)。

ユーミン:どういうところがフィットしなかったんですか?

村上:WAVY君は、知っている情報が、現代美術とかアートの情報ではなく、ルイ・ヴィトンとコラボしたとか、ファッションのところだけで歌ってくれたんですね。
だけど、「もののけ 京都」の展覧会のキュレーターの想いとか・・・その展覧会のテーマは、“京都は観光地ではなく、死屍累々としたおどろおどろしい街なんですよ”というものなんです。それをたくさんWAVY君に伝えたんですけれど、1か月半くらい詞のやり取りをさせてもらって・・・けっこう愚痴られました(笑)。

ユーミン:ちゃんとライニングになっていたりして、今の話をうかがうときっと大変だったんだろうなと。

村上:頑張ってくださって。本当に辛抱強く付き合っていただきました。

ユーミン:東京藝術大学で、日本ではじめて日本画の博士号を取ったインテリでもある村上さん。
未来を担う世代にメッセージを届けることも多いと思うんですけれど、アートの使命、芸術家の使命って、何だと思いますか? 

村上:ユーミンはどう思われているんですか?僕、聞きたい。

ユーミン:その人の目を通して、普通の風景がフレーミングされて特別になること。

村上:なるほどね。僕は、自分が今まで観た名画は死者の作品なので、自分も死者になったあとに、残ったときに今の時代がちゃんと鮮明にわかってもらえるといいなと思って作っています。

ユーミン:私も歌を作っていて、期せずして、俯瞰でね、死者・・・冥界にいるかのように、そこから書いた歌みたいだな、というときもけっこうあります。

村上:いつもそういう気がします(笑)。

ユーミン:そう?

村上:今回の『Wormhole / Yumi AraI』全編そんな感じで。

ユーミン:そうかもしれないですね。

村上:だから僕・・・リスナーとしてですよ、聴いている側として、いろんなフェーズが作れて面白かったです。どういうことかというと、一番ユーミンを聴いていた20代前半、そして40代くらい、で、50代くらいでアニメを観たりして宮崎駿さんの作品と合体した感じ・・・というレイヤーで聴くんですよ。
そうすると、あのときのこういう曲とこういう風に違う、とか。だけど、ひとつのフェーズとしては年相応というか、老夫婦でひとりが死んでしまったとして、例えば『タイタニック』という映画のラストシーンじゃないですけれど、見た目は老人ですけれど、老人の頭のなかには青春がまだあるじゃないですか。

ユーミン:はい。

村上:で、全ての美しい記憶があって。そういうことを言っているので、より鮮明に青春の美しさが広がるような・・・すごく突然、そのフェーズで聴き始めるとブワーッと広がって、言葉になっていないところまで想いが届くような、そういう感動があったりしてすごく良かったです。

ユーミン:ありがとうございます。私もね、余白が必要だと思って。アートの役割として。
AIって余白がないじゃないですか。効率とか利便性とかをすごく追及しているところが今発達しているけれど、これからは、もっと何にもしない、ただそばにいるだけのAIとかが出てくるような気がするんですよね。そうすると、AIも芸術の域にいくかなと。
で、今、作っているものは、意図的じゃないんだけれど、空白があって、そこに聴いている人が自分の思い出を注入できるものだといいな。
字面だけみると、意味不明な・・・ちょっと飛ぶけれど、マティスの晩年の切り紙絵がすごく好きなんですけれど、一瞬幼稚なような感じだけど、背後にすごいデッサン力があって。そう切り貼りしないと体の動きが出ない「ブルーヌード」とかね。そういうのが理想です。

村上:僕も・・・ちょっと違うかもしれないですけれど、マティス、白隠和尚、あとはサイ・トゥオンブリーという作家が今からの自分の目標というか。やっぱり、どんどん削がれていって。

ユーミン:そうですね。

村上:脂っ気が抜けて手足が動かなくなって表現したものに、ちゃんとした、作家が生きてきた思想なり、全てが宿るというところがいいなと思っています。

ユーミン:言いたいことを言語化してもらえました。
村上さんが初心にかえる曲があるそうで。ちょっと恥ずかしながら、「悲しいほどお天気」という拙者のナンバーなんですけれど。

村上:泣いちゃいますよ、僕。

ユーミン:“美大生のひとりごと”という、呟きというコンセプト。私小説集のアルバムなんですけれど、「拝啓。今はどんな絵 仕上げていますか」という歌詞があって、絵をやっていた友達とかに、「これ、美大生じゃないと「今はどんな絵 仕上げていますか」というフレーズは出てこないよね」と言われるんです。
・・・わ~、泣いちゃった。本当に。ねえ、ひたむきだった私たち。

悲しいほどお天気 / 松任谷 由実

村上:いや~・・・ヤバいです、これ。ありがとうございます。

ユーミン:なにかすごくシンパシーを持ってもらえて。私も村上さんに今日、一段とシンパシーを感じています。

村上:ヤバいです。万感胸にきました。

ユーミン:本当?うれしいな。でも、この世のどこかに、同志というか・・・いてくださって、しかもこんなビッグネームで。聴いてくださっているというのはものすごい勇気になりますね。

村上:私小説という、美大生のひとりごとというコンセプトで作られたということですけれど、美大生って、みんな未来が全くわからず。

ユーミン:そうですよね。

村上:お先真っ暗な毎日を送って、それを画布にペチャペチャやっているわけですよね。

ユーミン:純粋芸術・・・食べていけるのなんて、もう一握り。砂漠の砂の一粒くらいですもんね。

村上:食べるとか食べないとかよりも、ただただわけがわからない。モヤモヤモヤっとしている感じを全部凝縮してくれて。ちょっとこの曲消してほしい、泣いちゃうから。

ユーミン:(笑)。

村上:もうダメ(笑)。

ユーミン:本当に今日は私もうれしかったです。お互い、真摯に創作活動を続けていきましょう!
最後に、村上さんの作品に触れられる機会があれば、ぜひ、お知らせください。

村上:「村上隆エディション展」が港区元麻布Kaikai Kiki Galleryにて今月29日まで。「JAPONISME → Cognitive Revolution: Learning from Hiroshige」。
あと数日です。お見逃しなく。

ユーミン:村上さん、その他、もし今年のご予定・・・プライベートなことでもなんでも。

村上:2月にロサンゼルスで個展があって、12月にオーストラリアで。これはすごく大規模な個展をやらせていただくことになっていますので、それに向かって今、ドドドドッとやっております。

ユーミン:くわしくは、村上さん率いるアートの総合商社、「カイカイキキ」の公式サイトなどで、ご確認ください!
『Yuming Chord』、2週にわたって熱く芸術論を語ってくださったのは、現代美術家の村上隆さんでした。どうもありがとうございました。

村上:泣いちゃいました。ありがとうございます。


今日は、現代美術家の村上隆さんをお迎えして、お話を伺っていきました。

2週にわたって、かなり濃ゆ~い対談を繰り広げてきましたが・・・最後に、とうとう村上さんが落涙されて。でも、私も青春がよみがえるというか、その頃の友人たちの顔、描いていた絵とかがフラッシュバックして、ちょっとヤバかったです。
でも、絵の勉強をしていて良かったな。実際の創作にも役立っているし、何よりも、今回のように、村上さんと同じ日本画出身ということで、すごく深いシンパシーを得られて、そういう道をたどってきて正解だったと思えました。
村上隆さん、どうもありがとうございました。

そして!ツアーの前にはこちら、『SURF&SNOW in NAEBA Vol.46』が控えています。
2月9日から23日まで全8公演、苗場プリンスホテルにて開催されますが、チケットはすでに完売・・・でも、今年もネットでコンサート映像を配信します!
ご自宅でお楽しみいただけるNet Resort『Y-topia』2026。
チケットの購入方法など、くわしくは松任谷由実公式ホームページにて、ご確認ください。

そのほか、私の最新情報や近況は、松任谷由実公式ホームページXInstagramTikTokなどでお知らせしています。
ぜひ、チェックしてみてくださいね。

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Mononoke Kyoto

M1

Mononoke Kyoto

MNNK Bro. (Takashi Murakami & JP THE WAVY)

悲しいほどお天気

M2

悲しいほどお天気

松任谷 由実

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