非・日常体験を手軽に楽しめる場所といえば、ここ。今日のコードは「シアターの思い出」です。
■今週のChordは“シアターの思い出”
シェルブールの雨傘 / ダニエル・リカーリ
いつ聴いても良い曲だ。そして、映像も浮かんできます。
1964年の映画『シェルブールの雨傘』からテーマ曲。作曲はミシェル・ルグラン。ダニエル・リカーリで「ジェルブールの雨傘」。
ちなみに、この映画のストーリーを下敷きに、2016年に『ラ・ラ・ランド』が公開になりました。
そして、ダンスシーンや様々な音楽のフォーマットとして、この『シェルブールの雨傘』のすぐあとに作られた『ロシュフォールの恋人たち』・・・こちらもすごく充実した映画音楽で、カトリーヌ・ドヌーヴとそのお姉さん、交通事故で早くに亡くなってしまったけれど、フランソワーズ・ドルレアックという人が一緒にダンスをしたりするんです。そちらも素晴らしい映画なので、機会があったら観てもらいたいなと思います。
そんな1曲でスタートした『Yuming Chord』。
最大で12連休の方も居るという今年のゴールデンウィーク。
今年は、物価高やガソリンの高騰を受けて、おうちで“巣ごもり”や近場の日帰りレジャー・・・そんな方が多いそうですが、非・日常体験を手軽に楽しめる場所といえば、ここ。
今日のコードは「シアターの思い出」です。
現在、全72公演の「THE WORMHOLE TOUR」真っ最中なんですが、日常の家事や雑事から全面的に解放されるのが、ツアーの合間だったりするんですよね。
なので、移動日やオフ日にスケジュールを調整してシアターへ行く、ということもよくあります。
たとえば・・・あの大ヒット映画、『国宝』を観たのも昨年の年末、福岡ツアーの合間でした。
原作者の吉田修一さんのものは、必ず映画になるんですけれど、私としては先に本を読んでから行くようにしています。『国宝』もそうでした。
やっぱり、人間、座っている限界は2時間くらいなんじゃないかな。だから大抵の映画がそのくらいに収まっているんですけれど、『国宝』は3時間でもみんな面白かった、と満足しているから、お尻が痛くなるのも忘れて楽しんだんでしょうね。
そして先月、4月4日と5日の土日に開催した大阪公演を終えたあと、東京へは帰らず、次の公演開催地・鳥取へ移動して、公演前日に、オープンしたばかりのミニシアターへ行ってきました。
鳥取に移住された方が中心になって、クラウドファンディングで建てた映画館があることをニュースで知って、その心意気を応援したいな・・・と思いまして。
そんなわけで、JR鳥取駅の北側を流れる袋川に沿った桜並木をお散歩しつつ・・・桜もちょうど満開で、素敵な川辺でした。その桜土手通りに面したコミュニティシアター「シネマドア」に到着しました。
「女性の休日」という作品だったんですが、1975年にアイスランドの全女性の90%が仕事や家事を一斉に休んだ「女性の休日」というイベント、というか、アクション。女性がいないと社会がまわらないことを証明した、そんな1日を振り返るドキュメンタリー映画で、すごく私は感動しました。カタルシスがあった。
やっぱり映画は、テレビの画面やパソコンで観るよりも、映画館で観ると、空間、暗闇のマジックというのか、没入感がすごいんですよね。だから、特に、何十万人もの人が1つの目的のために広場に集まったりするシーンが・・・小さい画面で観ていたらあまり伝わらないかもしれないけれど、そういう文化を求めて集まってきた観客たちのオーラと共に、すごく胸に響いたんですね。
実際に言葉を交わしたりしていない、一緒に同じ画面を観ているだけだけど、言葉にはならない連帯感というのか、バイブスが繋がる・・・映画館にはそういう魅力がありますね。
ともあれ、「シネマドア」の皆様、あたたかいおもてなし、本当にありがとうございました!
ではここで今日のコード「シアターの思い出」にちなんだ曲を。
Woman “Wの悲劇”より / 薬師丸ひろ子
これは常々、楽曲提供した作品のなかでもっとも気に入っている曲です。
1984年公開の映画『Wの悲劇』の主題歌なんですけれど、この映画自体が、映画なんだけれど、映画のなかで演劇が繰り広げられるという・・・劇のマトリョーシカ状態で、「シアター」というコードにピッタリかなと思います。
今日のコードは「シアターの思い出」。
かつてよく行ったのは、何度かお話したことがありますけれど、三軒茶屋にあった映画館。調べてみたら、1960年頃の映画黄金期には、半径100m圏内に4施設5館の映画館があったそうです。今は全てなくなってしまったけれど。
その頃、私は松原というところに住んでいて(東急)世田谷線で2駅で着けたのかな・・・もうちょっとだったか。で、映画館、いいものをやっていたんですよ。例えばね、「スコセッシ特集」とか「キューブリック特集」とか。1人の監督で何作かやってくるのっていいですね。1日に何本、というのじゃなかったような・・・1週間交代くらいだったかな。
よく覚えているのは「スコセッシ特集」で、『タクシードライバー』と『レイジング・ブル』と・・・あと1本は忘れちゃったんだけど、ロバート・デ・ニーロがデビューのときからずーっと共に成長していたんだな、みたいな感じとか。もっと言っちゃうと、ロバート・デ・ニーロの役作りが「デ・ニーロ・アプローチ」と呼ばれて、役者たちの間で古典になっていて。「デニーロアプローチ」というのは、役のために何十キロも太ったり、ガリガリに痩せたり、歯を抜いちゃったり・・・体を張ってその人になりきる、という(役作りの手法)。
特に『レイジング・ブル』という映画は、役者というものを見せつけられたような気がしましたね。それを引き出すもの監督なんだけれども。
もちろん、今なんて配信で何でも観れるんだけれども、自分がめがけて行く、というよりも、その映画館、映画館でプログラムを組んでくれるのはありがたいですね。
それでいうと、飯田橋の「ギンレイホール」というところにもよく行きました。普通だと見過ごしちゃうようなカルトな映画・・・といっても、単館の映画ではないんだけれども。よくやっていましたね。
ところで、今どきは最新技術を駆使して没入体験が楽しめるシアターも増えていますよね。
実は私・・・というか、正確にいうと、私の声をラーニングして生成されたAI音声、「Yumi AraI」が、ヴォイスキャスト、つまり「声優」としてデビューいたしまして、「MANGALOGUE:火の鳥」に、AI「Yumi AraI」、ただいま出演中です。
上演されている会場は、TAKANAWA GATEWAY CITYに開館した文化の実験的ミュージアム、「MoN Takanawa: The Museum of Narratives」。
私の声が演じているのは、漫画の神様と呼ばれる手塚治虫さんの作品、「火の鳥 未来編」に登場する、高性能コンピューター「ハレルヤ」と「ダニューバー」・・・、なんと、2役です!
巨大なLEDスクリーンに映し出される手塚さんが書いた漫画原稿と、豪華キャストの声による熱演・・・私は除いていいですよ(笑)。
そして観客と同じ目線で物語を旅する、「マンガローガー」・・・そのすべてが一体となって、「漫画を浴びる」新たなシアター体験が味わえます。ぜひ、没入してみてください。
5月16日、土曜日まで、開催中です。
その「MANGALOGUE:火の鳥」を観ていて、自分の曲を思い出したんですけれど、手塚治虫さんの影響って、どこかで私のなかに流れているのかな、なんて思いました。
では、そんな曲を。
Glory Birdland / 松任谷 由実
お送りしたのは、1990年リリースのオリジナルアルバム、『天国のドア』から「Glory Birdland」でした。
今日は、「シアターの思い出」というコードで、私のミニシアター体験や、AI音声「Yumi AraI」の初仕事エピソードなどを、お話してみました。
今日を終えたら、明日から本格的なゴールデンウィーク、という方も多いと思いますが、私は、というと・・・「THE WORMHOLE TOUR」も、しばらくお休みなので、ゆっくりメンテナンスしたり、友だちと会うまでいかなくても、長電話したいな。あ、読書三昧したいですね。
・・・とはいえ、ここであんまり心身をゆるめちゃうと、もう一度、ステージに立つユーミンを再起動するのが大変なので、いつもどおり、粛々とルーティンをこなしつつ過ごします。
そして今月12日は熊本公演、そのあと5月16日・17日と、沖縄公演があります。
そういえばその昔、沖縄公演の合間に、マイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』、観たなぁ。
時間ができたら、各地の商店街ショッピングやパフェめぐりに加えて、シアターめぐりもできたらいいな・・・なんて、考えています。
ホント、文化って心の泉、オアシスですからね!
そして、私のステージが、みなさんにとってそんな存在になれたらいいな、と思います。
そのほか、私の最新情報や近況は、松任谷由実公式ホームページ、XやInstagram、TikTokなどでお知らせしています。
ぜひ、チェックしてみてくださいね。