コンテンポラリーダンスとは?

森山未來(俳優、ダンサー)×辻本知彦(ダンサー、振付家)

2019

09.13

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米津玄師の振付秘話



森山
知さん、ここ数年、例えば、米津玄師さんのPVやパフォーマンスで振り付けしたり、土屋太鳳ちゃんにも振り付けをしていて、コンテンポラリーという世界観をもっとメディアに持ち上げててるって言うか、そっちにも引き出してるようなイメージが、俺はなんとなくあるけど、既存でないところの、もう一個何かアップデートされてる体のスタイルを前に提示してる振付師としては知さんなのかなという認識が俺はある。

辻本
よく、その話してるし、すごく大切に育てている。

森山
本当に大きな世間の目に触れるところで、そういう押し出し方をしているというのは、すごく大きく影響を与えてるだろうなと勝手に想像してるんですけどね。そのへんに関してはどう思いますか?

辻本
米津さんが一番わかりやすく言えると思うけど、米津さんが自分の子供だとしたら
完璧、英才教育だと思ってやっている。最高にオリジナルで教えている。

森山
最初、「LOSER」をやった時、米津さんは、踊ってきた人ではないでしょ?

辻本
全く。踊りは好きなんだろうなという感じは臭ったけど。最初は振り付けがあって、作ってみたけど、全然踊れないなと思って。その時、監督がフリースタイルというか、違う感じでいこうかって話になって、僕もそっちが好きだったので、フレーズを作っていったり、彼のオリジナルの足のステップを記憶して体の連動をチェックしてパーソナルで彼の身体を見てて、

森山
セッションしていくような感じやんね。一方的に知さんから米津さんに振り付け渡すのではなくて一緒に立って、お互いに動いていくうちに身体がどんどん浮き上がってきて、それを固めてくみたいな。

辻本
しかも彼は吸収が早い。すごく知的生命体なところを持ってくるの。おもしろくて、頭いいほど俺も燃えてきて、頭でも攻めるし肉体的にも攻めるし、そういう考えだとあなたもそうやね 、森山さんもそうやね。

森山
(笑)。そうですか?

辻本
芸惚れする。芸に惚れる。そういう人を見ると才能惚れしちゃうんですよね。だから楽しくなってしまうし、ずっとそういう話をしたくなってしまう。土屋太鳳ちゃんも自分が要求したら出来てくんのよ。

森山
太鳳ちゃんは、めっちゃ練習するもんね。

辻本
紅白の時に太鳳ちゃんに、細かく駄目出しして、アシスタントに「どれくらいしたかな?200くらいかな?」って聞いたら、
「辻本先生、400くらいです」って言われて(笑)。でも、それでも付いてくるのよ。向こうも理解しているのよ、だからすばらしいと思って。そういう勘のいい子、いるんだよね。



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異なるバックグラウンド



森山
知さんは、最初ストリートから始まってるやん、そこからコンテンポラリーに出会ったきっかけは?

辻本
ジャンルでいうと、HIP HOPとかブレイキンなどのストリートは今でも一番、体の体内の羅列はそれで成ってる。いろんなジャンルがどれも好き、どれも踊りたいけど、服装も変えないといけない、靴の選びもある。

森山
バレエシューズを履いて、ストリートダンスを踊るわけにはいかんというか。

辻本
いつか融合したいな、全部を踊れるようになりたいなと思っていて、そこでフリースタイルですよね。

森山
ストリートの世界においての?

辻本
ストリートの意味のフリースタイルはジャンルを混ぜるだけかなぁ。今はどうなっているのかわからないけど。僕の言ってるフリースタイルは、ダンスとか関係なく、その曲で好きなのを踊る、形のない形を踊るというイメージかな。でも人と違うと必ず潰されるのよ。けども、東京という場所が育ててくれたとも思った。

森山
東京だったらその多様性を受け入れてもらえる。

辻本
大阪だともっと地方感があって、大阪でも無理だったなぁと思った。

森山
けっこう、大阪はストリートダンスの文化、ゴリゴリやからね。そういう意味ではコアだしすごくエネルギッシュな場所ではあるけど、既存のHIP HOPならHIP HOP、ハウスならハウス、そういうトラディショナルなものから抜け出そうとする感じはしないよね。そのぶん深いけど。コンテンポラリーダンスという言葉にはどこかで出会った?

辻本
言葉に出会ったのはそこから、フリースタイルでやってる時に、島地保武がいて

森山
ザ・フォーサイス・カンパニにいた方で、最初は、新潟にあるNoismというカンパニーに、知さんも島地さんも入っていたのが最初で

辻本
でもその時のコンテンポラリーダンスは、バレエベースのコンテンポラリーダンスですね。だからバレエのトレーニングをして、それを崩すというか、違う形に変容させるスタイルだったので。けど、かっこよかったし、美しかったから、学びたかったしね。なんだ!この動きはと思えたし。

森山
俺も25歳の時に、あなたに出会ったことでコンテンポラリーを知ったからね。2008年から2009年に上演された「RENT」というミュージカルで、その時に振付家として辻本さんが入って、その時、僕はまだもちろんコンテンポラリーという名前も知らず、僕5歳からダンスをやってたんですけど、ジャズダンス、タップダンス、ストリートダンス、バレエとわかりやすくジャンルになっているものをずっとやり続けてきて、でも、それぞれのジャンルを全部やりたい気持ちはあるけども、全部をやり続けることの労力というか、どれかを取るしかないと思った時期もあった。なんでかと言うと、それぞれに僕はマスターというか師匠がいるから、その人たちと向き合うためにはもちろん越えられないんやけど、例えば、4つ同時にやってて超えられるわけでないよなと、どっかに思ってしまった時に、距離感が出たりとか、他にもいろんな理由があって。こじれていた頃に知さんと出会って、コンテンポラリーという言葉がきた。日本語で言うと「今」とか「同時代性」みたいな意味になる、つまり既存のダンススタイルではなくて、自分たちで発見できる、その体というものを自分たちなりに探求していくみたいな、そういう概念なんだと言う事を知さんと出会ってちゃんと知った。


おふたりのユニット「きゅうかくうしお」の新作公演は、11月22日から12月1日まで、
神奈川・横浜赤レンガ倉庫1号館 で開催されます。


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