コロナ禍の現場で感じたこと

井浦新(俳優)×今泉力哉(映画監督)

2021

09.24

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1998年に映画「ワンダフルライフ」の主演で俳優デビューの後、映画、テレビドラマなどで幅広く活動されている井浦さん。さらに、モデルやファッションブランドのデザイナーとしての顔も持ち、カメラ、登山、美術、音楽など多趣味なことでも知られています。一方、2010年に商業監督デビューされた今泉さん。等身大の人々の日常を描くことに長け、これまでに『サッドティー』、『愛がなんだ』、『アイネクライネナハトムジーク』、『あの頃。』など次々とヒット作を発表。恋愛映画の名手とも言われています。

10月15日に公開になる映画『かそけきサンカヨウ』で初めてタッグを組んだお二人。いつもとは違うコロナ禍での撮影とあり、それぞれの作品にかける思いもひとしおだったと言います。

気持ちを仕切り直して挑んだ撮影



井浦
こんにちは。よろしくお願いします。

今泉
こんにちは。よろしくお願いします。現場ぶりですね。『かそけきサンカヨウ』で仕事としてご一緒するのが初めてだったんですけど、もちろん前からずっと知っていたり、東京国際映画祭の時にちょっとだけご挨拶はしていたんですけど、撮影から大分、経って久しぶりですね。

井浦
スタートは去年のコロナ禍で、現場が止まって仕事自体がなくなっていく中で、再起していく最初が、『かそけきサンカヨウ』の今泉組だったので、俳優という仕事や映画作りを今泉組でもう一度再スタートしていく中で感じることがたくさんありました。本当に僕はありがたいことに今泉組で『かそけきサンカヨウ』を終えてから、ちゃんと守るものを守りながらも戦わないといけない、届けなくてはいけないという使命も改めて映画の現場で感じたからこそ、それ以降止まってはいけない、自分の中でもすごい火が付き、一回仕切り直しでスタートさせてもらった作品だったりもしました。

今泉
今でこそまだ落ち着いてないですけど、最初の緊急事態宣言があって、撮影も予定していたより1か月ぐらいずれてクランクインしました。あと、新さんが、俳優の人たちと「mini theater park」を立ち上げたり、その前から劇場をずっとまわられたりしていて、自分も自主映画出身でミニシアターで育ったので、俳優さんが、しかも新さんみたいに活躍されている方が劇場に向いてくれるのは、映画館も勇気をもらったりするだろうし、すごく励みになったりするので、見てて嬉しかったですし、自分も頑張ろうという感じでやっていました。

井浦
嬉しいです。


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お互いの印象



映画『かそけきサンカヨウ』は、幼い頃に母が家を出て、父親の直とふたり暮らしをしている高校生の陽を中心にストーリーが進んでいきます。父が再婚し、義母と、4歳の連れ子による4人家族の新たな暮らし。家族について悩みながら成長していく陽の姿が丁寧に映し出されています。

今泉
最初は名前が井浦新さんになる前のARATAという大文字の時から普通に一映画ファンとして見ていたし、是枝監督の「ワンダフルライフ」とか、「ピンポン」しかり、ずっと見ていました。「青い車」という映画を上映していた時に、シネ・アミューズ、現在、ヒューマントラストシネマ渋谷の劇場でずっとバイトをしていたので、本当にご一緒できたのもご縁というか、嬉しいなと思っていて、『かそけきサンカヨウ』の現場で、まさに本当に仕事するとなって初めて会ったのが、衣装合わせの時だったと思うんですけど、その時から、新さんが、髪型やメガネ、衣装を直というお父さんのキャラクターについても考えてきてくださっていて、例えば、パリッとした服ではなくて、柔らかい方かなとか、すでにアイディアを持って下さったのは覚えていて、現場に入ってからも本当にちょっとした台詞の部分だったり、一個一個に言われたことをやるよりも、当たり前かもしれないけど、アイディアを提示してくれて、助けられたのを覚えています。

井浦
僕、今泉監督作品はほぼ全て拝見していて、作品から伝わってくる監督のイメージ像はご本人と重なっているところもあるんですけども、やっぱり作り方は監督、皆さんそれぞれなので、今泉監督が現場の中心でどのようにいるのかは、楽しみなところでもあり、そこに争うわけではないですけど、やっぱり俳優はぶつかっていかなければいけないので、どういうタイプなんだろう、どういうリズムなんだろうとか・・・。

今泉
新さんに見られるのは、めちゃくちゃ怖いですけどね。しかも基本、現場では迷っていて、決めていく側ではないので、みんなに助けてもらいながら作っています。

井浦
僕の初日に監督が夢中になって台本と格闘しながらも縮こまりながら床に置いて、書き込んだり、自分の世界に入ってずっと目を見開いたまま考えたりしている姿を見て、素敵だなと思って。だから始まる前にああだこうだではなくて、カメラが回っている中で、対話してお芝居を見てもらって、そこで足し算や引き算をし、まずはテストみたいな感じでやっていきました。監督ご自身は悩んでいるとか言いますけど、それをひっくるめて、スタッフ、キャストの皆がそういう夢中に映画作りをしている姿がきっと力になっているんだなと感じました。だから僕は作品と監督自身はやっぱりちゃんと重なっていてすごい伝わってきました。

今泉
それはすごい嬉しいです。


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映画『かそけきサンカヨウ』は、10月15日よりテアトル新宿ほか全国ロードショーになります。

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