世界のトップが集まる現場

Ryuji(ヘア&メイクアップアーティスト)×下村一喜(写真家)

2022

03.25

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2000 年に渡米し、ニューヨークを拠点に、『VOGUE』などのファッション誌や広告、CMを中心にアメリカ、ヨーロッパ各国で活躍されたRyujiさん。一方、ほぼ同時期の2001年にフランスに渡り、「madame FIGARO」誌と契約。イギリスの伝説的カルチャー誌「THE FACE」の表紙を飾るなどヨーロッパで活躍された下村さん。

世界でチャンスを掴むには



下村
Ryujiさんのお名前を初めて見たのは、パリ=シャルル・ド・ゴール空港だったんです。空港の中の本屋さんで、ドイツ版の「ELLE」の表紙を見ました。なかなか海外の雑誌で日本人の名前を見ることはないので。

Ryuji
下村さんも海外は、長かったですよね?

下村
7年間住んでいました。

Ryuji
一番、アイコニックなお仕事は「madame FIGARO」ですよね。

下村
「FIGARO」とは契約していました。最初の仕事が「FIGARO」の表紙だったんですよ。

Ryuji
凄すぎますよ。

下村
ここは声を大に言いたんですけど、表紙用に撮った写真ではないんですね。マジックが起きて、表紙になったので、とても誉だったんですけど、そういうミラクルも起こるけれども、撮ったのに載らないこともありますよね。

Ryuji
どっちかと言うと、そっちの方が多いですよ。

下村
私も載らないことがあったので、撮って終わりではないんだと(笑)。なので、失礼な言い方しもしれないですけど、常にコンペティティブ。

Ryuji
でも誰かが見出してくれたんですよね?

下村
自分で編集部に行きました。みなさん自分のブック、名刺みたいな作品集があるんですけれども、

Ryuji
重いんですよね。

下村
今、多分、iPadで見せる方もいらっしゃると思いますけど、

Ryuji
重いポートフォリオを持って、売り込みに行って玉砕して帰ってくんですよね。

下村
多分ニューヨークは、もうちょっとしっかりしていると思うんですけれども、パリの場合、持って行っても、アポイントを聞いてないと言われ、その後も、たらい回しにされて、

Ryuji
NYの場合は、ポートフォリオを送るんですよね。「何日に取りに来てね」と言われて、行くと、ポートフォリオが1ミリも動いてないんです。根が生えたように置いてある。

下村
私、声高に言いたいです。モデルのオーディションを「FIGARO」のオフィスでやるんですけど、うず高くブックが積んであるんですよ。見てもいない(笑)。

Ryuji
でもね、事実なんですよ。ほぼほぼ見てないですよね。なかなか大変な国でしたね、お互い。


海外で学んだこと



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下村
私はフランスに住んで、こういう方が正しいかどうかはわからないですが、楽だったんですね。それは何かというと自分の意見を言うから。別にそれはあなたの意見だからいい、間違ってようと、どうであろうと、私は違うという徹底した個人主義が私には居心地が良かったんです。小さい頃から変わってる、変わってるって言われて、そういう対象だったので、その個人主義はすごく自分の中で居心地が良かった部分でした。

Ryuji
外国で仕事をする上で勉強になったと思っているのは、個人主義でやっぱりスパスパと自分の意見を言うんだけど、いつの間にかどこかで誰かの意見に調和していくと言うか、自分を譲らないまま何となく受け入れて調和してく感じ。

下村
悔しいです。辻褄が合うんですよね(笑)。

Ryuji
あれすごいですよね。

下村
言いたいことを突き刺さるように投げつけられ、全員がバラバラのことを言っているんだけれども、オーケストラみたいに、最後、ちゃんと音があって、終わる。

Ryuji
ヨーロッパにはカフェ文化があって、仕事の合間にお茶を飲んで、さっきまで目の前で大喧嘩していた人たちが、お茶を飲むとゲラゲラと笑って楽しく話しているんですよ。日本人の僕としては瞬時に切り替わるのが理解できないんですよ。口に出したものは引っ込められないみたいな大和魂的なところがあって、でもコーヒーが出てきた瞬間に、0.5秒くらいで引っ込めるので、あれがフレキシビリティとインフレキシビリティのうまい具合のバランスというか。考えて相手のことを受け入れた上で、譲る、譲らないではないんですよね。混ぜるんです。あのクリエイティビティと言うか感性は海外にいて勉強になったかな。

下村
学校のクラスにもいろんな肌の色もいるし、そもそも人種もラテン系もいるし、ゲルマン系もいるし、アジア系の人もいるし、それぞれが違うことがゼロ地点でありますよね。

Ryuji
そもそも考え方も違うし、生きてきた家庭も違うし、違うからしょうがないという前提はあるでしょうね。


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