90年代のリアル東京カルチャー

浅野忠信(俳優、ミュージシャン)×伊賀大介(スタイリスト)

2023

04.14

null

浅野さんは、1990年に映画「バタアシ金魚」でスクリーンデビュー。国内外の映画祭で数々の賞に輝くなど、高い演技力が評価されている個性派俳優です。また、音楽活動の他、画家として大規模な個展を開催するなど、マルチに活躍されています。
一方、22才でスタイリストとして活動を始めた伊賀さん。雑誌、広告、音楽家、映画、演劇などジャンルレスにスタイリングを手掛け、文筆業もこなしています。

パンクロック好きも共通点!



null

浅野
いやー、久しぶりだよね。

伊賀
ご無沙汰していますね。会えて嬉しいです。

浅野
本当に嬉しいね。変わらないよね?

伊賀
今回、思い出したんですけど、多分、浅野さんと出会って、27、8年です。

浅野
そっか!俺が今、49歳だから22歳の時。

伊賀
そうですね。僕がアシスタントについたのが19歳で、師匠の熊谷隆志が浅野さんの仕事をされていて、それで出会ったので、結構長いですね。

浅野
めちゃめちゃディープな時間を過ごしたね。熊谷さんのアシスタント時代が一番会っていて、いろんなところに行ったよね。覚えているのが、新潟で映画『白痴』の撮影の時に「メンズノンノ」の撮影で熊谷さんと来てくれて、「大介、お前もそろそろ独立だから靴下を選べ」と言われ、どんなのを選んでくれると思ったら、とんでもないのを選んで、「まだまだだ」と言われたのが、めっちゃ面白かった。俺の中では別にこの靴下でもいいと思ったんだけど、確かにロックだった。選ぶのがロックだから。

伊賀
そうですよね。浅野さんと僕はパンクロック好きだから。僕、アシスタントの時にすごく覚えているのが、今映画をやっているきっかけにもなっているんですけど、クリストファー・ドイルの映画あったじゃないですか。

浅野
『KUJAKU 孔雀』ね。

伊賀
僕、映画の現場にも行ったことがないのに師匠が「ちょっと行って来い」と、歌舞伎町の現場に行かされたんですよ。映画をどうやって撮るのか、洋服の衣装の点数とか何も知らないまま連れて行かれたのですごい浅野さんに迷惑かけちゃったんだろうなと思いつつ、本当に見ているだけだったので。

浅野
監督が、クリストファー・ドイルさんだったので結構ハチャメチャだったから、ちょうどよかったと思うよ。

伊賀
クランクアップが、僕が20歳になった日だったんですよ。歌舞伎町の雑多なコインパーキングの中で、最後「お疲れ様でした」とやって、全部終わったと思ったらスタッフの人が小さいお花をくれたんです。映画はみんなで作っているのを知れましたし、これは楽しそうだなというのは僕の中に残っています。

浅野
そこから映画に行った感じ?

伊賀
そうです。

浅野
だって新宿出身じゃなかった?

伊賀
そうです。

浅野
歌舞伎町の撮影で20歳、すごいね。

伊賀
あれは、すごく覚えていますよ。ところで、たぶん、スタイリストたちはみんな浅野さんには相当着せごたえがあるというか、怖いと思いますよ。

浅野
本当に?

伊賀
「面白い」と言ってもらえるかなみたいな。

浅野
いやいや面白いですよ。最近、映画はまだやっている?

伊賀
やっています。映画、舞台、たまにミュージシャンもやっています。

浅野
雑誌は今ほぼないでしょ?

伊賀
ほぼないですね。あの時は結構すごかったですね。まずページとテーマだけあって、経費だけ守ってくれれば何でもいい。浅野さんでダッフルコート、これだけが決まりで、あとは、任せるみたいな感じ。だからあの時は、頭と足を使って、例えば街中で浅野さんにTシャツを着せて、ダッフルコートを裏返しに着せて撮るのはもう師匠がやっているから、俺だったらライブハウスの奥で撮ろうとかネタを思いつくとネタ帳に書いていました。


バンド活動の面白さ



null

お二人が出会った90年代の東京は、ファッションや音楽などカルチャーが成熟し、ストリートが輝いていた時でした。近年、そんな時代に憧れる若者も多く、令和の今、リバイバルしていますが当時、ど真ん中にいたお二人。実際は、どんな様子だったのでしょうか。

浅野
結構、遊んだよね。

伊賀
そうですね。

浅野
大体この2人の中には熊谷さんがいたし、散々遊んだよね。

伊賀
あの時は、まだインターネットも発達していないんで、ここに行けばいるみたいな。

浅野
確かに。

伊賀
金曜日の夜とか、例えば「みるく」とか、「アンチノック」とか、どっかのクラブやライブハウスに行ったりするという浅野さんがいて、「おー」みたいな。

浅野
一応、携帯電話はあったけど、今と使い方が違うもんね。偶然みたいなことが多かった。でもどうやって情報をゲットしていたのかな?

伊賀
友達から聞いたり、口コミとか、信頼できる仲間とか。あと、みんな目立つ場所で打ち合わせをしていたから。

浅野
していた。このへんに行けばこの人がいるとか。

伊賀
レコード屋もそうですね。

浅野
実は、まだまだ懲りずに音楽活動もやっていて、バンドのライブが久しぶりにちゃんとできるというか、去年もちょっとやったけど、コロナで思うようにできない期間が長くて、4月30日に横浜の「F.A.D YOKOHAMA」でライブをやらせてもらうので、盛り上げるんで、聞いている方もぜひ遊びに来てほしいな。

伊賀
バンドをずっとやっていますよね。

浅野
ずっとやっている。本当に癖だよね、全部。

伊賀
バンド活動は好きですか?

浅野
面白い。

伊賀
メンバーとみんなで作っているのが楽しい?

浅野
面白いね。俺放っておくと1人で全部やりたくなっちゃうけど、やっぱりメンバーが考えていることとか、何かよくわかんないことを表現した時が一番面白いね。

伊賀
バンド生活は、何十年ですか?

浅野
一応、俳優と同じぐらいから始めているから30年ちょっと。

伊賀
高校生の時から?

浅野
全く成長してない、叫んでいるだけだけど。

伊賀
連れ合いみたいなことですもんね。

浅野
そうだよね。お互いを褒め合っているだけ(笑)。一番悪いんだと思います。単純なのが好きだから、ひたすら繰り返す。大好きなバンドは同じに聞こえるじゃん?ラモーンズとか。

伊賀
ほぼ一緒ですからね。それって必殺技みたいなことですもんね。

浅野
そうだよね。

伊賀
僕がすごく嬉しいのは、映画を見ている途中から、”これ絶対に大介のスタイリングだな”と思った、”雑誌のクレジットを見る前に伊賀だな”と言われるのは好き。

浅野
そうだよね、わかるよね。大介らしさが出ていて。


*浅野さん率いるバンド「SODA!」のライブが、4/30(日) F.A.D YOKOHAMAで開催されます。


これまでの記事

その他の記事