木村拓哉 Flow supported by Spotify - TOKYO FM 80.0MHz - 木村拓哉

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2022年02月06日Flow 第百八十四回目「拓哉キャプテン × 山下達郎」Part2

2月のマンスリーゲストは、僕のセカンドアルバム『Next Destination』に楽曲を提供してくださいました、山下達郎さん。
ここでしか聞けないトーク、お楽しみに!


山下:(先週話した)木村くんに最初に会ったスタジオの話に戻りますけど、”木村拓哉”っていう人が、そこ(スタジオ)に座ってる時のオーラに、すごいものがあったんですよ。その後何回か、木村君に会ってるでしょ? 僕、一番印象に残っているのが、スタジオに「マーチンのギター買ってきた!」って、「(試しに)弾いてみて、感想を聞かせてくれ」って言ってきて(笑)。僕なんか別にね、アコースティックギターにそんなに詳しくないんだけど(笑)、(木村がギターを)持って来て「弾いてくれ!」って言った時の、なんて言いましょうかね…オーラって言いましょうかね(笑)。冗談抜きで、そういうことを僕はあまり感じない人間なんですけど。

木村:ホントですか?

山下:うん。それはもうね、圧倒的にそういうもの(オーラ)があるんですよ、あなたには。

木村:全然わからない…。

山下:だから、SMAPを観に行っても、そういうものを感じるのでね。ソロアルバムの曲を書かせていただいた時、ようやく、ピンで、どういうライブのオーラがあるかっていうのを観れるなと思って、楽しみにして(ライブを観に)行ったんです(笑)。

木村:僕が2年前にファースト単独ライブをやらせていただいた時に、達郎さんと(竹内)まりやさんがご一緒に代々木体育館の方に来てくださいまして。で、ライブが終わって自分は楽屋へ帰って。自分もライブが終わった後だったんで、けっこうテンション高めで楽屋に戻ったら、演り終わった自分よりもテンションの高い達郎さんとまりやさんが楽屋にいて。「あ! 来てくださったんですね。ありがとうございます!」って言ったら「木村君はね! バリトンなんだよ!!!」って言って。「バリトン!バリトン!ようやくわかった!」っていうことを言ってくださって。

山下:そんなに大きい声で言ってないって(笑)。そうなんです。

木村:ライブ直後の自分が「バリトン!」って言われて、全然意味がわからなくて(笑)。

山下:男の人の声って、高い人と低い人といるじゃないですか。いわゆる“高い人”は「テノール」って言うんですよね。ハードロックはテノールよりもっと上なんです。メタリカとかAC/DCとか(レッド)ツェッペリンとか、ああいう人たち。
木村君はハードサウンディングなものが好きだと昔から知ってるから…レッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)とか、そういうのを意外と嗜好してるじゃないですか。
だけど、ライブを観て“この人はもっと音域が低いんだ”と。バリトンの方が“ヴォォ”ってところがふくよかに響くんですよ。だから、“この人はテノールじゃなくてバリトンなんだ”って、見えたものがあって。
それで、曲を書く時に1回打ち合わせしたでしょ?

木村:うん。

山下:木村君の場合、シャウト志向だから。だけど、ロックンロールはシャウトしなくてもできるよって。

木村:それを言われたんですよ。お会いしてお話をした時に。「別に叫ぶだけがロックじゃないよ」っていうことを達郎さんが言ってくださって。“お会いして話をする”っていう名目でお会いしたんですけど、完全に自分の中では“音楽の授業”みたいな。受けたことのない音楽の授業。達郎さんからは、すげー深いことを、笑いながら教わったっていう感じ。

山下:だって、お芝居だって音楽と同じですよ。例えば、活舌の良い悪いとかね、そういうもんじゃないものがあるわけじゃないですか。要するに“存在感”とか。歌も、例えば“音程が取れる”とか“リズム感が良い”とかいうよりも、別の問題があって。やっぱり“表現”というか“パッション”というかね。
僕はSMAPの曲のオファーを受けたことがあるんだけど、(自分の)ライブの関係とかで、できなかったんだよね。で、その時に(SMAPのライブを)観に行ったんだけど、5人いると5人で歌うから、個性がイマイチはっきりしないのと、パート・パートで分かれて持ち時間があるから、そういう中だと、ハッキリした顔出しがわからないんですよね。木村君はソロで代々木で2時間やって、ようやくモノが見えてきたっていうかね。
“歌が下手”だとか“上手い”とかあるじゃないですか。今のカラオケで、“ピッチが合ってる”とかTVでやってるでしょ。点数がついて。あんなの、別に上手い下手関係ないんですよ。ヨーロッパ音楽でも、例えばシャンソン歌手みたいな人の中にはすごく音程が不安定な人もいるけど、でもやっぱり、その“表現”。そういうものがすごく大事で。その人にどんな曲とどういう音世界が合うかが命だから。それが(木村に対して)見えなかったの。ずっとね。
グループってそういう弱点があって。ソロシンガーだとそういうところがはっきり出ないとダメじゃないですか。木村君の、“木村拓哉”という人の歌う特性というものがはっきりわかったんで、閃いたものがあって(笑)。それで打ち合わせした時に、(木村が)「やっぱりシャウトしないと...」って。
だから、あの時、何を聴かせたっけ? ニール・ダイアモンド?

木村:はい。

山下:ニール・ダイヤモンドとか(ジョン・R)"ジョニー"・キャッシュとか、バリトンで歌う人がたくさんいるから。ミック・ジャガーだって決してシャウトしないし。それは我々の大きな誤解なんですよね。“ロックはシャウトしなきゃ”っていうのが。

木村:だから、その授業の後、達郎さんから「曲作ったよ」って言われて、「え!」って。で、聴かせていただいたのが「MOJO DRIVE」と「MORNING DEW」っていう2曲が最初に来て、「ね。言ったでしょ? 叫ばなくても、シャウトしなくても、ロックにはなるんだよ」って。それでオケを録るってなった時に、「今まで木村君、オケを録る時にいたことある?」って言われて。「ないです」って言ったら「あ、いた方が良いよ」って。

山下:少し(話を)盛ってますからね(笑)。

木村:これは盛ってないですよ。

山下:いや、そういう内容では言いましたよ(笑)。

木村:で、「“生きたオケ”っていうのは、必ず、歌う人がそこにいて、それをみんなが感じた上で演奏したオケが“生きたオケ”になると思うから、もしスケジュールに問題がなければ、オケを録る時に実際に歌ってくれないか?」っていうことになって、「MOJO DRIVE」のオケをやる時に、自分の“仮設ボーカル場所”みたいのを作ってくださって。

山下:大体、普通はレコーディングがそういうものなんだよ。バンドをやる人だったら、リードボーカルがいるから、必ずああやって(ボーカルの場所を作る)。リズムセクションの真ん中でやると歌が被っちゃうから。声を出してるのも被っちゃうから。ドラムはドラム、ベースはベースで、全部そうやって小っちゃな区画を作ってやるから。あれが普通のバンドだったら、ああいうやり方でやるんです。

木村:らしいんですよ。だから、初体験でした。

山下:もともとね、レコードって、ライブを記録するためのものだから。始めはみんな、30年代とかそういう時代は、一発録りでレコーディングしてたでしょ。それが段々(パート別で)バラバラになってきて、後から歌を入れるノウハウが出てきてね。レコードの方がライブよりたくさん作れるから、儲けが多いから(笑)、そういうところでノウハウが確立されてきて。
でも本来は、バンドだったら一発で演奏しているところを録音して、それをレコードにしてたくさん売ると。そっちの方が、ライブは“1回演っていくら”だけど、レコードだったら何百万枚も作れるからっていう。
だから、(同じ空間でオケと)一緒に歌う、それが本来なんですよ。そうすると、木村君のグルーヴ、歌の癖とか伸びとかそういうものをリズム席で聴いて、それに合わせるから、それでできたオケだったら、至極自然に、演奏の世界に自分が入っていけるっていう。

木村:すっごい嬉しかったのは、その日初めてお会いした、達郎さんが招集をかけて集まってくださった、それこそ音大の教授をやっている方がキーボードをやってくれたりとか。

山下:(キーボード奏者の)難波弘之って言うね、僕ともう40年一緒にやってる人間ですけど(笑)。僕のライブは全部彼なんだけど。

木村:あと、ベースを弾いてくださった方が、座りながら足を組んだ状態で、上向きにベースのフェイスを上げた状態で弾いてくださってたんですけど、僕はちょっと離れた斜め上(中2階)のスペースで歌ってたんですけど、ベーシストの方がね、自分のフィンガーが入ってないタイミングで、僕に“サムアップ”してくれたんですよ。あれを受けた瞬間に、何かゾワッとして(笑)。

山下:(笑)。

木村:なんかそういう、達郎さんのおっしゃってくれた「グルーヴ」じゃないですけど、別に自分はグルーヴを意識してやっているわけではないんですけど、「いいじゃん!」って感じの(反応を)それぞれ音を出してくださってる人たちが(してくれる)。ドラムの方もそうだったな。ドラムの方も自分(木村)を見ながら「まだ行くか? まだ行くか? お! そこか!」みたいな感じで叩いてくれてるのを見た時に、すごいなんか…(感じた)。

山下:あいつは、そうる透っていって、ハード系では非常に有名なヤツだけど、本当にメタルの王道の人なんですよ。あの人、日本でドラムソロをやらせたら一番面白い人ですよ。

木村:えっ! そういう方が…。

山下:木村君はね、声量があるんですよ。作詞のザ・クロマニヨンズのマーシー(真島昌利)がね、僕と2人で“MOJO DRIVE〜♪”って(コーラスを)やろうと思ったら、木村君が見に来てくれたんで、「じゃあ一緒にやろうよ」って。で、僕とマーシーが終わって話してて、「あの人(木村)声デカいね〜!」って(笑)。声量がすごくあるから、それをバリトンでやらせたらもっと大きくなるのね。
だから、リズムセレクションの連中の感想は「縦の線(リズム感)がしっかりしてるし、全然問題ないよ」って。あいつらが言うんだから、本当ですよ。そういうところでお世辞は言わないから。ミュージシャンは。

木村:ヤバい!

山下:だから、そういう、自分の得手というか特質を生かして作品を作っていけば、歌を歌うってことがもっとずーっと楽しくなります。うん。

木村:聞きましたか!? ジェダイマスターから許しを得たような感じ(笑)。

山下:重要なのは、“音楽が好きだったらそれでできる”っていうことですよ。

木村:音楽は好きなんですけどねぇ。

山下:あとは、自分に合った音楽を自分の方へ引き付けるっていう。だから、ハードなものでも、シャウトしなくても大丈夫。次は、例えば“オーケストラをバックにやりたい”という時はどういう風にやるか。それを称して“プロデュース”とか言うんですよ。その人に合わないとダメだから。着せ替え人形じゃないんでね。自分の声は1つしかないから。

木村:また出たぞ! 今日のこれ、テストに出ますからね。「声は着せ替え人形じゃない」「叫ばなくてもロックはできる」(笑)。
それで、「MOJO DRIVE」「MORNING DEW」の2曲を、それこそ達郎さんがディレクションしてくださって、レコーディングをしたんですよ。それで「ありがとうございました!」っていう感じでその2曲が終わって、“あぁ、レコーディングというものが終わった”って思ってたら、達郎さんから「今ね、もう1曲書いてるから」って言われて(笑)。

山下:ハードロックだけだとアレかなぁ...と思って(笑)。少しコンテンポラリーな匂いがあったものが良いんじゃないかと(笑)。

木村:(笑)。でも、すごいビックリして。本当に。だって3曲いただけるって、ないですよ。ホント。それが「Good Luck, Good Time」って曲なんですけども、それもいただいて。今回1枚のアルバムの中に3曲、達郎さんが作ってくれた歌が入るという結果に繋がったんですけどね。

山下:僕がアルバムで曲を書かせてもらう時って、(要求されるのが)ヒットチューンではなくて、「新機軸とか新境地ってないですか?」と。アルバムの中の毛色の変わったもの、そういうものを求められてきたのね。だから今回のアルバムでも、僕に求められることは、“木村君の今までなかったところを提示する”って、自分ではそういう意識があるんで。“だったらエアロスミスだろ〜!”みたいな。

木村:なるほどなぁ…。

山下:へそ曲がりなの(笑)。

木村:へそ曲がりというか、なんというか。

山下:久しぶりに、珍しく自信作です(笑)。

木村:マジですか? 嬉しいなぁ。

山下:よく出来たと思います。自分で。我ながら。

[BGM]
『Next Destination』木村拓哉
VICTOR/VICL-65643

M.MOJO DRIVE/木村拓哉
M.MORNING DEW/木村拓哉

[O.A曲]
M1.Good Luck, Good Time/木村拓哉

[後TM]
MOJO DRIVE/木村拓哉

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