今月ご乗船いただいているのは、放送作家、脚本家、そしてラジオ・パーソナリティとしてご活躍中の小山 薫堂さんです。

テレビでは、『カノッサの屈辱』や『料理の鉄人』といった大ヒット番組を担当、映画『おくりびと』でも、すばらしい脚本を手がけられました。

小山薫堂さんは出張も多いということで、お仕事でもプライベートでもさまざまな旅の経験をお持ちです。

色々な角度から旅のお話をおうかがいしていきます。

ー お客さんが来なくても、自分たちが幸せだと思う事が一番幸せじゃないですか ー



干場「今日は国内旅行のお話を伺いたいと思っています。薫堂さんは熊本県のご出身なんですよね?薫堂さんは色々な事をされていて、くまもんも生みの親なんですよね?」

小山「デザインは僕ではないんですけど、プロデューサーという立場ですね。今から5年くらい前に、九州新幹線が開通したんです。熊本は1964年の新幹線開業以来の悲願だったんですよね。しかし、実際来るとなると熊本の人がちょっと嫌がっているんですよ」

干場「それは何故ですか?」

小山「今までは、鹿児島に行く人が熊本に立ち寄って一泊していたんですけど、新幹線だと一気に行くので泊まらなくなる。それにくわえ、福岡まで30分以内で行くので、若者たちは買い物に福岡まで行ってしまうのではないかと、ストロー現象というんですかね、スルーされちゃうんですよ。「果たして熊本県に新幹線はいるんだろうか?」という状況になって、それを盛り上げる為に新幹線を軸にした観光キャンペーンをやってくれないかという依頼だったんです」

干場「それで、何故くまもんになったんですか?」

小山「僕が最初考えたのは、観光は無理にしない方がいいんじゃないですか?と、観光は全ての県が、自分の所の良いものを外に「いいよ、いいよ」と言うだけで終わってしまう。それよりも、観光予算を使い県民の意識改革キャンペーンをやりませんか?という提案をしたんです」

干場「それはどういう事でしょうか?」

小山「熊本県の名産品や場所に厚化粧をして、どうですか?というよりも、自分たちの身近にあるものって素敵だよねと、自分たちが思える様な"気付き"のキャンペーンをやれれば素敵じゃないですか。お客さんが来なくても、自分たちが幸せだと思う事が一番幸せじゃないですか」

干場「なるほど、確かにそうですね」

小山「そういう提案をして、形の見えないものってお役所は嫌がるじゃないですか。それを分かってくれたんですよね。その時に、キャンペーンの象徴として、くまもんというキャラクターを提案しました。くまもんは、"熊本県の人が、熊本にある素敵なものを探す為のリーダーみたいな存在"なんです。だから、びっくりしてるような顔をしているんですよ。誰かを驚かせたいとか、そういう存在なんですね」

干場「熊本では、何をオススメするんですか?」

小山「僕は圧倒的に人の良さですね。実は熊本に隠れキリシタンの方達が暮らしていた漁村があるんです。弾圧された時代にも、たくさんの人が暮らしていて、家の仏壇をひっくり返すとマリア像があるみたいな。ここに不思議な場所があるんですよ。ある家の方が、家族がいなくなって家が広くなったので、誰でも入れるオープンサロンにしているんです。ここに、近所のおばちゃん達が昼になるとおかずを一品ずつ持ち寄って集まるんです。それを食べながら話しているんですよ。そこに観光客の方が通ると、「ちょっと、ちょっとー!」って声をかけて、ビックリするわけです(笑)」

干場「それは、ビックリしますよね(笑)」

小山「それで、「お茶でも飲まんね」と座ると、お味噌汁とか出て来て「何だ?」と、思うわけです。そのおばちゃん達は観光客の方達に、自分たちの知らない土地の話を聞くのが楽しいらしいんですよ。ここが一つの名物の場所になってまして、ここに行った人は大体感動して、手紙を書いたりするんです。おそらくその近辺では、クリスマスが17世紀から行われていたらしいんですね。天草では世界中の北欧の公認サンタクロースが自費でやって来て、会議を天草で開いてるんですよ」

干場「そんな会議があるんですか!?」

小山「サンタさん達はプロペラ機に乗って、天草空港に到着して、「果たしてこんな所に何があるんだろう?」と到着すると、3000人がサンタさん達を出迎えるんです。それを見て、こんなに自分たちが歓迎されると思わなかったと、思わず泣いたそうなんですよね」


「クルーズにも「クリスマスパーティー」や「カウントダウンイベント」はあるのでしょうか?」

保木「日本の船の場合、クリスマスの「ワンナイトディナークルーズ」とかをやってると思うんですよ。
横浜から出て一泊、クリスマスイブを船の上で過ごすんです。

外国の船の場合も、11月の勤労感謝の日が終わると、船の中はホリデイのデコレーションが始まるんですよ。
トナカイやクリスマスツリー、くるみ割り人形など、ホリデイシーズンを迎える為のデコレーションがされるんです。

船の中に積まれているんですけど、デコレーションの為にデコレーションする人達が乗り込んで来るんですね。
船の上では楽しい催し物もいっぱいありますし、海の上での年越しも、ロマンチックで良いのではないでしょうか?」