今月ご乗船いただいているのは、イタリア料理「LA BETTOLA da Ochiai」のオーナー・シェフ 落合務さんです。

落合務さんは、日本におけるイタリア料理の先駆者。70年代後半からイタリアで料理の修業をされ、日本にイタリア料理を知らしめた第一人者です。

イタリアの旅をはじめ、各地で開催されるお料理教室の講師など、国内外を忙しく飛びまわっていらっしゃいます。

今月は落合務さんに旅のお話をうかがっていきます。


ー ご飯の時間になると、みんな横並びになっちゃうんですよ ー



干場「今日は、イタリアに3年間行かれた時のお話を伺いたいと思います」

落合「これもまた、皆さん泊まらないといけないですよ(笑)。社長はフランスに1ヶ月半行くのに、お金出してくれたんだけど、帰ったら「やっぱりすみません!僕、フランスに行きます」と、言っちゃおうと思ったんですよ(笑)。怒られると思っても、それはしょうがないなという感じで。それで、帰りに3日間イタリアに寄ったんですけど、フランスに比べて汚い街だなと思ったんですよ」

干場「フランスとローマ、当時はそんなに違ったんですか?」

落合「僕はすごく感じました。レストランに行ったんですけど、こんなの誰でも作れるだろうと思ったんですよ。「この盛りつけは何なんだ?」とか、「このサービスは何なんだ?」みたいな。これだったら、フランスにいれば良かったと思ったんですよね。それで、あまり良い印象がないまま帰ったんですよ。
日本に帰って来て、社長に「どうだった?」と聞かれて、「フランスはすごい良かったです。帰りにイタリア寄ったけど、大したことないですね」みたいな言い方をしたんですよ(笑)。そしたら社長が、俺はイタリア料理好きなんだよと言ったんですよね。僕にはイタリアって国が頭になかったから、わからなかったんですよ。それで、図書館に行って文献を見たら、フランス料理のもとはイタリアにあるという事が分かったんですよね」

干場「そうなんですか!原点はイタリア料理にあったんですね」

落合「その歴史を知らずにやっていたんですよ。あの変なイタリア料理はフランスの元なのかと(笑)、鴨のオレンジソース、ベシャメルソースとか、すべてイタリアからフランスに行ってるというのが分かったんです。それで、ちょっと興味を持って来たんですよ。
そうこうしているうちに、僕がフランスへ行きますという雰囲気を社長も感じていたみたいなんですよ。」

干場「また、感じちゃったんですね(笑)」

落合「社長に呼ばれて「おまえ、外国で勉強するのが夢なんだろ?イタリアに勉強に行ったらどうだ?」と言われたんですよ(笑)」

干場「それはまた、すごいチャンスですね!」

落合「それが1979年で、僕は最初ローマに行って、ローマからナポリ、沖にあるイスキアという島に行ったり、シチリア、そして上に登ってフィレンツェ、ミラノ、あちこち食べながら「仕事ない?給料無しで、仕事欲しい」という片言のイタリア語で回っていたんですよ(笑)。小さなホテルに泊まっていたんですけど、そこのウェイターと会話をするようになって、「コックになりたいんだけど、レストラン知らない?」という話になったんですよ。昔日本人が働いていた店を知っているというので、住所を書いてもらって行ったんです」

干場「本当に手探りですね(笑)」

落合「そこでご飯を食べて、このレストラン良いなと思いながら、主人に「私、日本人、お金いらない、ご飯だけ欲しい、仕事したい」という感じで言うと、明日から来いと言われたんですよ」

干場「それはラッキーですね〜(笑)」

落合「でも、それまでは12〜3軒巡ってるんですよ(笑)。イタリアは楽しかったですよ。料理の勉強に行ったんですけど、人間として勉強する事がありますね。まず、人間として平等みたいな考え方があるので、年齢じゃないんですよ。例えば、仕事してる時はシェフがトップですよね。だけど、ご飯の時間になると、みんな横並びになっちゃうんですよ。
シェフもファーストネームで呼び捨て、ご飯が出来ると、日本だと社長がつくまでは、僕らは座らないですよね。向こうは、ご飯が出来ると、洗い場のおじちゃんから食べるんですよ。それが、当たり前の事なんですよね」


「クルーズで一番楽しい時間はどんな時でしょうか?」

保木「私が一番好きな時間は、朝起きて、寝ぼけ眼でカーテンを開けた時に、
昨日とは違う世界が広がっているのがすごい好きですね。

私が魅せられた一番のきっかけは、昨日とは違う世界が広がっている事です。
起きる時間によって、朝焼けだったり、着いた港がすっごい綺麗な海の場所だったり、
工場地帯に着いたりと、色々違うんですけど、それはそれで色んな国の特徴があって好きですね。

あとは出航の時、今までその港にいたわけじゃないですか。
それを静かに岸壁を離れていく時に、港の人達が手を振ってくれたりする、あの時間が好きですね。
航跡を見ながら、今いた街を後にして次の街に向かうのが好きですね。

船の上のアクティビティを楽しむのも好きですけど、その2つは船の上で一番楽しい時間かな。
地球の上に一人だけいるような感覚になりますよね」


今月は、横浜に寄港したクルーズ客船「飛鳥?」の船内に、リスナーの皆さんを招待して公開収録の模様をお送りしています。