刺激を与え続ける存在

桜沢エリカさん(漫画家)×谷村志穂さん(小説家)

2016

11.13


 
1990年に『結婚しないかもしれない症候群』がベストセラーとなり、以後、自然、旅、性などの題材をモチーフに、数々の長編、短編小説を執筆されている谷村さん。一方、10代でデビューした桜沢さんは、1991年から93年連載されていた「メイキン・ハッピィ」で人気が不動に。常にその時々のオシャレでカワイイものや場所に敏感で、洗練されたタッチの漫画やイラストを数多く手掛けていらっしゃいます。時代の変化とともに、そのときどきの女性の心情をリアルに描写してこられたおふたり。小説家と漫画家、ジャンルは違えど、以前から交流があり、ライスステージの変化をともにシェアしてきました。



桜沢
志穂さんはデビューが華々しかったから、すごく派手な印象があったんだけど、実際に話すと落ち着いていて、しっかりしていると思ったかな。

谷村
私は、とにかく、桜沢さんは、なんて色の白い方なんだろうと思いました。

桜沢
やめてください(笑)。

谷村
道のど真ん中を歩いて来たという印象があったかなぁ。

桜沢
そうですか。仲良くなったのは、お互いが結婚wpして落ち着いてからだよね。そんなに頻繁に会っていないから、そこまで悩みをいう相手ではなくて。

谷村
私は刺激を受けるけど。

桜沢
オーラに触発される相手ですよね。

谷村
桜沢さんは、健康に気をつけていて、私が、体調崩していた時、ほとんど人には言わないというか、言えないところがあるんだけど、どうしてか桜沢さんには言っちゃたの。つい告白したくなるんですよ。

桜沢
たまにしか会っていないのに、そういうこともありましたよね。私が覚えているのは「クロワッサン」の撮影で前後した時に、志穂さんから「結婚するの」だか、「結婚したの」と言われた時は、盛り上がった。

谷村
桜沢さんは、その時は、もう結婚していた?

桜沢
私はしていたかな。同世代のオンナの人で同じように遊んだり、仕事も遊びも一生懸命やっている人で結婚や子ども産む人がなかなかいなかったらすごく嬉しかったの。

谷村
あの時は、結婚した時だったのか、する時だったのか。それもふと話してしまった。

桜沢
ほんとですか!たまにしか会わないないから逆に言えるというのもあるかもね。

谷村
そう考えると、最近は、これといったニュースがないですね。

桜沢
ないね。人生のメインイベントがだいぶおわった感じがするよね。

谷村
これから聞く話は辛い話になるかもしれないね。

桜沢
そうね。


女性のライフステージの変化





桜沢
うちは夫が専業主夫で、私が稼ぎ手で、当時はそれで取材を受けたりとかしていたけど、そういうのも普通になってしまったし、逆に専業主婦願望の女の子が増えてたりとか、私たちの頃は、私がバリバリ働いて、彼も働いてくれたら、助かるくらいな気持ちもあったし、彼が働かなくても私が働けばいいみたいな気持ちでアグレッシブだった。それも飛び越えて、最近は、みんな、もっと普通でいいみたいな感じになっている気がするな。

谷村
私は独りでいようと思っていたの。仕事がピークに忙しくて、受けきれないくらいで神経症みたいになっていて。恋愛はするんだけど、結婚は無理かもと思っていたし、ましてや子どもなんて考えられない。そう思っているから子どもも好きではなくて。ところが30代半ばくらいに、立て続けに意識させるようなこと起こったの。ひとりは、よく行く美容院のおねえさんが、髪を整えてもらっている時に「結婚しなくてもいいから子ども産んだら」って私に言ったの。

桜沢
そんなこと言ってくれたんだ。

谷村
それからもうひとりは、安藤和津さんに番組で会った時に、「谷村さん言ったらずるいかもしれないけど、結婚したらわかることがあるのよね、ずるいでしょ」っておっしゃって。さらに、もうひとり、直接言われたわけではなくて、岸恵子さんのインタビュで、「子どもが小さい頃は家に帰ると子どもの寝顔がどんな恋人に会うよりも嬉しくて急いで帰った」というのを読んだ。その時立て続けに私の中にどんどんどんって入ってきて、その頃からかな、きっと影響を受けたんだね。

桜沢
意識し出したのかなぁ。

谷村
うんうん。

桜沢
自分にそういう準備ができていないと言われても入らないよね。

谷村
そういう時期だったんだね。

桜沢
きっとね。



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