映画の醍醐味

倉本康子（モデル）×よしひろまさみち（映画ライター、編集者）

2020

06.19

素敵な年の重ね方を学べる作品

よしひろ: 実は、最近仕事がらみで見直したやつであるのよ。アン・ハサウェイとロバート・デ・ニーロが主演の『マイ・インターン』。アン・ハサウェイが演じているのがNYでアパレルのECサイトを立ち上げて儲かった社長さん。従業員もたくさん抱えているのね。デ・ニーロは、その会社がある地元にずっと住んでいて引退をしている人なんだけど、ECの会社が社会福祉の一環としてシニアインターンを雇うことになって募集をして応募してきたのがデ・ニーロなのね。一見すると、おじいさんが若い人しかいないインターネットの会社で四苦八苦して辛い思いする話になるか、もしくは老害の話になっていくかっていう風に思ってたのね。全然違うのよ、老害に絶対ならない男性なのよ。それがなんでかと言うと、若い従業員を見下さないの。100%尊敬しているの。自分がSNS使えないのを助けてもらっても、ありがとうと言いながら、さりげなくアドヴァイスするの。若い子の方から年上のことをちょっと一線を置いてではなくて、ちゃんと同僚としてみてるのも今の時代絶対必要になってくることだし、これから日本はどんどん自分も含めて年寄りが増えていく、自分が出来る事は若い子の多分50%以下だと思うのね。ただそれを蔑むのではなく、私の基準に合わせてもらうのはおかしいのよ。時代は彼らのものなんだから。そこを尊重してくれているのをものすごく簡単に映画では描いているのよ。

倉本: 生き方の指針になるというか、若い子も見たほうがいいよね。

よしひろ: 若い人たちは年上のことはエイリアンじゃん。おじさん、おばさんたちが何をしてきたかを絶対見てなかったわけだし、ただ人生の先輩としては分かるけど。

倉本: 若いだけで勝ちみたいな、自分たちもそういうのがあったからね。

よしひろ: あった！あった！気持ちはわかる。

倉本: 我々もちょっと前までは若かったからね、若い時の気持ちもまだ新鮮だし、ちょうど、上の親の世代の気持ちももうわかるようになってきたし。

よしひろ: その中間にいる間に下の世代との付き合い方、上の世代としての生き方というのを今のうちに学んでおくべきじゃないのかなと考えちゃった。

倉本: いいシニア世代になるためにも見たらいいね。

よしひろ: すごいいいと思う。

映画館に足を運ぶことの良さ

よしひろ: やっこちゃんは最近、どんな映画を見たの？

倉本: 一番最近は映画ではなくて、アメリカのドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』、シーズン7をちょうど今朝見終えた。

よしひろ: おめでとうございます。おつかれさまです。あれマラソンだもんね。

倉本: あとは、ちゃんと腰据えて『Fukushima 50』を見たよ。友人たちとみんなで行こうと約束していたのが、映画館もクローズしたから、みんな同じ日に配信で見て、みんなで感想をオンライン飲みで言うという。

よしひろ: それいいね。

倉本: 岩手県の一関の超有名なジャズ喫茶「ベイシー」の菅原さんのドキュメンタリー映画の試写に行く予定だったのが、なくなってしまってオンライン試写にしようと思っていて、ジャズと菅原さんのかっこいい男っぷりとか、有名人たちのお付き合いとかジャズミュージシャンとか、そういうのを家で、お酒を飲みながら見ようかなと思ってるけど。

よしひろ: ぴったりだと思うよ。本当は劇場で観てもらいたいのが一番の気持ちだから仕方がないよね。落ち着くまでは。ただ、ちょっとした良い兆しもなきにしもあらずで、家で見られるようにオンラインの仮設の映画館的なものをクラウドでやってたりとか、やっぱり劇場に来てもらいたいから一応6月いっぱいくらいまでを目処にはしてるけども、それはそれで定着するんだったら、いままでミニシアターがないエリアは日本にあるから、そこの人たちも見やすい状況にはなるのかなという気はする。