求められる仕事をしっかりこなす

楫真梨子(ファッションブランドディレクター)×長谷川あかり(料理研究家)

2023

11.10

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キャリアをチェンジした理由



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子役からタレントとして芸能界で活躍後、大学で栄養学を学び、本格的に料理家として活動を始めた長谷川さん。SNSで発信するレシピは大反響を呼び、レシピ本も人気となっていますが、そもそも、なぜ、料理家にキャリアチェンジをしたのでしょうか。

長谷川さんは、どこで料理の道に進もうと思ったんですか?

長谷川
料理の道に進もうと思ったのは20歳で、今の夫にプロポーズされまして、そのときにライフステージが1個変わるとなったときに、11歳で始めた芸能活動をこのまま続けるか続けないのか、そこで立ち止まれたというか、子役から始めて、私は芸能界で頑張るんだと決めたからそれ以外は考えてこなかったんですよね。だから20歳で初めて違う道もあるのかみたいな気持ちの変化がやっと来て、そこでずっと料理は好きだったし、大学も行っていなかったので、料理や栄養を学べる大学で勉強をして、違う道に進んでみるのもありかなと思って、それで22歳で結婚もして、大学に入りました。

素敵です。長谷川さんは、自分で決断して、人生の舵取りをしているとすごく感じて、芸能界から料理は全く違う道だと思うんですけども、自分で料理の道に進みたいと思ったのですか。

長谷川
意外と自分で決断はしているんですけど、人のせいにしていますよ(笑)。芸能活動をやめることは、ちょっと諦めたではないけど、実際にすごくうまくいっていたかというとすごく悩んでいた時期ではあったので、続けるのか続けないのかもなかなか自分で決断できないんですよね。だからそのときに、結婚もするし、やめても変ではない、そういう言い訳はあって、それでやめる方向に舵を切れたのはあるので、料理家はもちろん自分で決めていますけど、自分が今までやってきたこととやりたいことをいろいろ考えると、ベストの選択かなというのは自分では何となく思っていても、決めきれないから種まきみたいのはずっとしていて、いろんな人の顔を見ながら、意外とウジウジしていたかもです。

人よりもひとまわりもふたまわりも人生経験が早いので、ちょっと不安もある中で決断をして、すごいなと。

長谷川
楫さんもご結婚は早いですよね。

そうですよね。23〜24歳になるぐらいで婚約して、結婚しました。

長谷川
結婚した頃は、まだ独立前ですよね。私も料理家になるとか、大学に行くとか夫に、いいじゃんみたいな感じで後押しというか、背中を押してもらっていたので、パートナーの存在はありがたいですよね。

何か大きいことを決めるときに背中を押してくれる、それが励みになって、いろんな決断を今に至るまでしてきましたね。

長谷川
パートナーでも親御さんでも友達でもいいけど、きっと背中を押す存在がいてはじめて、自分がやりたいことに進んでみようかなと思えることもありますよね。

本当にそう思います。


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ユーザーの声をしっかり聞く



長谷川さんは本当にちゃんとしている人だなと感じるんですよ。人間どこかちょっと抜けたりするところはあるじゃないですか。でも長谷川さんは礼儀とか、人間力がすごく備わっている人だなと思って、それは子役時代から培われたものなのかなって。

長谷川
いやいや。多分、楫さんもそうだと思うけど、すごく好きなことをやっていると見られるじゃないですか。私の場合は、もちろん好きなことやっていてすごくありがたいし、楽しいし、とても幸せですけど、好きなことというよりは、自分が貢献できることをやりたいのが一番にあるので、自分がもし、すごくキラキラ輝いて、たとえば、モデルさんになれるんだったらなりたいけど、別にできない。子役のときも、例えば「天才てれびくん」のかわいい看板娘として、主役みたいな感じでいたかったけど、他に適任者がいるから、自分は喋って、リアクションして、面白く目立った方が得だし、見ている人にとってもその方がいいだろうしとか、人からの見え方を考えていました。

まだ11歳でそんなことを考えていたんですか?

長谷川
結構気にしていましたね。だから求められることをやって結果を出す方が私は割と向いているなと思うので、だからお料理も自分が作りたい料理ももちろんあるけど、どっちかと言うと、こういう料理があったらいいのにとか、お困りごとに対して何か打ち返すことで、結果を出す方が自分的には向いていると思うので、好きな料理をアーティスティックにすごく研究して作り出すタイプではなくて、明確にお困りごとを持っている方がいて、そこに対して、提案をして結果を出すタイプです。

そうですよね。私もそれはすごく感じていて、世の中に求められるような服作りをしたいのはあって、こういう服が欲しい、スタイルアップさせて欲しい、そういういろんなリクエストをかき集めて、洋服を作っているので、自分が求められている仕事をしているという考えがあります。

長谷川
すごくキラキラして、好きなことをやっていて、好きなものを作っていると見ていただけける職業ではあると思うんですけど、意外とそうではない部分がすごく大事だったりする気はしますよね。

そうですね。本当に私も好きな服を作って、写真を撮ってアップしてと思われているかもしれないですけど、洋服を商品としてお客さんに届けることは、すごく大変なことで、洋服を作るだけではなくて、カスタマーサポートや返品対応だったり、品質管理だったり、本当に忙しくて大変な時期もあるんですけれども、私はお金をもらっている限り、ベストの状態でお客さんに最高の1着を届けることを目標にしています。

長谷川
そうですね、お互い想像以上に地味な仕事ですよね。

そうですね。


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*長谷川さんの新刊、「材料2つとすこしの調味料で一生モノのシンプルレシピ」は、飛鳥新社より発売中です。


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