近年のファッション観

藤原ヒロシ(音楽プロデューサー)×庄司夏子(シェフ)

2020

08.14

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ファッションも料理も自分勝手でいい!



藤原
僕はもっとファッションは売れなくなったらいいなと思うんですよね。ユニクロみたいなものがすごい売れてくれた方がファッションはもっと無駄な、変なものになっていけるというか、元に戻る感じがあるかなと思うんですけど。今は、やっぱり売れるようにというか、マスマーケットに向けてすごい意識してやってるから全然そうじゃない対極なものでいいんじゃないかなと思うんですね。だからスーパーのプレート食品にも魅力的なものがあり、なっちゃんが作る綺麗なデザートにも魅力的なものがあり、両方の魅力があるから。なっちゃんのものは別に個人的な意見ですけど全員に喜んでもらえるものでなくても、すごい限られた人にだけ150%、200%に喜んでもらえるものであればいいかな思って、ファッションは、そういうものかなと思うんですよね。一般の人が“何それ変な服”って思うものでも、その人だったりその人の周りだったりとかにはすごい貴重なものだったりとか。

庄司
私も同じ意見ですね。私は、お洋服がすごい好きで夜中の Instagram とかで配信される色んなブランドのプレタポルタとか見てインスピレーションを受けているんですけど、攻めてるものがなくなってきてて、唯一無二の洋服がすごい好きだったんですけど、最近はいろんな世代や体型でも着れてしまう服が多いんじゃないかなと思ってたりとか、ファッションの本物って何だったっけな…。

藤原
もっと自分勝手なものでいいと思います。料理も自分勝手でいいと思います。美味しいのは重要かもしれないけど。


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女性シェフとしての思い



庄司さんは、今年、「レストラン界のアカデミー賞」ともいわれる「世界のベストレストラン50」のアジア版で、最高峰のパティシエを決める、「アジアのベストペストリーシェフ賞」を受賞されました。この快挙は、日本人女性としては、初めての快挙です。

藤原
日本では女性シェフが少ないのは実際そうなんですか?

庄司
実際そうだと思いますね。

藤原
一般的には女性のほうが家庭で料理をすることが多かったから、女性シェフが業界にいるのは、当たり前なんじゃないかなと思うんだけどどうなんですかね。

庄司
お母さんになられる女性が、今、日本で言うとすぐに結婚して、家庭を築いて、お母さんになりなさいよっていうようなのが結構あるじゃないですか。もちろん世界のお母さんたちがやってる事は、シェフのやってることと変わらないんですけど、でもそれが家族のためになってしまってるから、それを一歩飛び越えて超越してたくさんの人のためのシェフになるっていうのが…。

藤原
主婦としての仕事を置いてでも、もっと料理を勉強しないと本当のシェフと呼ばれるものにはなれない。

庄司
そうですね。すごい難しくて、私がもし実はもう結婚もして、2児の母で、でもこれだけバリバリやって、「アジアベストペストリー賞」もいただけましたって言うんだったら、世間から100点満点なのかもしれないんですけど、正直、私の脳みそは常に100%をお店が上に行くため、お客様に新しい幸せを提供するためでいたくて。だから仕事以外に脳みそはあんまり使わないようにしちゃってて、もしお子さんとか家族の悩みがあったら、その100%の脳みそを数%でもそれに削がれちゃうじゃないですか。そういうのが本当に今の自分でちょっと考えられなくて。

藤原
確かに今話してて僕、思ったんですけど、他人の家庭料理が苦手なんだった。シェフとかお店というハードルを越えたら、何でもおいしく食べるんですよ。だからスーパーのおにぎりの方が友達のお母さんが作るおにぎりよりおいしい。友達がシェフとか全然何にも関係なくて家庭料理とか私、料理得意なんですっていう人が持ってきたお弁当は正直、食べたくないです。それだったらコンビニのが食べやすいし、お店をちゃんと経営してるところのものだったらさっと食べれるんですけどね。

庄司
シェフと自信を持って名乗るには、やっぱりそれなりに勉強も必要だし、お店をやるような資格も取らないといけない、いろんな安心感が含まれてると思います。


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