11月になりました。
毎年、11月第3週日曜日は、
イギリスから生まれた「世界道路交通被害者の日」。





交通事故の被害者を追悼し「故被害者を無くす」ことを誓いますが、       
日本は交通事故について「被害者を減らそう」という意識が強いのかもしれません。
この分野の先進国は被害者ゼロを目指しています。
その最たるものが「ビジョン・ゼロ」を追跡します。





いま、日本では1年間に何人ぐらいの方が、
交通事故で尊い命を失っているか? 

去年2017年は3,694人。
1948年に集計が始まってから過去最小の数字です。

これまでの記録は、まだ自動車が少なかった終戦から4年、
データ集計が始まって2年目の1949年(昭和24年)。

当時の全国の自動車保有台数は、およそ30万台。
現在の8,100台と比較すると、わずか0.4%でした。

「過去最小」ということは評価できるかもしれません。
ただ、年間に3,694人が、亡くなっているという事実を考えると
「過去最小だから良かった」ということにはなりません。

日本も交通事故に関する先進国を見習い
強く「ゼロ」にすることを目指していくべきです。

ビジョン・ゼロ運動が生まれたのはスウェーデン。
21年前の1997年に国の議会で決定されました。
国内の交通システムによって死亡する、
重傷事故に遇うことをゼロにする長期プロジェクトです。





プロジェクトの責任があるのは、さまざまな立場の人たち。
国会・地方議会・行政・警察・自動車メーカー・
輸送が必要な企業および輸送企業・道路関連団体と道路を使うすべての人。
国の政策として、全方位的に意識を高めようとしました。





このプロジェクトについては、日本の道路関係者が、
「私達は起こった事故を調査して次の道路建設に生かす手法を取っています。
しかし、ゼロビジョンはまったく違います。まず事故は起こるものと考え、
それが起こる背景を徹底的に分析し、起こらないよう初めから予防策を施すものです。
医療でいえば、治療よりまず予防という逆の発想です。』と説明しています。

<ビジョン・ゼロの具体的な施策>

■ 道路の真ん中に中央分離帯を設ける

■  衝突すると危険な場所には、ガードレールを設ける
 (始点と終点は衝突をやわらげる木製)

■ 住宅街の制限速度30km

■  電線は地中に埋め、電柱はなし
  電柱が地上にないことは、車の衝突を防ぐばかりでなく
  自転車や歩行者の視野を妨げないことにもつながっている

■ 自転車のヘルメットの着用義務

■ 冬はスタッドレスタイヤ装着義務

■  居眠り防止や減速をうながす路面突起

■ 広い歩道やサイクリング専用道路

■ ドライバーが認識しやすい場所・タイミングに設置されているロードサインなどの工夫
         
■ 昼間のヘッドライト点灯の義務

   
などです。





ビジョン・ゼロ運動を始めてスウェーデンの交通事故被害者は減少しました。
1990年代は交通事故死亡者は年間800~900人だったのが
 

    2000年 591人 
        ↓
    2004年 480人 
       ↓
    2015年 259人 



まだ「ゼロ」を実現できてはいませんが、
こうした効果を受けて、ヨーロッパ各国で、
ビジョン・ゼロを取り入れるようになりました。

スウェーデンと日本の比較を見てみると、
2015年の人口10万人あたりの交通事故死者数は、
日本が3.8人であるのに対してスウェーデンは2.8人です。

今、アメリカ ニューヨーク市でも、
交通事故で亡くなる歩行者の数が減っています。

去年2017年は101人。
記録を取り始めた1910年以来、過去最小の数字でした。
これはデブラシオ市長が掲げた「ビジョン・ゼロ」の効果だとみられています。

就任した2013年の死亡者184人から4年で83人も減りました。
NY市は速度上限を時速25マイル(およそ40キロメートル)にするなど
歩行者を守るための交通システムの改善に着手しています。

日本もビジョン・ゼロを打ち出し、
その概念を共有したほうが交通事故撲滅に一歩でも近くはずです。
プロのドライバーでも
疲れていたり、イライラしていたり、急いでいたり、
危険な状況で運転していることもあるでしょう。
       
そんな運転手の気持ちを落ち着かせ、
優しい気持ちでハンドルを握るようになる取り組みが注目を集めています。
「こどもミュージアムプロジェクト」といいます。





これは4年前に大阪府高槻市にある運送会社
株式会社 宮田運輸がスタートしたアクション。

「こどもミュージアムプロジェクト」はもともと、
子供たちが描いた絵をトラックにラッピング。
見る人に交通安全を感じてもらい、
トラック運転手は安全運転の意識を強く持つという施策です。

実は宮田運輸は5年前に死亡事故を発生させてしまいました。
物流の仕事は人々に何かを届ける仕事。
それは本来、大きな喜びを伴って、迎えられていいものです。
その一方で子どもにとって大きなトラックは怖い存在でしょうし、
交通事故を起こしてしまっては、本来の仕事の意義が完全に失われます。

悔恨と反省と改革の気持ちでスタートしたのが、
「こどもミュージアムプロジェクト」でした。
この取り組みは、初めて間もない頃から共感を呼びます。

参加をさせてほしいという声が外部からあり
今では参画企業がトラック以外にもデイサービスの送迎車や
営業車両など70社を超えているのです。

ラッピングする絵やメッセージの募り方は参画企業によってさまざま。
宮田運輸の場合は、主にドライバー自身のお子さんや親戚の子が描いたもの。
中には近隣の小学校とコラボレーションして絵とメッセージを描いてもらい、
完成した時にお披露目式することもあるそうです。











「こどもミュージアムプロジェクト」協会の後藤昌代さんによると
この取り組みがスタートして大きな変化が感じられたといいます。
子どもの絵とメッセージが周囲とドライバーを優しくしたようです。

運転中に思いやりの心を持っていれば
乱暴な運転、危険な運転、自分勝手な運転はしないもの。
そして、まともな大人なら、子どもたちが願って描いた
絵やメッセージに何か感じないはずはありません。

「こどもミュージアムプロジェクト」。
素晴らしい取り組みです。もっと全国に広がるといいですね!





こどもミュージアムプロジェクト 公式サイト
http://www.kodomo-museum.jp/
日々、進歩しているクルマの安全性能。
その1つが「衝突被害軽減ブレーキ」です。
今回は交通コメンテーター 西村直人さんにお話を伺いました。

車には周囲の状況を見るセンサーがついています。
そのセンサーが衝突の危険を感知すると警報ブザーやディスプレイ表示で
まずドライバーに対してブレーキを踏んで下さいというメッセージを伝えます。





しかし、何らかの理由でドライバーが反応できない場合、
いよいよ衝突が避けられない瞬間になると自動的にブレーキがかかります。
これが大きく言って「衝突被害軽減ブレーキ」です。

「衝突被害軽減ブレーキ」が市販車に初めて搭載されたのは15年前
今では世界の自動車メーカーが搭載する流れになっています。    
ただ、『メーカー』や『車種』によって危険を検知する「対象」や「性能」が異なる。
それがわかりにくいところ。

まずは危険を検知するセンサーの違い。
西村さんによると、初期の衝突被害軽減ブレーキは、
わりとと低価格帯の赤外線レーザーを使っていました。
今では赤外線レーザーとカメラセンサーを組み合わせることで
精度の高い性能を持つ車も出てきています。





現在、衝突被害軽減ブレーキのセンサーは大きく3種類あります。


<赤外線レーザー方式
> 
コメントにあった低コストで広く普及したもの。
探知距離は数メートルから数十メートル程度。
ただ、太陽の直射光線に影響される可能性があります。     
  
  
<カメラ方式>
 
これもコメントにありました。
歩行者や車線、道路標識までも識別できます。
ただ、逆光や悪天候になる場合、
性能を十分に発揮できない可能性があります。


<ミリ波レーダー方式
>
ミリ波帯の電波を用いるシステム。
探知距離が長く、天候の影響をあまり受けません。
ただ、歩行者や自転車の検知には不向きです。


それぞれ一長一短あって、
これらの組み合わせで特徴を生みだしているのです。
そして、国内メーカーのクルマに搭載される「衝突被害軽減ブレーキ」は、
このところ新しい流れが生まれているようです。





西村さんによると、以前は車両価格が高いほど
センサーの数が多く、精度も高いものでした。
それが、今ではそうとも言えなくなってきているといいます。
日本では乗用車に衝突被害軽減ブレーキが導入されている率は新車だと47%ほど。

普及の拡大によって、低価格化されてきて。
これまで高い車にしか付いていなかったセンサーのいくつかが、
中級価格帯、低価格帯の車にまで採用が及んでいます。
下から上のクラスまで安定した衝突被害軽減ブレーキの性能が、
ここ数年は見込めるのだそうです。

どんな車にどんなセンサーがついているのかを知るには
車種カタログにセンサーの種類と対応できる
自動ブレーキのシステム内容が書いてあります。
まずは、それを参考、判断材料としてください。





「衝突被害軽減ブレーキ」の評価ポイントは

【作動対象】→ 最初は車だけ 最近は人や自転車も対象になっています
  
【作動速度】→ 自分の車がどのくらいの時速で作動するか?
 
【夜間対応】→ 夜にも作動するか?


「衝突被害軽減ブレーキ」を考える時は、クルマの利用の仕方と、
こうした情報を擦り合わせて選択を考えるといいでしょう。

ただし、この機能は安全を100%担保してくれるわけではありません。
安全を『アシスト』してくれるためのものです。
運転するのはあくまで人間。
その点、認識を間違えないようにしましょう。


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