今週も、
この時期注意が必要な水害の「避難」について考えます。

あなたは、広域避難という言葉をご存じですか?
浸水してしまう前に、公共交通機関を使って、
被害が少ないとされる地域や遠方の家族の所などに
避難しましょう!という避難方法です。

低い土地が広がる東京の東部エリア、
江戸川区、足立区、江東区、葛飾区、墨田区の5区では、
洪水や高潮によって川が氾濫すると、
ほとんどの地域が浸水するといわれていて、
人口の9割以上にあたるおよそ250万人が、
浸水の被害に遭うと想定されています。

長いところでは、浸水が2週間以上も続き、
最大で深さ10メートル以上になる恐れがあるんです。

こうした状況の中、避難所の不足が問題となっています。
水害に詳しい、リバーフロント研究所の土屋信行さんは、
江戸川区を例に挙げ、「広域避難」が必要だと話します。

土屋さん
江戸川区は小中学校合わせて106校あります。
このうち1階が水没する学校がなんと80校あります。
残りの学校だけではとても避難所が足りません。
区民全体で68万人の住民がいますが、
逃げられる安全なドライフロア、
水没しない床面が37万人分しかないんです。

ですから、
あらかじめ広域避難を事前にしてくださいっていう
それが江戸川区のハザードマップの意味で、
「ここにいてはだめです」っていう
ちょっとおどかすような文言になりました。

江戸川区のハザードマップは、
「ここにいてはだめです」
という言葉が話題となって
ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
このハザードマップは、
去年5月に江戸川区の全世帯に配布されていて、
実際に去年の台風19号の時
江戸川区が都内で避難した人が最も多かった
という事です。

ただ、
そうなると避難所が足りなくなる恐れが出てきますよね。
広域避難が一つの解決策ですが課題もあります。

去年10月に首都圏を直撃した台風19号。
広域避難の指示をするかしないか判断するタイミングでは、
判断材料となる気象データなどが明確になりませんでした。
また、
鉄道各社が計画運休を発表し、
公共交通機関を使った避難が不可能になってしまったのです。

課題が多く、現在、5区が協議会を発足して、
広域避難の方法について協議を進めています。

課題の1つとして、
江東区の防災課長、松村浩士さんは
避難してきた人を受け入れる避難先側の反応について
こう話してくださいました。

松村さん
東京都のほうが調整をはかっている部分もありますが、
現在のコロナの状況において、
他県をまたぐような移動は受け入れ側からすれば、
「なるべく来てほしくない」と
思うようなことがあるっていうのも、
実際の感情としてはあるんじゃないのかなと思っています。

新型コロナウイルスの終息が見通せない中、
他県をまたいで避難して良いのか?
悩むとこですね。

また、
広域避難の方針が一刻も早く示される事を願いますが、
まだ具体的な方法が示されていないのが現状です。
今、災害が起きたらどう避難をするべきか。
しっかり考えておく事が大切ですね。





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