来週の4月14日(水)で熊本地震から5年となります。
熊本地震の大きな特徴は観測史上初めて“震度7の地震”が2度観測された事です。
よくある、
「本震と余震」ではなく、1度目が「前震」2度目が「本震」とされました。
その後も、余震が多かった事も特徴的でしたよね。

東京大学地震研究所 
古村孝志教授は、熊本地震についてこう振り返ります。

古村教授:
大きな地震が起きて、
その後、更に大きな地震が起こる事は非常にまれな現象なんですが
何度かあるんですね。
熊本地震の後に、国の地震調査委委員会が過去に起きた内陸地震を調べた所、
1週間以内により大きな地震が、熊本地震のような地震が起きた例というのは、
十数回に1回、そんなに多くないのですが、たまにあるんですね。
大きな地震が起きると、
影響を受けて、まわりで、新しい別の地震が起きるという事があります。
まさに熊本地震もそうなんですが、そういう場合もあるんですね。
具体的には、1週間、特に2.3日は警戒を続けてください。そういう注意喚起を続ける様になってきたんですね。

熊本地震では、
4 月14 日から 4 月16日までに、
震度1以上を観測する地震が1,909回 発生しています。
そうした中で、「家の中にいるのが怖い」と車で寝泊まりする被災者が相次ぎました。
熊本県が実施した被災者アンケートによると
「自宅被害やインフラ被害がなかった被災者」のうち、
約6割が「自動車の中」に最も長く避難したとのデータがあります。

基本は避難所を利用し、1日もしくは数日だけ車中泊を行った避難者も含まれますが、
多くの避難者が避難手段として車を利用していました。

一方で、車中泊による避難者の把握ができなかったり、エコノミー症候群による
死亡事例などが問題となりました。今は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、
被災生活の手段の一つとして考えられている車中泊。
古村教授はこう話します。

古村教授:
より自分にとって、生活しやすい、安全な空間選択肢の1つとして、
車の中っていうのは十分考えられるんですね。
熊本地震でも新潟県中越地震でも、いろんな地震でも
体育館ではなく、校庭に車を停めて生活するっていうのは、多いんですね。
もちろん
その時は、寒いからエンジンをかけていると排ガスが入ってこないかとか、
車の中で足をのばせない。ちじこまった状態でいると血栓が溜まったり
、エコノミー症候群になったりする可能性がありますので、十分注意する必要はありますね。

この、
エコノミークラス症候群を防ぐ為には、水分摂取と適度な運動が大切です。
また、トイレに行かなくて済むように水分補給を控えるのは危険です。妊婦さんや高齢者
生活習慣病の方は特に注意が必要になります。
車での生活は選択肢の1つになると話した上で、
古村教授は、耐震性能がしっかりしている家であれば、在宅避難が基本であると話します。

現時点で、
国をはじめとして、車中泊を推奨している自治体はほとんどありません。

なぜなら、
被災時もできる限り自宅で、普段どおりの生活をする方が、心身に負担がかかりにくいからです。
新型コロナ感染拡大の状況下では様々な避難方法を考えるべきですが、
まずは、自分の家が防災対策をしっかり見直していきましょう。


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