東京など首都圏を襲う「首都直下地震」
東京都は、首都直下地震の被害想定を10年ぶりに見直しました。

先週の防災FRONTLINEでも、お伝えしましたが、
今回の想定では、生活に及ぼす影響やライフラインなどへの被害が
地震のあとにどのように変化するのか、1か月以上にわたって時系列
で具体的に示した、「災害シナリオ」が新たに盛り込まれました。

今朝は、
災害シナリオで想定された“避難生活”の内容についてお伝えしていきます。
避難生活で想定されるシナリオは、「避難所に避難した時」と
「在宅避難を続けた時」と分けて検討されました。

まず、避難所に避難するケースでは、
地震発生直後は多くの人の避難が見込まれますが、
停電や通信の断絶によって
行政側による避難者の数の把握や安否確認のほか、
避難所で必要な物資を把握する事が難しくなる可能性があると言います。

例えば、臨時に解説された避難所などは、
行政に把握されないまま食料や救援物資などが
とどかない事態が生じる可能性が指摘されています。

地震発生から3日後以降、自宅で避難していた人の備蓄がなくなり、
避難所に避難してくるケースが増える可能性もあります。
また、このころには、避難所に非常用の発電機があったとしても、
燃料がなくなり使用できなくなったり、テレビやスマートフォンによる
情報収集や、照明、空調などの利用が難しくなる恐れがあるという事です。


1週間後ごろからは、
計画停電の実施が及ぼす影響も考えなくてはなりません。
携帯電話の基地局の停電でさらに通信障害が発生したり、
空調が使用できない事態が想定されます。

自宅に大きな被害がなく、周囲に火災などの危険性もなく、
備蓄がある程度確保できている時などは在宅避難も想定されます。

ただ、マンションなどの中高層階に住む人は地震の発生直後から
エレベーターの停止により、地上との往復が難しくなるおそれがあります。
中には、水道の供給が続いていても配水管などが崩れ、
修理が完了するまでトイレが利用できなくなる事態も予想されます。

徐々に停電が解消されたとしてもエレベーターは
点検作業が完了するまで使用できないおそれがあります。
東京都によりますと都内にある高さ45メートルを超える
高層建築物は前回の被害想定の公表以降、
この10年でおよそ1.4倍になっています。

また共同住宅の6階以上に住んでいる世帯も3割以上
増加したという事で、高層階に住む人たちに
対し在宅避難への備えを呼び掛ける事が重要です。

在宅避難は、避難所で避難生活を送るより
ストレスがないと言われていますが、お伝えしたような状況が
想定されます。マンションの住民同士で、
首都直下地震が発生した時の事について、
話し合い“共助”の意識を高める事も大切です。


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