オペラとダンスがクロスするいまだかつてないオペラ

井上道義さん(指揮者)×森山開次さん(ダンサー、振付家)

2018

12.28

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指揮者として、ニュージーランド国立交響楽団首席客演指揮者や新日本フィルハーモニー交響楽団音楽監督など国内外で活躍されている井上さん。そして、ダンスのみならず、演劇・映画など幅広い分野での身体表現に果敢に挑戦している森山さん。世代もジャンルも違うおふたりですが、この度、タッグを組み、新たなオペラ「ドン・ジョヴァンニ」に挑むことになりました。

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きっかけは、「ドン・ジョバンニ」



井上
こんにちは、森山さん。

森山
こんにちは、井上さん。

井上
今日は何をしていたんですか?

森山
オペラの音楽を聴いておりました(笑)。

井上
森山さんがオペラの音楽と関わるようになったのは最近のこと?

森山
最近です。自分はダンスをベースにしているので、オペラをがっつりというのは本当に初めてに近いと言いますか。でも、最初に舞台の世界に入った時、ドンジョバンニ役がスタートだったんです。

井上
踊ったのですか?しゃべったのですか?歌ったのですか?

森山
踊りました。

井上
年はいくつでした?

森山
21歳です。

井上
森山さんはダンスの世界に入ったのが遅かったでしょ?

森山
そうですね。21歳からです。

井上
普通はそんなのありえないよ。「もう遅い、諦めさない」と先生に言われますよ。

森山
本当に飛び降りるつもりで舞台に飛び込んだので、21歳からタイツを履いて頑張りました。


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大役をオファーした理由


2015年にモーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」を手がけ、その斬新さでセンセーショナルを巻き起こした井上さん。それに続く第2弾が、この「ドン・ジョヴァンニ」です。井上さんは、オペラの演出は未経験という森山さんに演出をオファーしました。ふたりの交流は、井上さんが、オーケストラ・アンサンブル金沢の音楽監督の就任中、石川県立音楽堂で出会ったのがきっかけです。

井上
最初に会った時、金髪で長い髪で、怪しいなと思ったんだけど、ちょっと話すと今ラジオを聞いてる人は真面目なイメージを感じられると思うけど、すごいぶっ飛んでいるんです。考えてみたら俺もそうなのかなと。

森山
そうです(笑)。

井上
森山さんに「ドン・ジョバンニ」のプロジェクトの演出をお願いするに至ったのにはちょっと歴史があって、2015年に野田秀樹さんと「フィガロの結婚」をやったんだけど、「ドン・ジョヴァンニ」は、野田さんではないほうがいいと僕は思っていて、それで色々考えて、金沢で森山さんのダンスも見たし、子供に対する教え方の忍耐強さ、非常に論理的なんだけど子供に優しく厳しく、興味を抱かせる。それがまた一歩通行ではなくてお客さんが喜ぶ、そのやり方に僕は感動して、この人は将来的には僕がくたばった後でも、僕がやりたかったことをやる人じゃないかなと思って、生きている間にお願いしたんですよ。

森山
本当に嬉しかったですね。石川県立音楽堂で芸術監督音楽監督をされている時に出会って、僕もあの邦楽ホールの方でいろんな作品を作らせていただいた中で、井上さんと初めて出会って、音楽ホールでのクリエーションの途中によく顔を出してアドバイスを頂いたりして、いつか仕事がしたいなと思っていたところだったので、今回のオペラの話は本当に興奮して最初はどうしようという感じでしたね。



モーツァルト 歌劇『ドン・ジョヴァンニ』全幕 東京公演は、東京芸術劇場コンサートホールで2019年1月26日(土)と 27日(日)に上演されます。

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