小説家デビュー秘話

水野良樹(いきものがかり)×狩野英孝(お笑い芸人)

2022

08.26

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別名にした理由



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水野さんは、この度、“清志まれ”名義で小説家デビューを果たし文藝春秋から『幸せのままで、死んでくれ』という作品を発表しました。

狩野
名前変えて、清志まれで作家デビュー! 名前を変えたのは、意味があるのですか?

水野
5、6年前、編集者さんに「小説を書いてみないですか」と言われて、冗談だと思って、タレント本みたいな感じかなと思って、意地悪ですけど、名前を変えていいんだったら出します、書きますみたいなことを言ったら「いいですよ」と言われたから、この人、本気だと思って。

狩野
清志まれというのは、最初は、ファンに公表しなかったのですか?

水野
公表しないでいこうかと思っていたんです。でも、結果的にちゃんと名前を言って、出したんですけど、いきものがかりで知ってくださっている方とは別の物として読んでいただいた方がいいかなと思って。でも今考えると、別人格を立ち上げる方が、やっぱり書きやすくて、別に僕自身は有名ではないけど「いきものがかり」は、皆さん知っていただいたりするんで、水野良樹という本名の方が何かキャラクターっぽくなってきているから、そこより違う存在を作った方がフラットに書けるというのはあります。

狩野
作詞もされているし、詩もおしゃれなフレーズも出てくるし、書けるだろうな、何で書かないんだろうと、その編集者さんの気持ちはわかりますよ。

水野
すごいびっくりで、でもいろいろ時間がかかり、5年ぐらいで出したんですけど、やってみて良かったなと思う。

狩野
楽しかったですか?

水野
楽しかった。小説は書かれないですか?

狩野
1回、舞台の脚本もやりましたけど、小説なんてもう…。

水野
脚本はどうでした? ご自身のネタとも全然違うじゃないですか?

狩野
僕は苦しかったです。だから水野さんは、物作りの方ですね。

水野
僕は楽しかった。

狩野
マジですか? 例えば休みの日は、朝起きてすぐぱっとパソコンの前に座れますか?

水野
僕は意外とね、座れる。

狩野
マジっすか!

水野
本当一日中やっていられるの。喫茶店に行くのが好きで、チェーン店の喫茶店をまわるんですよ。1時間ぐらい原稿を書いて、1日9件ぐらいまわる。だから同じ喫茶店に2回、3回行くので、店員さんわかっているから、「朝も来ましたよね」とかも言わない。

狩野
気分転換で変えるんですか?

水野
そうですね、ちょっとざわめいていた方が、集中しやすいんですよ。0から1で、物語の最初のところを書く時や超集中しないといけない時は無音がいいんですけど、書き続けている時と工夫しなきゃいけないようなフェーズに入った時は、周りが関係のないざわめきがあるぐらいがちょうどよくて。

狩野
やっぱり物を作る人は、そういう人でないとできないでしょうね。


ゲームで世界と繋がる



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狩野
水野さんは、お休みの日や時間がある時は何をされているんですか?

水野
家に作業場があるのでずっと曲を作っていますね。

狩野
作った曲が日の目を浴びないこともあったりするのですか?

水野
それはもちろん。常ですね。趣味があまりないんですが、趣味はあります? 週末に遊ぶとか?

狩野
僕昔から休みになるとずっとゲームをしていますね。オンラインはすごい好きで、マッチングして、たまにボイスチャットでドバイの方、ニューヨークの方など世界中でマッチングしています。

水野
繋がれることが楽しいんですか?

狩野
楽しいですね。

水野
ドバイの方とは、何語で喋るんですか?

狩野
英語でした。片言で「ヘルプミー」と言うと、向こうも助けに来てくれたり。

水野
性格上、人と一緒に楽しむのがないんですよ。

狩野
僕は、締め切りが与えられないと作れなくて、休みの日にネタでも作ってみるかというのは一切ないので。

水野
同じです。一番の誘引剤は締め切りです。最近、恥ずかしいですけど、ピアノを練習しています。僕、演奏は、どれも駄目で一応ライブでは、ギターですけど、小さい頃からピアノをやっていて、もう1回ちゃんとやりたいなと思って。

狩野
ピアノを使って曲を作ったらまた違うんですね。

水野
自分の演奏力に従って曲も広がっていくんで、効果はあると思うんですけど。

狩野
休みの日とか空いた時間も全部何かしら仕事に繋がっていますね。


*水野さんが清志まれ名義で執筆された初の小説「幸せのままで、死んでくれ」は、文藝春秋より発売中です。

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