「ひとり旅」のすすめ

山脇りこ(料理家・文筆家)×わたなべぽん(漫画家)

2023

10.20

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一人旅の心構えや極意



山脇さんは、テレビや雑誌など様々なメディアで、つくりやすく親しみやすいレシピを発信されるだけでなく、初の旅エッセイ「50歳からのごきげんひとり旅」も出版されました。

わたなべ
この「50歳からのご機嫌一人旅」を読ませていただいて、ありがたいなと思ったのがお1人様用の飲食店のリストが随所にあったところです。

山脇
私は、食べるのが大好きで、市場だった1人で行けるし、地方のスーパーとかデパ地下も女性が1人で最も浮かない場所で、行きやすいんですけど、ご飯となると本当にいろいろと考えてしまって。だから、あれは、私の数少ない1人で入れた経験から書いているんです。

わたなべ
私、スマホにメモしました。

山脇
カウンターがマストです。カウンターがあると1人でも入れるといつも思っていて、テーブルだと私が1人で入ることで、お店としては1席分、損する、3とか1はお店にとって、嬉しくないだろうなと思っていて、今回、本でご紹介しているのはほとんどカウンターがあるところです。

わたなべ
素晴らしいと思います。そして、私がすごくいいなと思ったのが、朝ラン!私、旅行先に行くとちょっと早起きをして散歩をすることがあるんですけど、ランか!と思って。

山脇
散歩と同じですけど、私はせっかちで、走ると散歩の倍の場所を見られる、ちょっと下見感覚で今夜行ってみようと思っているレストランやワインバーを朝行ってみるといろいろ見えたりするんですよね。ゴミの出し方はこんな感じかなとか、すごく、いいな、夜に来てみようと思うこともあるし、朝こそわかったりすることもあるし、あと出勤や通学をしている人たちは住んでいる人だから、彼らのいる朝の時間にお邪魔させてもらうみたいな感じ。1人旅だとリゾートより県庁所在地に行くことが多くて、公共の交通機関でまわれるところに行くことにしているんです。

わたなべ
頭の中に地理が入りやすいのもあるかもしれないですね。

山脇
走ったり、散歩したりすると暮らしているような気分になる。あと1人だと夜ふかしをしないので早めに寝て、朝早く起きて何か楽しむことができます。

わたなべ
店が流行ってくる直前にさっと行って、常連のおじさんたちが入ってくる前に出るみたいな感じで飲む。

山脇
それもありますね。

わたなべ
やってみたいなと思いました。


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旅先への先乗り!



山脇
1人旅は、大学時代もちょっとやっていたんですけど、元々バックパッカーでもないし、1人が大好きでもないんですけど、久しぶりに50代になるぐらいの時に、みんなで行った旅行で、ひとりでホテル戻ることになったときに「ひとりで大丈夫?」と聞かれて、そんな人間になってしまったよと思って。できれば1人旅できる人間でありたいなと再開したんです。初めて行ったのは京都で、長崎の実家に帰った後に、京都に寄ったんです。京都には、何度も行っているのに1人で行くのが初めてだったんですよ。京都、日本ですよ、言葉も通じるのに、晩御飯を食べるときに、お店に入れなかったんですよ。すごく緊張して、アドレナリンが出て、お店の周りをぐるぐるしたけど、結局入れなくて。仕方ないので、朝5時ぐらいに起きて清水寺まで走ったら、激混みの清水の舞台に誰もいなくて、なんて気持ちいいんだろうと思って、これは1人の醍醐味かもしれないと思いました。結局、その旅は、ご飯も食べられず自分がいつも行く京都のお土産屋に行って、帰ってきただけだったんですけど、いつも行っているところも1人だと全然違っていて、結局、私と2人旅しているというか。

わたなべ
なるほど自問自答しながら自分の声を聞きながらですね。

山脇
この前も大阪中之島美術館に行ったらすごく楽しくて、5時間程いたんですけど。もし友達といたら

わたなべ
気遣っちゃいますもんね。

山脇
5時間位でもめちゃくちゃ楽しくて。

わたなべ
自分本位で気まま。

山脇
この本の中でも特急「ひだ」に乗るというのがあるんですけど、多分友達と乗っていたら酒盛りして終わりですが、1人だと景色を見ていろんなことを考えて、「プロジェクトX」のタイトル曲が流れてきたりして、1人もいいものです。あと先乗りがおすすめです。例えば、夫と行く前に私だけ先に2日行っているとか一番好きな必勝パターンの一人旅です。そうすると私だけ1人で遊びに行っている感が激減して、帰りは一緒なので、まるであなたのためにいい店を探してきましたみたいな感じ。

わたなべ
今回、与論島への一人旅、夫の社員旅行が沖縄だったので、最終日の夜は、合流して一緒にご飯を食べました。

山脇
それ最高ですよね。

わたなべ
変な感じでした。旅先で友達に会うみたいな、懐かしい感じがすると思って。

山脇
新鮮ですよね。

わたなべ
面白かったです。

山脇
私が最高に緊張してビビリまくった旅行がパリだったんですけど、それも結局4泊だけ私は先に行っていて、5泊目に夫が来ました。

わたなべ
それは、ほっとしますね。


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