2019年12月16日

大熊町の放牧農地「もーもーガーデン」?

今なお町内の大部分が避難指示区域となっている福島県大熊町。この地で放牧農地「もーもーガーデン」を運営する、「ふるさとと心を守る友の会」代表、谷咲月さんの取り組みを3日間に渡ってお伝えします。



一部で避難指示が解除となったものの、帰還する住民の大部分が高齢者という大熊町にあって、谷さんはとびきり若い30代の女性です。震災前は東京で会社勤めをしていましたが、震災による原発事故の影響で大熊町の畜産農家が牛を置いて避難せざるを得なくなった状況を知り、牛を世話するボランティアとして大熊町へ向かったという方です。

現在、11頭の牛たち(谷さんいわく“もーもーイレブン”)が草を食む、避難指示区域内の「もーもーガーデン」で、先ずはこの放牧農地について伺いました。


◆「泣いている農家と牛飼いの力になりたい」

「うちでは牛の草刈り力、つまり草を食べるっぷりを生かして、農地を保全する活動をさせて頂いています。震災後に皆が強制避難で、明日帰れるかもみたいな感じで着の身着のままで避難をせざる得なかった中で家畜を置いてかざるを得なかったんですよね。で、ほとんどは牛舎の中で餓死したんですけど、牛舎が崩れて逃げた牛たちがいて、その牛たちが山の中で生き残ってたんですよ。で、その牛たちを、そのままだったら殺処分になってしまうので、集めて、柵を、田んぼに広く作って、その中に入れておけば、とってもきれいにそこを回復させて保全してくれるっていうのが分かったので、それでフラフラ飼い主を求めてさまよってる牛たちを集めて、この中で「お仕事」をしてもらうっていうことで。やっぱり農地が荒れてしまうと、自分がしてしまったって感じるんですよね農家の人達って。農地って放置した期間の7倍の歳月、取り戻すのにかかるんです。先祖代々たゆまないこの汗と涙とが詰まっている、だからこれはもう立ち入りもなかなかできない中でどうするか、で、一方では牛の餌がないって言って泣いてる農家がいて餓死してしまって牛(べこ)がかわいそうだって泣いてて、あ、じゃあこの二つをマッチさせればいいんじゃないかということで、させて頂いています。」




避難指示によって帰れなくなった故郷で、荒れる一方の田畑、そして家畜を避難させることが出来ず、餓死するのを待つだけだった畜産農家、その二つを結び付けたのが「もーもーガーデン」の取り組みです。ただ避難指示区域である大熊町でこの活動を続けることは大きな決断が必要だったはず。明日もそんな谷咲月さんのお話し、お届けします。

なお現在「もーもーガーデン」では、活動の支援も募っています。詳しくはこちらのオフィシャルサイトをご覧ください。


パーソナリティ 鈴村健一

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