「まもなく二十歳を迎える生徒の悩み相談にのりました。」

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2023年7月14日(金)PM 10:00まで




音学の授業、サカナLOCKS!。今回は [サカナLOCKS!掲示板] に届いた、まもなく二十歳を迎える生徒からの悩み相談にのっていきました。もうすぐ終わってしまう10代に焦りながら、じゃあ何をすればいいのか。10代と20代の狭間で悩んでいる生徒と話しました。

まずは書き込みを紹介します───



僕は7月に20歳になる大学2回生男子です。僕には今悩みがあります。
それは、もうすぐ10代が終わってしまうことに対して焦りを感じている反面、何をすればいいかわからないということです。

自分は今サークルや部活などには入っておらず、時間がたくさんあるため、何か成し遂げたいという気持ちがあふれているのですが具体的に何をすればいいかわからないでいます。若気の至りだと言ってしまえばそれまでだとは思うのですが、僕は今この気持ちに応えたいと思っています。

一郎先生にはこんな時期があったのでしょうか?

キコウデン
岡山県/19歳/男性


山口「二十歳になるときって、やっぱりお年頃だからね。何かしら考えたり、もやもやしたりするのはあったけどな、僕も。そうねー……しかも難しい時代だからね、今。」


山口「では早速話していきましょう。こんばんは。サカナクションの山口一郎です。」

キコウデン「こんばんは、キコウデンです。」

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山口「今19歳?あと何日で二十歳?」

キコウデン「あと6日で二十歳です。」

山口「おー!もうちょっとだね。何に焦りを感じてんの?」

キコウデン「何かしたいなっていうのは、大学入ってから感じてたんですけど……冬場は結構バイトが忙しくて、そういうのを考える余裕がなかったんですけど、最近バイトが暇になったときに、何もできてないなっていう風に強く感じるようになって。やるなら、何か10代のうちにやりたいなっていう気持ちがとてもあったので、そういうのですごく焦りを感じてます。」

山口「なるほどね。今何か夢中にやってることとかあるの?」

キコウデン「最近、安物ではあるんですけど、キーボードを買ってたまに弾いてます。」

山口「ピアノ弾いてんだ。ピアノ習ってたの?」

キコウデン「ピアノは、6歳から中学を卒業するまで習ってました。」

山口「そうなんだ。キーボード買っていろいろ弾いてんだ。楽しい?やってて。」

キコウデン「はい、とても楽しいです。」

山口「作曲したりとかしてんの?」

キコウデン「作曲は全然できないんですけど。」

山口「そっかそっか。一郎先生にどんなことを聞いたいわけ?」

キコウデン「19歳っていう年齢が、結構その音楽に真剣に取り組むにしては、自分の中でちょっと遅いかなって感じることもあるんですけど……一郎先生はどういう風に考えられますか?」

山口「音楽で生きてく上で遅いって思ってるってこと?」

キコウデン「いや、音楽で生きていこうっていう風には思わないんですけど、真剣に取り組むようにしたいなと考えたときに、なんかもっと早くからやった方がよかったんじゃないかなって感じるので。」

山口「音楽を楽しむのなんて、年齢なんて関係ないぜ。」

キコウデン「確かにそうですね。」

山口「そうだよ。どの年齢で音楽始めたっていいし、何の楽器をやってもいいし。自由だよ。堅苦しく音楽をやるには遅いかな、早いかななんて……そんなことを考えるのも無駄なくらい、音楽っていうのはいつでも自分の近くにあるし、自由に触れていいものなんだよ。だから関係ないよ。」

キコウデン「はい。なんかそう言っていただいてすごく嬉しいし、なんか楽になるなって感じます。」

山口「真面目すぎんだよ(笑)。」

キコウデン「真面目すぎます?(笑)」

山口「そうだよ。キコウデン、例えばこれから就職するのか、何か……これから生きていく上で、例えば釣りをしようかなとか、何か新しく何かゲームやろうかなとかさ、自分の新しい趣味を見つけるとするじゃん。それと同じだよ、音楽なんて。」

キコウデン「確かにそうですね。」

山口「いつどのタイミングで始めたっていいものだし、これは音楽だけじゃないよ。どんなことでもそう。年齢なんて関係ないし、19歳で始められるなんて早いよ?ふふふ(笑)。」

キコウデン「ふふ(笑)。」


山口「1個アドバイスするとしたら、19歳から20歳になる上でいろんな焦りはあると思うけど、20代は、がむしゃらに頑張る歳なんだよ。そうすると30代すごい楽になるから。だから、まだ始まってないんだよね。キコウデンは。」

キコウデン「まだ始まってないですか?(笑)」

山口「まだ始まってない(笑)。しかもまだ大学生でしょ。在学中は思いっきり遊んだ方がいいよ。もちろんやることはやってだけど。思いっきり誰もしたことないことをいっぱいするチャンスが大学生にはあるからさ。」

キコウデン「はい。」

山口「キコウデンは真面目だから、なかなか自分のテーブル以外のことって怖くて手を出せなかったり、ドキドキして不安に思ったりすると思うけど、自分のテーブルを広げて、テーブル以外のことに興味を持って遊んでみたり、触れてみたりする時間が大学生の時だから。それをやると、大学卒業してからちょっと違う自分として社会に出られるよ。社会に出てからは、がむしゃらに20代頑張ること。そしたら自分が想像してる以上の30代になれるから。まだ30代の事で考えられないと思うけど、20代なんてあっという間だぜ。」

キコウデン「あっという間ですか?」

山口「あっという間だよ。40代の俺が教えとく。20代は本当にあっという間。30代はもっとあっという間だから(笑)。」

キコウデン「(笑)」

山口「本当、一瞬だと思うよ。だから、30代苦しいと結構その先の人生ってネガティブになりがちだけど、20代すごいしっかり頑張っておけば、想像できない30代の自分が必ず待ってる。」

キコウデン「はい。」

山口「20代は、みんな本気だから。20代として生きてる人は全員本気なのよ。だから自分も本気だったら、人と一緒になっちゃうじゃん。だったら本気を通り越して20代を狂気で生きないと。本気を通り越した狂気で生きると、30代は想像を絶する自分になれる。だからそれを胸に秘めて、どんなに苦しくても、どんなにしんどくても、20代という若さで乗り越えられるから。」

キコウデン「なるほど……。」

山口「歳を取ってくると、そのしんどさに耐えられなくなったりもするけど、20代はそれで生きていける。本当に今後楽になるから。それは僕からひとつアドバイスかな。」

キコウデン「ありがとうございます。」

山口「20代になって、本当にもうしんどくて苦しくなったら、やめちゃってもいいんだよ。やってたこと。やめちゃってもやり直しがきく年齢なんだよ。だから20代ってすごいラッキーなのよ。」

キコウデン「はい。そうですね。」

山口「今の時代すごいしんどいこともいっぱいあると思うけど、やってみ。どんなことも。楽器始めるの遅いかなとか思ってる場合じゃないよ。どんなこともやってみたらいいと思う。」

キコウデン「はい。」


山口「他にも聞いたいことあれば何でも答えるぞ。せっかくだよ、こういうチャンス。」

キコウデン「そうですね……」

山口「どんなことでもいいんだよ。」

キコウデン「一郎先生が思う、今の時期にぴったりなサカナクションの曲って何ですか?」

山口「そんなのお前が聴いて気持ちいいもんでいいんだよ!(笑)」

キコウデン「(笑)」

山口「そんなの俺がこれだなって言うんじゃないだろ。自分が聴いてぴったりなやつでいいんだよ、自由なんだから。」

キコウデン「そうですね、ありがとうございます(笑)。」

山口「他は?何かないんかよ。プライベートなことでも良いんだよ。」

キコウデン「プライベートなことですか……じゃあ、一郎先生が一番好きな海鮮料理を聞いてもいいですか?」

山口「何だよ、それ(笑)。本当に聞きたいのか?」

キコウデン「気になります。」

山口「気になる?それ。もっと何かあるだろ(笑)。せっかくなのによー。まあ、答えるよ、じゃあ。」

キコウデン「はい、お願いします。」

山口「寿司だろ、そりゃ。」

キコウデン「寿司ですか。」

山口「北海道だもん、俺。そんなの聞かなくても分かるだろ。」

キコウデン「確かにそうですね(笑)。失礼いたしました。」


山口「他は?何かないか?何でもいいんだぞ。」

キコウデン「そうですね……最近、悩んでることがあって……」

山口「何だよ。そういうこと、そういうこと。」

キコウデン「本当にしょうもないことなんですけど、バイトで冬が繁忙期なんで、冬にいっぱいシフト入れてたんですけど、最近全然入れてなくて。ちょっとお金のやりくりが難しいなっていうのを最近困ってます。」

山口「お金のやりくりなー。欲しいものが結構いっぱいあるの?」

キコウデン「そのときパッて思い浮かんだものをすぐ買っちゃう癖があって。気づいたら手元にお金ないなっていう感じになりますね。」

山口「それやめたらいいんじゃない?(笑)」

キコウデン「そうですね(笑)。」

山口「それか、日雇いのバイトとかやればいいんじゃないの?」

キコウデン「あ、確かに!」

山口「何かやったことないことを始めると、出会ったことない人に会えるから面白いよ。」

キコウデン「そうですね。去年の夏に、日雇いのバイトで山下達郎さんのライブの設営に行きました。」

山口「めっちゃいいじゃん、それ。なんかいろんな人いるでしょ?」

キコウデン「いますね。」

山口「そういういろんな人に会えるんだよ、いろんなとこ行くと。自分のテーブルを広げる上で、バイトっていうのはすごくいい手段だと思うよ。」

キコウデン「ありがとうございます。」

山口「何か調べて行ってみたら良いじゃん、いろいろと。俺も昔そういうイベントのバイトしてたけど、そこで出会った人と一生の友達になったりしてるからね。」

キコウデン「そうなんですか。」

山口「うん。だから、いろいろやってみた方がいいよ。」

キコウデン「はい、やってみます。」


山口「他、大丈夫か?キコウデン。」

キコウデン「そうですね……なんか緊張して、なかなか……」

山口「緊張なんかしなくていいんだって。オンラインだぞ、これ。今、自分の部屋だろ?」

キコウデン「はい、部屋です。」

山口「自分の部屋の中で緊張してどうすんだよ。」

キコウデン「ふふ(笑)。そうですね。」

山口「そうだろ?キコウデンは今(大学)2年生かー。」

キコウデン「はい、2年生です。」

山口「ということは、来年就活?」

キコウデン「そうですね。就活します。」

山口「もう目処たってんの?こういうことやりたいとか。」

キコウデン「高校生ぐらいまでは、教師になりたいってに思ってたんですけど……進路相談で担任の先生と話したときに、ずっと教育学部志望で出してたんで、もうちょっと視野広げてもいいよって言われて、今経済学部入ったんですけど。そこからまだ自分のやりたいことが見つけれてなくて……教師にまだなりたいのか、その他のことをしたいのかっていうのもまだあんまり自分でも分かってない状態です。」

山口「そっか。でも世の中の仕組みとしてさ、大学卒業してすぐ社会人になるなんておかしい話なんだよ。いきなり大人になるなんてさ。もっと1年ぐらい猶予ほしいじゃん。」

キコウデン「ほしいですね。」

山口「だから、焦って決めなくてもいいと僕は思うけどね。」

キコウデン「はい、ありがとうございます。」

山口「だから自分の思うままに、とりあえずひとつひとつ目の前にある物事に真剣になっていれば、たどり着けると思うよ。そこでちょっとでも怠けたり、ちょっと脱線するとどんどん迷っていっちゃうけど、目の前にあるものに集中して、進路を決めていったらいいと思う。」

キコウデン「ありがとうございます。」

山口「先生向いてると思うよ、キコウデン。」

キコウデン「向いてますか?」

山口「顔が。笑顔が生徒から好まれる顔してるぞ。笑顔大事だからな。人の印象に笑顔ってあるからさ。良い笑顔してるよ、キコウデン。」

キコウデン「ありがとうございます。」

山口「じゃあ頑張ってくれよ、応援してるからな。」

キコウデン「はい。ありがとうございます。」

山口「それじゃあまたな。さよなら。」

キコウデン「さよなら。」

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今回の授業も、そろそろ終了の時間になりました。

山口「キコウデン、真面目すぎるよね。真面目なことは良いことだけどね。だからあの真面目さを武器に頑張っていってほしいなと思うね。19から20歳になる瞬間って、やっぱり誰しも覚えてるのよ。その瞬間に、このまま二十歳になっていいのかな……みたいな不安ってあるんだよね。でもそんなの半年もしたらすぐ忘れるから、20歳になって。すぐ20代に対しての自分という考えになるから大丈夫だと思う、先生は。キコウデンにも言ったけど、20代頑張れば30代すごい楽になるからね。真剣に、その都度その都度生きていってください。」

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