ミュージシャンと夏フェスの関係。

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カルトQ!
カルトQ予選参加させてもらいました!結果は1点。ごめんなさい!次回リベンジできた時先生を悲しませない点を取るためにいまから学校の勉強そっちのけで勉強しておきます!!
あおべぇ
女/17/埼玉県




山口「それはダメだ!(笑)学校の勉強を優先させなさい。その合間に勉強していただけるといいな。8月26日の放送にあおべぇも映っていたことでしょう。サカナクションがスペースシャワーTVでお届けしている番組『NFパンチ』のサカナクションカルトQ。先日、その予選と決勝戦が行われました。予選には何人も生徒たちが来てくれたけど、先生は悲しかった。1点が1人だけじゃなかったぞ。あおべぇだけじゃなかった。だけど、これは第2回をやるからな。そこには是非応募してもらいたいなと思う。次回の放送は決勝戦。9月9日に放送される『NFパンチ』に、サカナLOCKS!代表で、ボンレスマサルも出場しますので是非見てください。」

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「今年もたくさんの夏フェスが各地で行われまして、サカナクションも、JOIN ALIVE 2016NUMBER SHOT 2016SUMMER SONIC 2016SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2016と出演してきたのですが、ミュージシャンにとって夏フェスとはどういう場所なのか。そんな授業をしていきたいと思います。」

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「先日、僕がTwitterで、みんなフェスで1バンド何分くらい聞きたいんだろう?って質問をしたんですね。」




「たくさん見られるから30分がいいとか、ヘッドライナーは60分であとは30分がいいとか、見たいバンドは1時間見たいけど、見たくないバンドを1時間見るのはきついとか、いろんな意見がありました。」

「まず、日本のフェスはどうなっているか見てみる?先生が先日出演したSPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2016見てみましょうか。」

「これは全部LAKESIDE STAGEの話……一番大きいステージのことだぞ。トップバッターはTHE ORAL CIGARETTES……10:30から35分。KANA-BOON……12:10から35分。ゲスの極み乙女。……13:50から35分。10-FEET……15:30から35分。the HIATUS……17:30から35分。そして、ヘッドライナーのサカナクションが19:15から45分間。つまり、ヘッドライナー以外はみんな35分間。ヘッドライナーだけ多いわけですね。」

「海外で行われている、グラストンベリー(Glastonbury Festival)っていう超どでかいお祭りを見てみましょう。サマーソニックは、大阪と東京を含めた4日間で18万人くらい入るらしいんですけど、なんと、このグラストンベリーは1日で20万人入っちゃう。それを金土日と3日間やるわけね。とんでもなく大きいんですわ。出る人たちも超有名な人たち。Coldplayとか、Adele、Museとか……みんな知ってるか?このフェスのヘッドライナーは90分とか105分とかやるわけだ。1時間半とかね。でも、トリ前の人は75分。どんどんその前になっていくと短くなっていって、トップバッターの人は30分とかになるわけだな。だから後ろに向けてどんどん長くなっていくイメージなんですね。」

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「先生はいろんな人に話を聞いてきました。海外の人が日本に来る時とかのヘッドライナーの差は、まず、何分やりたいかっていうのを主催者側に言うんですね。それを主催者側が受け入れて、契約書みたいなのがあるんですよ。それにサインをするっていう形で出演交渉します。で、ヘッドライナーの人は、全部持ち込むと。スピーカーもこれじゃなきゃだめって指定があるときもある。だから、フェス自体のシステムをヘッドライナーが決めると言っても過言ではない。そのくらいヘッドライナーの存在が大きくなるんですね。照明の仕込みもそう。こういう照明をしたいんですよってヘッドライナーの人が言ったら、それに合わせてそれ以外のミュージシャンの照明の人たちは、その隙間にこのライトを置きますとか、この照明を使わせてもらいますとか、そういうことをやるわけですね。あと、ヘッドライナーがサブウーハーの低音だけが出るスピーカーをドンと使いたいって言ったら用意するんですけど、他のミュージシャンは使っちゃだめっていうこともできるらしい。だけど、海外のフェスとなると出る人はみんなすごいから、もちろんそのあたりは掛け持ちをしましょうとかいろいろあると思うけど、日本の場合は、海外のミュージシャンがヘッドライナーで来る場合は絶対なんですよ。「これを用意してほしい」って言われて国内になかったらそれを取り寄せて使ってもらうけど、その分のお金は持ってくださいねってアーティスト側に負担してもらったりするんだけど、アーティストに対するギャランティもめちゃくちゃ大きいんですよ。何億とか払ったりすることもあるわけ。全部仕込み代も含めてだよ。でも、日本だと、たくさんのミュージシャンを出演させる……いろんな人を見てほしいから、ヘッドライナーとヘッドライナー以外にあんまり差をつけないようにする。そうするといろんなミュージシャンがたくさん出られるんですね。僕らはヘッドライナーとして何年か出させてもらっていますけど、特別待遇っていうのはあんまり受けたことがありません。むしろ、ヘッドライナーは損!ライブ終わったーってケータリング(出演者たちのために用意されている食事)に行っても、ケータリングはもう終わってるんだよ!(笑) あれ?肉がない……ライブが終わってからご飯を食べようと思ってたのに……ドリンク・コーナーも閉まってるし……って。ミュージシャンが集まるアーティストエリアみたいなのがあるのよ。そういうところも、みんな帰っているのよ。誰とも話せない。先生たちはいつも誰もいないところで、しょぼんと座りながらコーヒを飲む……みたいな。でも、持ち時間は、ヘッドライナーだから長く演らせてもらえる。あと、照明が効く時間帯になるので、自分たちのみせたい演出をみせられるってこともあるんですね。だから、ヘッドライナーが長く時間を使って自分たちの見せたいライブをすることができて、それを見にくる人たちがそれを利用してフェスを盛り上げるという形もあるけど、日本のフェスみたいにいろんなミュージシャンをいっぱい観せて、その中で音楽を知っていくっていう観せ方も、両極端だけど、両方あるんだなって思いました。」

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「でも、先生は思うことがある。フェスで30分のライブで自分たちのセットリストを持って戦おうとすると、やっぱり突っ走るしかないのよ。例えば、1曲目に静かな曲からやって、2曲目盛り上げて、3曲目盛り上げて、4曲目でちょっと落として最後に盛り上げようと思っても、30分の全体的な印象でいうと、普通に盛り上がらなかったって印象になるの。"シングル曲をやってほしい" ってみんな思うわけですよ。だけど、その30分の中で自分たちの世界観を伝えたいと思って工夫してやっても、シングル曲をやらなかったから、いまいちだったってなるわけですよ。あと、サカナクション先生のライブは演出もありきだし、ダイナミクスみたいなものがワンマンのツアーではあるわけですよ。静かな曲があって、盛り上がる曲があって、静かな曲があって、最後にクライマックスを迎える……みたいな。そういうのは30分とか45分のセットリストだと作れない。今回SUMMER SONICは70分あったので、ちょっと工夫できたんですよ。少しダンスの時間を作ったりして。縦ノリの時間があって、ダンスの時間があって、最後にクライマックスに向かっていくっていう、そういうストーリーがあるとやっぱり評判がいいね。そういったことが長い時間を使えると出せるなって気がするけど、サカナクションに興味ない人からすると、ちょっと長いって思われる危険性もある。だけど、先生方は常に考えている……いつもサカナクションのライブを観に来てくれる人たちも、サカナクションを知らない人たちも、サカナクションの名前だけを知っている人たちも、全員が楽しめるセットリストにしたいと思う。楽しむっていうことの種類をフェスの中で増やさないといけないなっていうのも最近感じるな。」

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「基本的に、出演者側から見てフェスってどういうものかというと、盛り上がったら勝ち。みんな楽しめたら勝ち。楽しめなかったらそれは負け。……そうなっているのがちょっと悲しいなと思う。いろんなバンドがいるわけでしょう?静かに聴かせるミュージシャンもいるわけ。感動させる……そういう違う種類の興奮を与えるミュージシャンもいるわけ。でも、そういった人たちがあんまり印象に残らないようになってしまっているのはちょっと問題だなって思う。あと、夏フェスで盛り上げる曲を夏にリリースするって形になると、どうしてもテンポが速い曲だったり、盛り上がる曲になっちゃうわけですよ。それもね、みんながそうなると似てくるじゃん。小さな差異を変化として見極めるようになってくると、がらっと違うものに目を向けにくくなるし、大きな違いがあるものをいいって感じにくくなるんじゃないかなって。先生はそういうことを懸念しているわけだな。こんなにフェスはいっぱいあるわけだから、1つくらい特殊なフェスがあってもいいかなって、先生は思ったりしている。例えば、ヘッドライナーはたっぷり演出を使って1時間半とかあって、それ以外も45分とか。そういった違った形のフェスがあってもいいんじゃないかなって思うんだけどな。やっぱりセットリストが長いといろいろやれるんだよ。ツアーでやっていた曲とか。先生がまたツアーでやりたいなと思っているのは「ネプトゥーヌス」って曲だな。前回の武道館でもやりましたけど。でも、フェスとかでやるには1回(展開を)落とさないといけないからね。LIVEの尺が長くないと……75分とかあるとできるね。」

「でも、そういうことを言い出したら、自分でやればいいじゃんってところになってくるわけですよ。それがサカナクションの『SAKANATRIBE』っていうレイヴパーティになるんですけど。SAKANATRIBEも、今は出演しているのがDJだけだけど、先生はバンドも入れたいと思っているの。それは日本のバンドだけじゃないよ。普段フェスになかなか出られないフェス向きではないバンドにも声をかけて、パーティとして素晴らしいものにしたいなって。」

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「じゃあ、そんなことを言うサカナクションは何でフェスに出るんだよって言ってくる人もいるけど、先生たちが1年間フェスに出なかった年があったな。あの1年、出なかっただけで相当忘れられたんだよ。今は、フェスに出ない= "いない" になってる。つまり、1回テレビに出るとで続けなきゃいけない恐怖感……忘れられる恐怖感が、今はフェスにもあると思う。それはミュージシャンとして実感している。フェスに出ないことを貫いているミュージシャンもいるけど、それはやっぱりビッグネームな人たち。だから、若いバンドとかは毎年フェスに出て勝ち上がっていかなきゃいけないっていう緊張感の中で曲を作ったりライブをしたりしているわけだから、どうしてもそういう層を気にして作曲をしなきゃいけなかったりしていると思うけどね。それ以外はアルバムで表現したりカップリング曲で表現しようとしているんだと思うけど。それが今の日本の音楽シーン、J-ROCKの音楽シーンだと言っても過言ではないし、これが10年後、20年後、30年後、どう見られているのか……それは先生、楽しみだなと思う。」

「今ね、たくさんのメディアがフェスをやり始めて、それはいいことだと思う。いろんなフェスがあるならもっと多様性があっていいと思う。そういうのもメディア側の人は考えて欲しいと思うよ。先生は、そういうところを飛び回りたいね。どんなところでもライブができるバンドでいたいと思っています。」

そろそろ今回の授業も終了の時間となりました。

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「さて、9月17日(土)に、恵比寿のLIQUIDROOMでサカナクションが主催するパーティ『NF #04 –BOOK-』が開催されます。今回のBOOKとは、ちょうどその期間にTHE TOKYO ART BOOK FAIR 2016っていう、アートの本を特集するお祭りをやっているんですよ。そこと連動して、NFブース内にもアートブックの展示をしたり、先生が大好きな本を紹介したり、僕がART BOOK FAIRで対談したりとか、連動企画をやることにしました。今回の特集は本。みんな本買うか?たまには素晴らしい本のつくりとか装丁とか、そういうのを一緒に見て感動したり、音楽を通じて一緒に体験してもらえたらと思っているので、是非『NF』に足を運んでいただけたらと思っています。」

『NF』Official Site[⇨コチラ!]

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