私たちがふだんの生活の中で陥ってしまう錯覚。
それは車のハンドルを握っている時にも起こります。

今週は先週に続いて
自動車ジャーナリスト 菰田潔さんでにお話を伺い
『運転中に起こる錯覚』後編をお送りしました。





今週はまず「視覚吸引作用」と呼ばれるケースから。
ドライバーはいろいろなところを見て運転しているわけですが
目で見た方向に進んでいく傾向があります。

例えばトンネルの中に入った時に壁が近くて圧迫感があると
壁ではないほう方を見て、その方向に車が寄ってしまう。
それが高速道路で時速100kmで走っていたとすると
ハンドルを少し動かしただけでもかなり角度が変わります。

例えばその結果、右隣の車線に近づくと、
そちらの車線を走るドライバーは「幅寄せした」と思うかもしれません。
自分の車線をキープして車線の真ん中を走るよう心がけましょう。





車もそうですが特に見た方向に進んでしまうのが二輪車。
最近は性能が良く、ヘルメットをかぶった頭を向けるだけで、
その方向へ簡単に進むので、気をつけるようにして下さい。





そして、次は「曲方志向」。
これはカーブを曲がっている時に広い方に寄ってしまうこと。
左カーブの時には左側に寄っていきますが、
スピードを出したまま曲がる場合、寄りすぎることがあります。
左側にガードレールや崖や土手があったりする時には危険です。

右カーブの時は右に寄る傾向があります。
日本は左側通行なので対向車線があれば対向車とぶつかるかもしれません。
この現象も自分の車線の中だけで走る意識で防ぎましょう。





そして、次は街中ではなく、田畑の中の
信号機はなくて広く見通しの良い交差点で起こる「コリジョンコース現象」。

あなたは信号のない真っ直ぐの田舎道を直進しているとしましょう。
前方で別の道路が90度で交差しています。

その交差点に向かって、あなたが南から北へ走っているとしたら、
東から西へ走っている車があります。走る速度はあなたの車とほぼ同じ。

この車がピラーの死角に入っていると車の存在に気づきません。
またこの時にウィンドウ越しに視界に入っていても、
同じ速度で走っているとお互いの車が動いているようには見えない、
田畑と同様、風景の一部と錯覚してしまうので察知しにくいのです。
そして、気づかずに衝突・・・ これがコリジョンコース現象です。
初めは道路がない飛行機で起こりました。

自動車の場合は北海道のような広大なところで起こりがち。
視界が開けた田舎道なのでスピードを出していることもあり
重大な事故になることも少なくありません。
旅行の時には気をつけましょう。

2週にわかってお伝えした運転中に起こる錯覚。
錯覚をしやすい状況を覚えておいて下さい。
そして、まずは未然に防ぐよう注意しつつ、
何かの時には正しい対応策をとるようにしましょう。
このところ流行っているトリックアート。
私たちの目の錯覚を生かして楽しむものですが、
目の錯覚がクルマの運転中に起こってしまうと・・・危ないですよね。

でも、ハンドルを握っている時も、
そんなシーンは少なからず起こり得ます。
今週と来週の「なるほど!交通安全」は『運転中に起こる錯覚』です。
話を聞くのは日本自動車ジャーナリスト協会 会長で
日本自動車連盟 交通安全委員会の委員もつとめる菰田潔さんです。





まず「蒸発現象」と言われるケース。
これは急に明るい光が射すところに入ると目の調節が追いつかず
今まで見えていたものが見えなくなってしまうことを言います。
例えば、トンネルの出口。
暗いトンネルの中から明るい外へ出た瞬間、
前の車や状況が見えなくなってしまいます。
逆に夜の場合にはカーブや道の勾配によって対向車のライトが目に入り
途中の車が見えなくなってしまうこともあります。





トンネルから外の明るいところに出る時は予め目を細めておく、
あるいは明るいところを意識して見るようにしましょう。
暗いところに慣れた目を早めに明るいところに慣れさせることが必要です。
また、眩しいと思った時には、そのライトは見ないことが大事。
びっくりして急ブレーキを踏んでしまったりすると危険です。
落ち着いて運転することがとても大切なポイントです。


そして、同じく見えなくなる運転時の錯覚でも
暗さで見えなくなる「溶け込み現象」。
こちらの例は特にあまり大きくない道路に現れるライトが暗い、
あるいはライトがないトンネルなどで起こります。
前の車が外からトンネルの中に入ると
後続ドライバーには暗やみに溶け込んでいなくなったように見える。





最近の車はデイタイムランニングライトが点いていますが
そうではない車に乗っている方はトンネルに入る時には
必ずライトを点灯するようにしましょう。
ヘッドライトは自分で障害物を見るためもありますが
自分がそこにいるぞということを周りに知らせる意味もあります。


そして、「追従静止視界」。
追従、ついて行くと視界が静止するという現象です。




      
これは高速道路でよく起こります。
例えば時速100キロとかなりのスピードで走っていたとしても
前の車と同じスピードでずっと走っているとスピード感覚を失います。
前の車と自分の車の距離が全然変わらない
お互い止まっているように錯覚してしまうのです。
すると、スピードを感じなくなってしまうので、
車間距離が近づいても危険を感じなくなります。

ところが時速100キロで走っているとするとブレーキを踏んでから
車が停車するまで約56mは必要。
前の車と近すぎていた場合は何かあってブレーキを踏んでも
間に合わないということになってしまいます。
必ず、適切な車間距離が必要です。
菰田さんによると、世界では車間距離は2秒空けるというのが浸透しています。


まだまだある「運転中に起こる錯覚」
この続きは、来週、お伝えします。
クルマを運転していて、左に曲がる時、あるいは右に曲がる時、
歩行者と接触しかけて「ヒヤリ」としたことはありませんか?

自動車と歩行者の交通事故が起こった場合、
100%近く自動車のドライバーに過失割合があるとされます。
充分に注意してハンドルを握らなければいけません。

今週は「右折時・左折時の対歩行者事故」がテーマ。
JAF東京支部 事業課 交通環境係  高木 孝さんにお話を伺いました。





【左折時の対歩行者 注意例 その1】

左折をしたいので歩行者の交差点横断を待っているドライバー。
渡り終えたので左折しようとしたところに新たな歩行者が現れるケース。
新たな歩行者は、この左折車が止まっているのを見ていて、
今のうちに横断しようと交差点を渡り始めた。
ドライバーは”目前の歩行者が渡り終えたら”と思っているので
別の歩行者のことに気づきにくい。



左折の場合は前方から交差点に入って来る歩行者は見えやすく、
進行方向と同じ方向、視界の左側から来る歩行者は確認しにくいもの。
きちんと首を振って目視しましょう。






【右折時の対歩行者 注意例 その1】

前の車に続いて右折する時に意外に事故が起きやすい。
先行者はギリギリ歩行者の前を右に曲がっていったのかもしれない。
その後に無闇に続いてしまうと歩行者と接触してしまう。
それも左前方から来る場合は視界に入りやすいが、
右後方は意外と見えにくいので、しっかり見る。
面倒だと思わず、きちんと安全を確認した後、ハンドルを切る



特に急いでいる時や、そろそろ信号が変わるだろうというタイミング、
ついつい前のクルマに続いて、右折をしている人もいるかもしれません。
それは危険です。きちんと、自身でも、歩行者の有無を確認しましょう。





【右折時の対歩行者 注意例 その2】

今度は自分が右折の先頭に立ったケース。
後方に右折車が連なるとプレッシャーを感じるかもしれないが安全優先。
直進車の流れがわずかに途絶えた時、それでも次の直進車も近づいてきている、
急いで渡ることに気を取られて歩行者の存在を見落としているケース。
意識しておきたいのは、どんなにプレッシャーがかかったとしても、
対抗直進車だけではなく歩行者を考慮に入れること。






右折の場合は「直進してくる“あのクルマ”が通過したら曲がろう」
と思っていてハンドルを切ったところ、
そのクルマの後方に見えていなかったオートバイや自転車がいた!!
ということもあるので、その点でも注意が必要です。


【歩行者視点での注意点】

急いでいる時や信号が間も無く点滅しそうな時、
駆け足気味に交差点に入っていくことは危険。
その時に左折しようとする車が止まっているとしても、
それは自分のため停車しているのでは無く前の歩行者のため。
そのクルマが自分のことを気にしているか注意を払う。
自分の身を守るためにも、そういう習慣を身につけましょう。






ドライバーにとって右折左折時は、通常の直進走行をしている時に比べて、
注意を向けるべきポイントが多いところだと理解しておきましょう。
クルマだけではなく、歩行者のことも気にとめる。
その歩行者は信号無視をしてくる可能性も少なからずありませう。

必要なのはゆとりと余裕。
気持ちに余裕を持って充分に減速、場合によっては停止。
確認をしてから左折する、右折することが事故の回避に繋がります。
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