「補償運転」という言葉を聴いたことはありますか?
高齢者が起こす交通事故が社会問題になっている昨今ですが、
多くの地域ではクルマがなければ生活が成り立ちません。
また、運転免許証を持ちクルマを運転することは、
その人のアイデンティティの1つになっていることも少なくありません。

そのため、無理をせず、長く運転を続けるための方策、
それが「補償運転」という考えです。





今回お話を伺ったのは交通心理学が専門
実践女子大学人間社会学部 松浦常夫教授。
マスコミの報道で高齢者による交通事故が注目を集めた2017年
高齢運転者の交通事故防止対策に関する有識者会議が開かれた際、
交通心理学会の代表として補償運転の考え方を紹介した方です。
これが警察庁交通局長の目に留まり「補償運転」となって
全国の交通警察に対し、普及を促す指示が出ました。





「補償運転」という言葉はわかりにくいかもしれません。
概念を説明すると高齢者になって低下する心身の機能を補償するという意味。
運転する時や場所を選択する、心や身体や環境を整えるなどして
衰えてきた運転技能を補う運転方法のことです。
具体的には以下のように3つの要素があります。


① 運転の制限・選択

  → 夜間・高速道路・知らないところなど、危険ところでは運転しない


② 運転前の準備

  → 体調を整えてからクルマに乗り 時間に余裕を持って出発する 
   クルマの点検や車内の整頓をする


③ 安全を志向した運転
 
  → 速度を出さない 運転中は集中する 
   危ないクルマ・自転車や歩行者からは離れる



以上のことによって、
できるだけ交通事故を遠ざけようという発想です。





誰もが年齢を重ねると残念ながら心技体のすべての機能が低下します。
しかし、多くの高齢者には自分がその領域に入ったことに気づかない、
あるいは気づいていても認めようとしない傾向にあります。

若い頃と同じように安全に運転できると思っている、あるいは思いたがり、
自分の運転技能を過大評価する人が少なからずいて
これが高齢ドライバーによる事故増加の1つの要因だと考えられています。

高齢ドライバーに該当する方は運転能力の低下を客観的に自覚した上で
「補償運転」を心がけましょう。
身近に高齢ドライバーがいるリスナーの方は、
そのことを機会がある時に伝えていただければと思います。





今回テーマの「補償運転」は、これを心がけていれば
高齢者だけではなくどの世代のドライバーでも交通事故を遠ざける事ができるので
クルマに乗る時の指針にしてほしいと思います。
昨日9 月 1 日は「防災の日」でした。
今回の「なるほど!交通安全」は、モータリングライター 藤田竜太さんにお話を伺い
『運転中に地震が起こったら』をお伝えしました。
“もしも”の時のため覚えておいて身の安全を守る行動に役立てて下さい。





車に乗っていると、地震が起きても気づきにくい。
このことは、多くの人が経験あるでしょう。
タイヤやサスペンションが揺れを吸収し、
一方で走行中は常に車体が揺れているためです。

運転中に地震の揺れに気がつくと言われているのが震度4から。
本来なら震度4は電線が大きく揺れてじっとしていると驚くレベルです。
震度5弱になると電柱が揺れるのでさらにわかりやすくなり
震度5強だと車でまっすぐ走れなくなるので運転者もみな地震に気づきます。





地震が多い日本。
車の運転をしている時に大きな揺れに襲われる可能性があることを、
いつも頭の片隅に置いておいて下さい。
周囲の何かしらの違和感から地震を早く察知することに繋がるでしょう。

そして、スマートフォン・携帯電話の設定をオンにしておけば、
気象庁と政府が発信する緊急地震速報を受信することができます。
最大震度が5弱以上と予想される地震」が発生した場合、
「震度4以上が予想される地域」で通知されることになっています。





運転中に地震が起こったことに気づいたら
慌てずにハンドルをしっかり握り、ハザードランプを点滅させながら
前後の車に注意して徐々にスピードを落とし、道路の左側に停車します。

この時、急ブ レーキは禁物。
止める場所も建物などの出入り口付近交差点付近や消火栓の側は避ける。
前後の車との距離も大きめに確保しましょう。

車を止めたらエンジンを切り、揺れが収まるまで車外に出ず、ラジオから情報を入手します。
スマホを開いてSNS などで情報収集をするという手もありますが、
車の周囲の状況に目を配りたいので音声から情報を得るほうが望ましいです。





揺れが収まり、周囲の状況やラジオの情報から
車を離れて避難したほうがいいと判断したら、
車はできるだけ道路以外の場所に停めます。

やむを得ず道路上に置いて避難する時は、
避難する人の通行や災害応急対策の妨げになる場所を避けて道路左側に寄せて駐車し、
エンジンを止め、車のキーはつけたままにして、ドアをロックしないで窓を閉めます。
その上で連絡先メモを見えるところにおき、車検証や貴重品を持って徒歩で避難。
高速道路では約1キロごとに非常口があるので、そこから徒歩で地上に脱出できます。





自動車安全運転センターによると
2016年の熊本地震に際して震度6以上に遭遇したドライバーのうち
8割が経過時間は違えども、いちど停車しました。
しかし、「地震に気づいたが停車しなかった」人も14%いました。

また、クルマを停車した人の停車後の行動を見ると、
クルマを離れた人が27%。クルマを離れなかった人が73%。
クルマを離れた人のうち、ドアロックをせず、エンジンキーを付けたまま避難した人はわずか2割。
「ドアロックはしない」と知っていた人の36%はドアロックをして避難し
「エンジンキーをつけたままにする」と知っていた人の45%がエンジンキーを持って避難しています。

これだけ多くの人が知識とは反対の行動をとってしまったことからは、
大きな地震に気が動転したことが伺えます。
クルマを運転する人は“もしも”の時の行動をシミュレーションしておいた方が良さそうです。





多くの地域では大地震のあとは津波に警戒しなければいけません。
警察庁では津波から避難するため、やむを得ない場合を除いては
避難のために車を使用しないように指示してます。

やむを得ず車を使用する時は道路の損壊、信号機の作動停止、
道路上の障害物などに注意しながら運転すること。
避難する車で渋滞が起こり、動けなくなることは充分にあり得ます。
そうした際は、やはり徒歩で少しでも高い場所を目指して避難しましょう。

いつ、何時、起こるかわからない大地震。
クルマを運転している時の対処を、頭の中で整理しておいて下さい。
それがご自身や、同乗者の命を守ることに繋がります。
歩きはじめて間もない幼児が被害者となる交通事故。
想像したくありませんが、悲しいことに数は少ないながらも実際に起きています。

公益財団法人 交通事故総合分析センター(ITARDA)が
それらには他の年齢層が被害者の事故とは違う特徴があると解析。
6月にリリースした ITARDA INFORMATIONで発表しました。
今回はその内容について主任研究員の渡辺泰介さんに伺いました。





今回 ITARDAが注目したのは0歳から3歳の子どもの事故。
毎年400人位が事故に遭って約10人が亡くなっています。

このくらいの小さな子供は基本的に保護者に守られているもの。
人口あたりの死亡率はそれほど高くありません。
ただ、クルマが低速で走行している時に起こる事故
中でも10km/h以下で起こした事故に限ると他の年齢層と比べて
人口あたりの死亡率が抜きん出て高いことがわかりました。





クルマがゆるゆる走っている程度の速度で衝突したとしても
3歳までの子どもが受けるダメージは大人や成長した子どもより
かなり大きくなってしまいます。

そして、気になるのは10km/h以下で走行するクルマが幼児にぶつかっていること。
0歳から3歳ぐらいの子どもは、本来なら親や保護者が見守っているはず。
そこから事故の状況が浮かび上がってきます。





渡辺さんによると交通事故の要因は「道」「車」「人」の3つに分けられます。
その上で0歳から3歳の子どもが被害に遭う交通事故は・・・

「道」については半数ぐらいが自宅から 50m 以内。
自宅前の道路や、さらに言うと自宅の敷地内で起きている。
もう1つ、事故が多発しているのが出先のお店の駐車場。

「車」はミニバンやワンボックスなど運転席から前が見えにくいタイプ。
ちなみに事故が起きている時間帯としては平日の昼間が約8 割。

「人」、運転者は20 代から30 代と子供の親世代に重なっていて
男女差はほとんどありません。
反対に轢 かれてしまう子供は、特に多い 2 歳以下だと
身長が 90 センチあるかないかなので車の下に巻き込 まれてしまう。
その結果、タイヤで頭を踏まれて亡くなる例が多く
なぜか女の子の方が多くて男の子の 1.5 倍から 2 倍。
以上の分析結果が得られたということです。





平日の昼間・・・

自宅の敷地で、クルマを動かすため、
「ここでじっとしていてね」と言ったのに子どもが動き出してしまう。
クルマを運転していたのは、それに気づかない保護者自身だった。

自宅近くで保護者が友人・知人と話に夢中になっている隙に、
子どもが道路に出ていた。

訪ねた友人・知人宅で、
子どもの目を離した、あるいは見失った時、
友人・知人が動かそうと思ったクルマにぶつけられてしまう。

ショッピングモールの駐車場で、
子どもを先に降ろし、自分が降りる準備をしている間に、
子どもが車の通り道へ行っていた。

・・・ そんな光景が目に浮かびます。





今回の話は0 歳から3 歳が事故の対象。
気をつけなければいけないのは保護者である、クルマに乗る、私たち大人。

まず、運転者は乗車前にクルマの死角を十分確認すること。
特にミニバンや着座位置の高い車に乗っているのであれば
車のすぐ前に大きな死角があるので特に注意が必要で
フロントガラスに頭を近づけると、ある程度下も見えます。
できれば、職業ドライバーのように車の周りを左回りに一周。
クルマの周囲を安全確認してから乗り込むべきです。

そして、保護者は車の周りでは子供から手を離さないこと。
店の駐車場では子供を先に降ろさず、自分が準備をして降りた上で
子供をチャイルドシートから降ろして手を繋ぐことを心がけましょう。





幼児の交通事故は、身近なところで起こります。
まずは、保護者の方は外出時、しっかり手を繋ぐようにしましょう。
そして、ドライバーの皆さんは、発進前の安全確認を怠らないで下さい。
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