第592回 車線変更は慎重に

2026/08/14
お盆シーズン。クルマの移動が多い時期です。
今年は明日の土曜日と明後日の日曜日が、
Uターンラッシュ上りのピークと予測されています。
そんな状況の中で気をつけたいのが車線変更。
今回はモータリング・ライター 藤田竜太さんにお話を聞きました。

まず、車線境界線が黄色の実線の区間では車線変更が禁止。
さらに、進路変更禁止の標識や表示がある場所です。
ちなみに道路交通法では「車線変更」の表現はなく、「進路変更」についてのみ記述があり
第26条に「車両はみだりにその進路を変更してはならない」と書かれています。

まずは、むやみな車線変更は避けましょう。
少し古いですが、2015年の車線変更時の交通事故を道路形状別に見ると
速度が出やすい「直線(一般単路)」が最も多く
次が交差点より30m以内の「交差点付近」で全体の約2割。

交差点の手前で慌てて車線変更をしている様子が想像できます。
黄色の実線に気づいた時に余裕がなく、
急な車線変更になっているのかもしれません。


そうしたこともあってか、5年前に新たな道路標示ができました。
“この先に進路変更禁止の規制区間がありますよ”知らせるもの。
30m手前に黄色の波線がペイントされています。


車線変更を安全に行うため、
大切なのはドアミラーの事前のセッティング。

まずはシートに奥深く座り、背中をシートに密着させ、ハンドルの一番上の部分を握って
肩がシートから離れずに、腕が伸びきらず、肘に余裕がある位置になるよう
シートスライドと背もたれの角度を調整します。

その上でドアミラーの上下方向を合わせていきます。上下方向の角度は、
ミラーの下半分に路面、上半分に空が映るのが基準です。次に左右方向ですが、
自分の車の車体が1/4ほど映り込むようにするのが基本です。

ボディが全くミラーに映らない角度だと他者との距離感がつかみにくくなりますし
反対にボディが見えすぎるのも死角が増えて危険です。
運転席側のミラーを調整したら、助手席側も同じように合わせてください。



その上で安全な車線変更の手順。

まずは周囲の状況を確認


ドアミラーとルームミラー、さらに目視でクルマの流れを確かめつつ
安全に車線変更できるスペースがあるかを確認します。

ウインカーを出す


車線変更できると判断したらウインカーで周囲のクルマに車線変更の意思を知らせます。
少なくとも3秒以上点灯させ、その時にあらためて周囲をチェック。
特に後ろから追い越そうと近づくオートバイに注意して下さい。

クルマの流れに合わせて移動


ゆっくり余裕を持って車線変更を行います。
周りの車と速度を合わせながらハンドルを切り始め
車体が真横に並行移動するようなイメージで移動しましょう。
この操作は、高速道路では走行スピードが速いので
しっかり車間距離をとった上で行って下さい。


ウインカーを早めに出す事と、ミラーと目視できちんと後方を確認する事は同じですが、
もう1つ、これから入ろうとしている車線のスピードに合わせることが肝心。

隣の車線との速度差や車間距離の判断を誤ると接触事故につながるので気をつけて下さい。
ドアミラーでは見にくい斜め後方の死角にいる車両をミリ波レーダーなどで検知して
知らせてくれる「ブラインドスポットモニター」が搭載されているクルマであれば
十分活用するといいでしょう。


ただ、今の夏休みの帰省するクルマが多いタイミングは、
高速道路は渋滞している場合も多いでしょう。
その際の車線変更は、みんなのためにも、自分のためにも、やらないほうがいいようです。

渋滞学の研究で知られる東京大学先端科学技術センターの西成活裕教授が調査したところ
高速道路での渋滞時の車線別平均速度は、左端の走行車線が最も速く、
追い越し車線が最も遅い、という結果になりました。
それは、誰もが先を急ごうとして、渋滞直前に約4割の車が追い越し車線に集中するから。
つまり、渋滞の最後尾に付くときは走行車線を走るのがベストです。

道路が渋滞しがちな夏休みシーズン。不要な車線変更はやめる。
必要な時は、しっかりゆっくり、安全を確認して行なって下さい。