2012年2月8日

2月8日「郷土芸能の復興へ向けて・岩手県大槌町『虎舞』」

岩手県大槌町に伝わる「虎舞」は、およそ250年前、徳川綱吉の時代に岩手県沿岸部に伝わった郷土芸能です。
この大槌の虎舞は震災後様々な支援を受け、昨年9月23日(秋分の日)、地元の神社で恒例の「奉納の舞」を行い、再生へ向け歩みを続けています。

震災直後からの経緯を、大槌町・向川原 虎舞 風虎会・岩間美和さんに伺いました。

◆200年以上の伝統がある「虎舞」を続けたい
 「虎舞」は勢いを表す虎の動きを表している。太鼓、笛、お囃子と掛け声で、威勢の良い形でやる。釜石、大槌、山田、大船渡にあるが、所有していた大太鼓、笛、衣装がすべて流され、焼けて無くなった。うちの家族も亡くなった。会の存続、継承の気分にもなれなかった。
 5月に復興イベントで虎舞を要請され、寄せ集めでイベントをやった。電気のない倉庫で話し合った。
 虎舞を追悼で舞った時に、自分たちの代で消したくない、継承したものを続けたいと思った。20〜30才の、舞手としては脂の乗った連中が、どうしてもお祭りに参加したい、やりたいと訴えてきた。足りないものを作り、支援先を探した。袢纏も支援者が無償で協力してくれた。そのつながりで、支援が続き、形にすることができた。
 たまたま奇跡的に神社だけが被災しなかった。何もない街に神社だけがあり、そこにみんなが集まり出会いの場になった。自分たちのモチベーションも上った。見に来た人に「祭りが観れて良かった、虎舞が観れて良かった」と声をかけてもらった。やって良かった。





虎舞の由来は「虎は子どものために、千里の路を一日で往復する」という言い伝えから。沿岸部の漁師たちが、無事に家族の待つ港に帰ってこられるように、という思いが込められています。





【大槌町の虎舞は今後、以下の場所で披露される予定です】
●4月7日 東京・池袋西口公園
●7月28日・29日 東京・明治神宮

2012年2月7日

2月7日「郷土芸能復興支援プロジェクト(2)」

岩手・宮城・福島では、地震・津波・原発被害の影響で、200を超える郷土芸能が被害を受けました。
しかしそこから復活しようと、郷土芸能の再生へ一歩を踏み出した地域もあります。
その動きを、全日本郷土芸能協会事務局・小岩秀太郎さんに伺いました。

◆毎年の行事を続けること
 1月4日、石巻市雄勝地区の「春祈祷」という獅子舞の行事があった。その行事を全体的に受け持つ神社の若い宮司さんが「ぜひ春祈祷をやりたい。いつもやっている正月行事で、地域が集まるキッカケにもなる。しかし獅子頭がない」と話していた。
 そこで郷土芸能復興支援プロジェクトが取り次いで、東京の太鼓屋さん、お祭り用具店が獅子頭を気持ちよく貸してくれた。それを中心に春祈祷を行なった。
 8割が被災、地域は誰も住んでいない状況、神社はプレハブ。その中にぎゅうぎゅう詰めになり、農業の出来の占い、獅子舞の行事、頭噛みなど、毎年やっていたことをやった。
 毎年やっていたことを、いつもと違う形とはいえ、やる。笑顔ができる。改めて見直す機会になった。獅子頭はもっと大きかったことも気付いた。もっとちゃんとやらなければと考えるようになった。「毎年欠かさなかった行事をできたことが、次につながる。今まで思っていなかったことをもう一度再確認できたということは、今年できて良かった」と宮司さん。


◆郷土芸能が果たす役割
 郷土芸能をいろいろ見ていると、今まではそれを単品で見ていた部分も多い。ステージでやる機会も増えて「意味」を考えなくなっている。今回の沿岸地域の行事を見ると、そこに暮らす人々にとって郷土芸能は必要なものだと思った。彼らの自尊心、愛郷心は震災以降に高まったのは間違いない。そういうことならば、郷土芸能が果たす役割は
これから先もあるんだろう。協会としてのあるべき姿も考えさせられたし、気持ちを新たにした。




【社団法人全日本郷土芸能協会】
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パーソナリティ 鈴村健一

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