2012年1月27日

1月27日「被災地で放送を続けるラジオ(5)『茨城県水戸市・FM Palulun』」

茨城県水戸市は、東日本大震災で震度6弱の地震に見舞われました。
コミュニティFM「FM Palulun」本社スタジオも、地震により放送用の機材が倒壊。CDも多くが破損してしまいました。
震災からの復旧と震災後の番組作りをどのように行ってきたのか、FM Palulun代表・小川啓子さんに、伺いました。

◆震災直後のFM Palulun
 何トンというスタジオ自体が動いてしまったし、茨城県庁の屋上に立っていたアンテナ自体が倒れてしまったので、放送ができる状態じゃなかった。会社をやめようかと思ったくらい。アンテナ自体が仮アンテナの状態なので、復旧は半分くらい。
 震災後、今まであまりラジオを聞いていなかった人たちも聞いてくれるようになったという実感はある。
 本当に大変な時、リスナーの方から「うちには井戸がありますからお水取りに来てください」「お風呂使ってください」「紙おむつおわけします」という情報をどんどんいただいた。地域情報はコミュニティに、という流れになってきている。


◆原発事故の影響と余震。そしてこれから
 茨城は野菜の生産地だが、茨城の野菜やお肉、魚は食べたくないという声や、(野菜などが)送り返されてきたという話はあちこちで聞く。
 余震が年明けから結構増えている。子供たちが、ちょっと揺れただけで机の下に潜り込むようになった。
 地域情報がどのくらい大切なことかということを、リスナーも初めて気づき、私たちも身に沁みてわかった。
 よりリスナーとの距離、行政との距離を縮める、情報ツールとなれるように存在価値を高めていきたい。



【FM Palulun】

【災害FMがネット上で聴ける「サイマルラジオ」】

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今週は「被災地で放送を続けるラジオ局」を取り上げてきましたが、
一方で、マンパワーやノウハウ、機材や資金が不足して運営が難しくなり、やむなく放送を休止する災害FMも出てきています。

そんな中、東北6件のコミュニティFM23局などで運営する「東日本地域放送支援機構」が、NPO法人の認証を受けました。
この機構は、被災地やその周辺各県のコミュニティFMが、ノウハウや資金面で苦しむ災害FMをバックアップしようという目的で設立されたものです。
今後、この番組でもその取り組みをご紹介していきます。

【特定非営利活動法人 東日本地域放送支援機構】

2012年1月26日

1月26日「被災地で放送を続けるラジオ(4)『南相馬災害FM』」

福島県・南相馬災害FMが放送をスタートしたのは昨年4月16日。
開局してから9ヶ月が経った南相馬災害FMは、市民に日々必要な情報をメインに放送。
特に放射線量の情報は、時間をかけて丁寧に放送をしているそうです。

今日は、建築関係のお仕事から農業へ転職するための研修中に被災したという、南相馬災害FMのスタッフ・今野聡さんにお話を伺いました。


◆南相馬災害FMの現状
 取材・構成、技術、パーソナリティなど合計11人態勢で放送をしている。
 平日は、南相馬市民に必要とされるような情報を発信できるように務めている。市からのお知らせや、復興に向けての会議レポートや、東電の賠償相談会のお知らせ、仮設住宅や交通に関する情報を伝えている。また、市と文科省が発表する毎日のモニタリング、放射線量の情報も丁寧に伝えている。
 南相馬市では40か所以上のポイントを計測している。そのデータを放送で読みあげている。水道水の検査データも定期的に報告しているので、放送では10分近く使っている。
 そこまでやらなくてもいいんじゃないかという意見もあるが、ラジオの前でペンを持って確認している市民もいるので、大切な情報と意識して扱っている。


◆シビアな情報を伝える中で、大切にしていること
 昨年のクリスマスには、幼稚園や保育園児に「サンタにお願いしたいプレゼント」を聞いて、声を放送した。そういった声で“癒し”を届けようと思った。
 平日のフリートークでは、身近な、誰でも共感できるような街の話題や日常のひとコマを話している。


◆伝えたいこと
 南相馬市は市の一部が警戒区域に入っていて、家があっても住めない地区がある。1万2千人以上の方が避難生活を送っている。放射能の問題で、自主避難している方も多い。震災前は7万人いた人口が、今は市内に4万人しか住んでいない。お年寄りだけの家や、妻子は遠くへ避難して、旦那さんは地元で仕事をしているなど、家族が二重三重の生活を送っているようなお宅も多い。
 一方で“避難しない”ことを選んだ家庭では、「危険な所に子どもと住んでいる」と批判を受けてしまうこともある。しかし、みんな悩みながらこうした生活を選んでいるということを知ってもらいたい、理解してもらいたいと思っている。
 今、地域や家族の心まで分断されそうになっているが、お互いが理解しようとすることで、遠くに離れていても南相馬市民として繋がっていけるよう、放送ができればと考えている。



【南相馬災害FM】

【災害FMがネット上で聴ける「サイマルラジオ」】
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パーソナリティ 鈴村健一

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